インシデント対応に AI を活用する: Personalized Service Health と Gemini Cloud Assist のインテグレーション

Sam Jalali
Product Manager
Luca Paulina
Sr. Staff UX Designer
※この投稿は米国時間 2025 年 5 月 29 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
クラウド インシデントが発生した場合、誰もがそのクラウド プロバイダからの迅速かつ明確なコミュニケーションを望み、その情報を効果的に活用したいと考えます。Google Cloud コンソールの Personalized Service Health は、Google Cloud サービスの中断について、透明性と関連性の高い実用的な通知を迅速に提供するものであり、お客様特有のフットプリントに合わせてカスタマイズされています。これにより、問題の原因をすばやく特定し、「Google 側の問題か、それとも自社の問題か」という疑問に答えることができます。そして、この情報をインシデント対応ワークフローに統合して、インシデントをより効率的に解決できます。
このたび、Personalized Service Health を活用して、進行中のインシデントに関するリアルタイム情報を Gemini Cloud Assist に引き出してもらうことができるようになりました。これにより、検出、影響評価、復旧などのインシデント管理を効率化できます。Gemini のガイダンスと Personalized Service Health の分析情報、最新情報を組み合わせることにより、影響範囲を評価し、トラブルシューティングを開始できます。これらはすべて、AI を活用した Gemini Cloud Assist チャット内で行うことができます。さらに、この種のインシデント検出は、コンソール内の任意の場所から開始できるため、ワークフローを中断することなく、関連するインシデントをすぐに確認できます。また、プロジェクトに影響する進行中のインシデントを確認して、その範囲の詳細と最新の更新情報を Personalized Service Health から直接収集することもできます。
Gemini Cloud Assist で Personalized Service Health を活用する
Gemini Cloud Assist は、ユーザー フレンドリーなレイアウトと整理された情報構造を備えています。動的なタイムライン、最新情報、症状、回避策など、Personalized Service Health から直接取得された重要な詳細情報がコンソールに表示されるようになり、会話形式でのフォローアップが可能になりました。Gemini Cloud Assist は、Personalized Service Health の重要な分析情報を強調できるため、調査対象を絞り込んでインシデントの影響を把握するのに役立ちます。
このインテグレーションの利点を示すために、次のデモでは、Gemini と Personalized Service Health の機能を組み合わせて活用した、一般的なインシデント対応ワークフローをご紹介します。
インシデントの検出とトリアージインシデントの重要な最初の瞬間に、Gemini Cloud Assist が「Google 側の問題か、それとも自社の問題か」という疑問に答えます。Gemini Cloud Assist は、Personalized Service Health のデータに直接アクセスし、Google Cloud インシデントの影響を受けるプロジェクトとロケーションに関するフィードバックを提供することで、トリアージ プロセスを迅速化します。
このプロセスを開始する方法を理解するために、Gemini Cloud Assist に次のような質問をしてみてください。
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私のプロジェクトは Google Cloud インシデントの影響を受けている?
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現在、Google Cloud に影響を与えているインシデントはある?


影響の調査と評価関連する Google Cloud インシデントを特定したら、Gemini Cloud Assist を使用して情報をさらに掘り下げ、自身の環境への影響を評価できます。さらに、フォローアップの質問をすることにより、Gemini Cloud Assist は、インシデントの進展に応じて Personalized Service Health から最新情報を取得できます。その後、報告されたインシデントの影響を受けるアプリやプロジェクトを、ロケーションも含めて正確に特定するよう Gemini にリクエストし、さらに調査を進めることができます。
Gemini Cloud Assist に質問するプロンプトの例を以下に示します。
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進行中のインシデント ID [X] について教えて。([X] はインシデント ID に置き換える)
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[X] は影響を受けている?([X] は特定のロケーションまたは Google Cloud プロダクトに置き換える)
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インシデント ID [X] の最新情報を教えて。
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インシデント ID [X] の詳細を教えて。
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[影響を受けている Google Cloud プロダクト] のトラブルシューティング手順を教えて。


軽減と復旧最後に、Gemini Cloud Assist は復旧フェーズでインテリジェントなアシスタントとして機能し、実用的なガイダンスを提示します。Gemini Cloud Assist を使用すると、関連するログやモニタリング データにアクセスして、より効率的に問題を解決できます。さらに、Gemini Cloud Assist は、Personalized Service Health から潜在的な回避策を浮き彫りにし、プロジェクトやアプリケーションを復元するために必要なツールや情報に誘導します。プロンプトの例は以下のとおりです。
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インシデント ID [X] の回避策を教えて。([X] はインシデント ID に置き換える)
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アプリケーションを実行し続けるための一時的な解決策を提案して。
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この影響を受けているプロジェクトのログを探すにはどうすればいい?


Gemini はこれらのプロンプトに従って Personalized Service Health から関連する情報を取得し、(進行中のイベントと最長で過去 1 年間のインシデントの両方について)Google Cloud 環境の正常性に関するパーソナライズされた分析情報を提示します。これは、インシデントを調査してその影響を絞り込み、復旧を支援する際に役立ちます。
次のステップ
今後は、Gemini Cloud Assist と Personalized Service Health を活用して、より詳細な分析情報と包括的なインシデント管理を提供することで、AI を活用したこれらの機能を単一のプロジェクト ビュー以外にも拡張していく予定です。Gemini Cloud Assist と Personalized Service Health の利用を開始しましょう。
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Personalized Service Health の詳細情報をご覧になるか、Google のアカウント担当者に依頼して、この機能を有効にしてください。
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Gemini Cloud Assist の使用を開始します。プロンプトを調整して、特定のリージョンや Google Cloud プロダクトについて質問し、インシデントをプロアクティブに管理するためにどのように役立つかを試してみてください。
プロダクト マネージャー、Sam Jalali
シニア スタッフ UX デザイナー、Luca Paulina