推測にとどまらず、徹底的に調べましょう。Gemini Cloud Assist で根本原因分析が利用可能に
Deepak Kallakuri
Group Product Manager, GCP Foundation Services
Mark Church
Product Manager, GCP Foundation Services
※この投稿は米国時間 2025 年 8 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
複雑な分散クラウド環境でのデバッグは、干し草の山から針を探すようなものです。膨大な量のデータ、絡み合った依存関係、一時的な問題により、従来のトラブルシューティング方法は時間がかかるうえ、多くの場合、事後対応になります。最新のソフトウェア開発で効果的なデバッグに多くのコンテキストが求められるのと同様に、クラウド運用でも同じことが言えます。
Google Cloud with Gemini ポートフォリオの主要プロダクトである Gemini Cloud Assist は、AI を活用したアシスタンス機能でアプリケーションの設計、デプロイ、最適化を支援し、アプリケーションの管理方法を簡素化します。これにより、効率、コスト、信頼性、セキュリティの目標を達成できます。
次に、インフラストラクチャとアプリケーションのトラブルシューティングを行う根本原因分析(RCA)AI エージェントである Gemini Cloud Assist Investigations が、現在プレビュー版として利用可能となっています。
問題が発生した場合は、ログ エクスプローラ、Cloud Monitoring のアラート、あるいは直接 Gemini のチャットパネルからなど、さまざまな場所から調査を開始できます。Cloud Assist は、ログ、構成、指標などの複数のソースからのデータを分析し、環境の状態に関する分析情報を提供する、ランク付けおよびフィルタリング済みの「観察結果」を生成します。これらの観察結果を統合して考えられる根本原因を診断し、コンテキストを説明するとともに、問題解決に向けた次のステップや修正方法を推奨します。さらにサポートが必要な場合は、調査とそのすべてのコンテキストを Google Cloud サポートケースにシームレスに転送して、サポート エンジニアによる解決を迅速化できます。
Gemini Cloud Assist の調査の仕組み
Gemini Cloud Assist の調査は、以下の機能を組み合わせて問題の根本原因の特定を支援します。
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プログラマティック、プロアクティブ、そしてインタラクティブなアクセス: API 呼び出し、チャット メニュー、UI を通じて調査をトリガーまたは利用でき、プロアクティブかつインタラクティブなトラブルシューティングを実現できます。
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コンテキスト化: 調査では、環境内で最も関連性の高いリソース、データソース、API を特定し、焦点を絞ったトラブルシューティングを提供します。
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包括的なシグナル分析: 調査では、Cloud Logs、Cloud Asset Inventory、App Hub、指標、エラー、ログテーマにわたって並列で詳細な分析を行い、異常、構成の変更、パフォーマンスのボトルネック、繰り返し発生する問題を明らかにします。
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AI による分析情報と推奨事項: Google Cloud サポートのナレッジベースや社内ランブックなどの専門知識ソースを活用し、考えられる根本原因と実行可能な推奨事項が調査によって生成されます。
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インタラクティブなコラボレーション - チーム全体で調査内容をチャットや共有で伝え、チームや Gemini Cloud Assist と連携してトラブルシューティングを行えます。
- Google Cloud サポートへの引き継ぎ: 調査を直接サポートケースに変換でき、時間やコンテキストを失うことがありません。


