DevOps 測定: ビジュアル管理機能

リーン開発手法を採用しているチームの多くは、プロセスに関する重要な情報をチーム全員で確認できる方法で表示しています。ビジュアルな管理ボードを用意することで、チームの現在の状態を全員で共有し、作業を効率的に進めることができます。また、作業を妨げる要因を見つけ出し、取り除くこともできます。

ビジュアル管理の実装方法

ソフトウェア配信では、さまざまな種類のビジュアル ディスプレイやダッシュボードが使用されています。

  • カードウォール、ストーリーボード、看板。作業の進捗状況を表すインデックスカードが使用されます。物理的なものだけでなく、電子的なものもあります。
  • ダッシュボードやインジケーター。たとえば、モニター付きの継続的インテグレーション システムや、ビルドの成否を表す信号機など。チームが現在抱えている問題の状況に合わせてビジュアル ディスプレイが作成され、更新されます(削除されることもあります)。
  • バーンアップ / バーンダウン チャート(累積フロー ダイアグラムなど)。すべての作業の累積ステータスを表します。現在のバックログの解消にかかる時間を把握できます。
  • デプロイ パイプライン モニター。デプロイ可能な最新のビルド、パイプラインでの現在のステージ(受け入れテスト、パフォーマンス テストなど)を確認できます。
  • 本番環境でのテレメトリーを表示するモニター。受信したリクエストの数、レイテンシーの統計情報、累積的な 404 および 500 エラー、最も人気のあるページなどを確認できます。

WIP 制限と本番環境からのフィードバックからビジネス上の意思決定を行う場合、ビジュアル管理ディスプレイにより配信パフォーマンスの向上(PDF)を実現できます。

ビジュアル管理でよくある落とし穴

ビジュアル管理ディスプレイで最も重要な点は、チーム全員がその情報を認識し、行動できることと、日々の作業で発生した障害を取り除き、パフォーマンスを改善できることです。ビジュアル管理の実装では、次のような問題がよく発生します。

  • チームに関係のない指標が選択されている。チームにとって非常に重要な指標が表示されているビジュアル ディスプレイは活用度が高くなります。また、チームが目標設定に参加してビジュアル ディスプレイに表示される指標を設定できる場合(OKR を使用している場合など)、目標達成に向かってチームの士気が高まります。
  • 複雑でわかりづらいディプレイが作成されている。有益な情報が提供されていない。ディスプレイの作成は簡単です。高度な変更が可能なツールや、面白い操作を実行できるツールもあります。しかし、間違った指標や更新に時間がかかるような情報が表示されているダッシュボードは、レイアウトや色を変更してカスタマイズしても意味がありません。ホワイトボードに重要な指標や簡単なグラフを描き、毎日更新しているほうがチーム全体に情報が浸透し、効果的です。
  • ビジュアル ディスプレイが進化しない。ビジュアル管理ツールは、チームが直面している問題をすぐに解決できる情報を提供しなければ意味がありません。同じコンテキストで同様の課題や障害を抱えている場合でなければ、別のチームのディスプレイを真似しても効果はありません。チームのコンテキストは常に変化しています。ビジュアル ディスプレイもそれに合わせて変化する必要があります。また、チームが問題を解決した場合、古い指標は破棄し、新しい重要領域をハイライト表示するようにディスプレイを更新する必要があります。
  • ビジュアル ディスプレイに関連する根本的な問題が解決されない。正常な状態に戻すために問題の解決に集中してしまうことがあります。ディスプレイの目的は問題の解決を促すことではなく、改善を促進することにあります。状態を常に青信号にしておくことが目標になるようでは意味がありません。指標の管理のみに集中してしまうと、予期しない問題や技術的負債を抱えることになります。ディスプレイに問題が示されていても、その問題を解決することだけに専念してはなりません。根本的な原因や制約を突き止め、解決する必要があります。それが別の組織の場合も同じです。回り道に思えても、これらの問題を早期に解決することで、すべてのチームを助ける結果になります。

ビジュアル管理の改善方法

ビジュアル管理ツールの目標は、高品質の製品を作成できるように、わかりやすいフィードバックを迅速に提供することにあります。このフィードバックにより、開発チームは製品の欠陥を認識して、システムのどの部分に原因があるのかを特定し、問題を迅速に解決できるようになります。このようなシステムが効果的に機能するには、次のことを行う必要があります。

  • チームにとって重要な情報を提供し、それに基づいてチームが行動できるようにする。モニターを用意するだけでは不十分です。ディスプレイに問題が表示されていることを認識させる必要があります。たとえば、ビルド ステータスが赤の場合は、ビルドが壊れていることを意味することを周知させる必要があります。また、表示された情報に基づいて問題の修正を開始するように促す必要があります。
  • わかりやすくする。遠くからでも問題が起きていることを一目でわかるようにします。問題が発生している場合は、その診断方法や修正方法を伝える必要があります。
  • チームの作業に関連する情報を提供する。チームの作業に関してできるだけ多くのデータを収集することは重要ですが、チームの目標に関係のないデータは提示するべきではありません。表示される情報が過剰になると(特に関係のない情報が増えると)、ビジュアル管理ディスプレイは無視されるようになり、邪魔な存在になります。チームが問題の解決を開始するときに、追加の詳細データを使用できるようにします。
  • 毎日更新する。古いデータや不正確なデータを表示していると、ビジュアル ディスプレイは無視されるようになり、重要な問題が発生したときに役に立ちません。ディスプレイに古いデータや不正確なデータが表示されている場合は、その原因を調査し、チームの目標に関係のあるデータかどうか見直す必要があります。また、どのようなデータを表示すれば、チームにとって価値があり、重要な情報源として機能するのかを検討します。

重要な情報を提供しないビジュアル ディプレイは活用されなくなります。ビジュアル管理ディスプレイに電子機器を使用する必要はありません。カードウォールや看板のほうが管理しやく、わかりやすい場合もあります。チーム全員が同じ場所で作業を行っている場合は、こちらのほうが便利かもしれません。ボードの前で作業カードの貼り換えを行うことで、チームの状況をメンバーで確認しあうこともできます。ホワイトボードに重要なプロジェクトの情報を書き込み、毎日更新するほうが良い場合も少なくありません。このような情報を電子システムで管理すると、情報が見づらくなり、更新も煩雑になる可能性があります。また、必要な情報が漏れてしまうこともあります。

ビジュアル管理の測定方法

ほかの改善作業と同様に、チームで取り組む測定可能な目標をシステムレベルで設定します。現在の作業システムの状態を確認します。現在の状態と必要な状態について重要な情報を表示する方法を探します。この情報が必要な精度で表示されるようにします。

定期的な見直しの中でビジュアル ディスプレイの現状を検討します。その際、次のことを確認します。

  • ディスプレイで必要な情報が提供されているか。
  • 最新の情報が提供されているか。
  • この情報を基にメンバーが行動しているか。
  • 情報とそれに基づく行動がチームの目標に向かって改善されているか。
  • メンバー全員が目標を理解しているか。
  • ビジュアル管理ディスプレイで重要なプロセスの指標を確認できるか。

いずれかの項目を満たしていない場合は、さらに、次の項目について調査を行います。

  • 情報やその表示方法を変更できるか。
  • ディプレイを完全に撤去できるか。
  • 新しいディスプレイを作成できるか。プロトタイプはどのようなものになるか。問題の解決と目標達成に最も重要な情報は何か。またその情報をどのような精度で提供すべきか。

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