プログラマティック、プロアクティブ、インタラクティブな調査
早期ユーザーは、Cloud Assist の調査によって難しい問題を迅速かつ効果的にトラブルシューティングして解決できることに満足しています。
「ZoomInfo では、稼働時間を維持することが非常に重要ですが、エンジニアが複雑な問題を迅速かつ効果的にトラブルシューティングできるようにすることも同様に重要です。開発プロセスの早い段階で Gemini Cloud Assist の調査を統合したことで、エンジニアリング チームのあらゆるレベルでトラブルシューティングを迅速化できました。あらゆる経験レベルのエンジニアが問題を迅速に診断して解決できるようになり、解決までの時間が数時間から数分に短縮されました。この効率性により、チームはイノベーションに注力する時間を増やし、事後対応型の問題解決に費やす時間を減らすことができます。Gemini Cloud Assist の調査は、トラブルシューティングの支援ツールであるだけでなく、生産性とイノベーションを牽引する重要な存在です。」- ZoomInfo、DevOps エンジニア Yasin Senturk 氏
「Gemini Cloud Assist 調査機能は 2 分で潜在的な根本原因に関する有効な提案をいくつか提示してくれ、最初の提案がまさにその原因だったことに本当に感銘を受けました。1 時間以内に問題全体に対処することができたのです。Gemini Cloud Assist のおかげで週末返上にならずに済みました。」 - Google Waze、SRE、Chuanzhen Wu 氏
Gemini Cloud Assist 調査機能をもう少し詳しく見ていきましょう。
プログラマティック、プロアクティブ、インタラクティブなアクセス調査は、ログ エクスプローラのログメッセージ、特定のプロダクト ページ(Google Kubernetes Engine や Cloud Run など)、または中央の [調査] ページなど、Google Cloud 内のさまざまな場所から直接開始できます。中央の [調査] ページでは、エラー メッセージ、影響を受けたリソース、観察時間などのコンテキストを提供できます。Gemini Cloud Assist の調査には API も用意されているため、Slack などの既存のワークフローや他のインシデント管理ツールに統合できます。問題の根本原因の特定にさらに支援が必要な場合は、調査の出力を用いて Google Cloud サポートケースをトリガーし、サポート エンジニアがその時点から対応できるようにします。
コンテキスト化調査は、自然言語の説明、エラー メッセージ、ログ スニペット、または問題に関する情報の任意の組み合わせから開始できます。まず、問題に関連する初期コンテキストを収集し、関連するリソースや、根本原因の分析に役立つ可能性のある関連データソースをすべて示すトポロジを構築します。
調査では、公開・非公開のナレッジ、Google SRE および Google Cloud サポートの事例に基づくプレイブック、ユーザーのトポロジを活用し、類似の問題を基盤として、問題のトラブルシューティング計画を生成します。このコンテキストは、的を絞った包括的なシグナル分析を提供するうえで重要になります。
包括的なシグナル分析調査が実行されると、プロジェクトからの収集が開始された観察結果が表示されます。調査は表面的な観察にとどまりません。Google Cloud 環境全体にわたる重要なデータソースを自動的に分析します。
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Google Cloud ログ: 膨大なログデータを精査して、異常や重大なイベントを特定する
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Cloud Asset Inventory: リソース構成の変更とその潜在的な影響を把握する
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指標(近日提供予定): パフォーマンス データを関連付けて、リソースの枯渇や予期しない動作を特定
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エラー: エラーを集計して分類し、パターンと繰り返し発生する問題をハイライト表示
- ログのテーマ: ログデータ内の一般的なパターンとテーマを特定し、問題のより上位レベルのビューを提供する


AI による分析情報と推奨事項Gemini Cloud Assist Investigations の根本原因に関する分析情報と推奨事項は、観察結果に基づいています。 Gemini の分析機能を活用することで、Cloud Assist はさまざまなデータソースからの観察結果を統合し、情報をランク付けしてフィルタリングすることで、最も関連性の高い詳細に焦点を当てます。重要なのは、調査で差別化された知識ソースと、広範な Google Cloud サポートのトラブルシューティングに関する知識や社内のランブックなどの一般公開されているドキュメントを利用して、非常に正確で関連性の高い分析情報と観察結果を生成することです。その後、以下が生成されます。
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考えられる根本原因: 問題の根本原因について、状況説明を添えて明確な仮説を提示
- 実用的な推奨事項: トラブルシューティングの具体的な次のステップや、直接的な修正方法を提示し、インシデントの迅速な解決を支援


Google サポートチームへの引き継ぎ特に解決が難しい問題の場合、ボタンをクリックするだけで、調査パッケージがコンテキスト、観察結果、仮説をサポートケースにまとめ、問題の解決を迅速化します。そのため、問題について Google サポートチームに問い合わせる前に、調査を実施することをおすすめします。
Gemini Cloud Assist Investigations を今すぐ使ってみましょう
問題をより迅速に根本から解決する準備はできていますか?ログ エクスプローラ コンソールから任意のエラーログを調査して、今すぐお試しください。または、調査を直接作成して、発生している問題を記録してみましょう。
-GCP 基盤サービス、グループ プロダクト マネージャー、Deepak Kallakuri
-Mark Church 、GCP 基盤サービス担当プロダクト マネージャー