仮想 Windows ワークステーションを作成する


このチュートリアルでは、Windows Server 2016 を実行し、仮想ディスプレイを備えた仮想ワークステーションを Google Cloud で作成する方法について説明します。表示デバイスは必要であるものの、GPU のすべての機能を使わないため全額課金は避けたい場合、アプリケーションの実行には、仮想表示を備えた仮想マシン(VM)が最適です。

Linux ワークステーションを作成するには、仮想 Linux ワークステーションの作成をご覧ください。

仮想ワークステーションを作成したら、TeradiciPC-over-IP(PCoIP) を使用してリモートアクセスする方法を学びます。PCoIP は、メディアとエンターテイメント、建築ビジュアライゼーション、金融、政府機関、医療などの業界で広く使用されているリモート デスクトップ プロトコルです。PCoIP は、色精度およびロスレス ディスプレイのサポートを必要とするワークロードに不可欠な機能を提供します。

目標

  • Compute Engine インスタンスを作成します。このインスタンスは、仮想ワークステーションの基盤として機能します。
  • Teradici Cloud Access ソフトウェアを仮想ワークステーションにインストールします。
  • PCoIP ソフトウェア クライアントやハードウェア エンドポイントの一種である Zero Client を使用して、仮想ワークステーションに接続します。

費用

このチュートリアルでは、課金対象である次の Google Cloud コンポーネントを使用します。

料金計算ツールを使うと、予想使用量に基づいて費用の見積もりを出すことができます。本稿の執筆時点では、このチュートリアルで例示している典型的なワークステーション構成の費用は概算で 1 時間あたり $0.46 です。

このチュートリアルで、仮想ワークステーションを構成するリソースと、コストに影響する要素は次のとおりです。

インターネット データ転送は、仮想ワークステーションからローカルのディスプレイ クライアントにストリーミングされ、インターネット送信データ転送の費用で課金されるデータを表します。PCoIP セッション中のデータ転送に影響を与える変数は、帯域幅、画面解像度、ディスプレイ モニターの台数、使用するアプリケーション、各モニターのアクティビティの種類です。このチュートリアルで作成する仮想ワークステーション構成の費用は、使用量を平均 10 Mbps として計算されています。Teradici の Session Planning Guide は、さまざまなワークロード要件を理解するのに役立ちます。

また、Teradici Cloud Access Software ライセンスも必要です。ライセンスをまだお持ちでない場合は、試用版ライセンスに登録するか、Teradici の担当者にお問い合わせください。この仮想ワークステーションに使用する 30 日間の試用登録コードが提供されます。

始める前に

このチュートリアルでは、gcloud コマンドと gsutil コマンドを使用します。これらのコマンドは、Google Cloud コンソールから起動した Cloud Shell インスタンスから実行できます。ローカルのワークステーションで gcloudgsutil を使用する場合、Google Cloud CLI をインストールします。

このチュートリアルでは、Cloud Shell でコマンドを実行する方法を説明しています。ワークステーション上の Google Cloud CLI を使用する場合、ここでの説明は環境に合わせて読み替えてください。

  1. Google Cloud アカウントにログインします。Google Cloud を初めて使用する場合は、アカウントを作成して、実際のシナリオでの Google プロダクトのパフォーマンスを評価してください。新規のお客様には、ワークロードの実行、テスト、デプロイができる無料クレジット $300 分を差し上げます。
  2. Google Cloud Console の [プロジェクト セレクタ] ページで、Google Cloud プロジェクトを選択または作成します。

    プロジェクト セレクタに移動

  3. Google Cloud プロジェクトで課金が有効になっていることを確認します

  4. Compute Engine API を有効にします。

    API を有効にする

  5. Google Cloud Console の [プロジェクト セレクタ] ページで、Google Cloud プロジェクトを選択または作成します。

    プロジェクト セレクタに移動

  6. Google Cloud プロジェクトで課金が有効になっていることを確認します

  7. Compute Engine API を有効にします。

    API を有効にする

また、次の条件が整っていることを確認してください。

アーキテクチャ

次の図は、このチュートリアルで単一の仮想ワークステーションをデプロイするためのコンポーネントを示しています。図に示すオプションのコンポーネントには、仮想ワークステーション、オブジェクト、共有ストレージに接続するさまざまな方法と、サードパーティ ライセンスを提供するための追加の VM インスタンスが含まれています。

仮想ワークステーション インフラストラクチャのアーキテクチャ。

仮想ワークステーションを作成する

Teradici Standard Agent(このチュートリアルの後半で仮想ワークステーションにインストールする)では、仮想ワークステーションの作成時に IP 転送を有効にし、HTTPS サーバー トラフィックを許可する必要があります。

  1. Cloud Shell を開きます。

    Cloud Shell に移動

  2. Cloud Shell で、後で仮想ワークステーションを作成するために使用するゾーンを設定します。

    gcloud config set compute/zone zone
    

    zone は、使用しているゾーンの名前(us-west2-b など)に置き換えます。

  3. 仮想ワークステーション用の Compute Engine インスタンスを作成します。

    gcloud compute instances create instance-name \
        --machine-type=machine-type \
        --enable-display-device \
        --can-ip-forward \
        --tags=https-server \
        --image-project=image-project \
        --image-family=image-family \
        --boot-disk-size=size \
        --boot-disk-type=boot-disk-type
    

    以下を置き換えます。

    例:

    gcloud compute instances create test-vws \
        --machine-type=n1-standard-4 \
        --enable-display-device \
        --can-ip-forward \
        --tags=https-server \
        --image-project=windows-cloud \
        --image-family=windows-2016 \
        --boot-disk-size=50 \
        --boot-disk-type=pd-standard
    

    仮想ワークステーションが作成されると、マシンのステータスが表示されます。出力は次のようになります。

    Created https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT/zones/ZONE/instances/test-vws.
    NAME      ZONE        MACHINE_TYPE   PREEMPTIBLE  INTERNAL_IP  EXTERNAL_IP   STATUS
    test-vws  us-west2-b  n1-standard-4               10.168.0.1   203.0.113.1  RUNNING
    

    仮想ワークステーションは、プロジェクトのデフォルトの VPC ネットワークに作成されます。仮想ワークステーションを別の VPC ネットワークに作成する場合は、コマンドに次のフラグを追加します。

    --network=network
    

    network は、使用するネットワークの名前に置き換えます。

  4. リスト内の仮想ワークステーションの外部 IP アドレスをメモしておきます。これはチュートリアルの後半で使用します。

    仮想ワークステーションの外部 IP アドレスは、Google Cloud コンソールを使用していつでも取得できます。

Windows パスワードを作成する

RDP を使用して、Teradici Standard Agent ホスト ソフトウェアをインストールするために Windows 仮想ワークステーションにアクセスします。RDP でログインするには、ユーザーの Windows パスワードを作成する必要があります。

  1. Google Cloud コンソールの [Compute Engine] ページに移動します。

    [Compute Engine] ページに移動

  2. 仮想ワークステーション インスタンスの [接続] 列で、リストから [Windows パスワードを設定] を選択します。

    ユーザー名の確認を求められ、パスワードをリセットすると暗号化されたデータへのアクセス権が失われるという警告が表示されます。これは新しいディスクであり、仮想ワークステーションにユーザーデータはないため、この警告は無視してかまいません。

  3. Windows パスワードが表示されたら、パスワードをコピーして [閉じる] をクリックします。

    このパスワードは、次のステップで RDP クライアントを使用して仮想ワークステーションにログインするときに使用します。パスワードは安全な場所に保管してください。

仮想ワークステーションにログインする

仮想ワークステーションの作成が終わったら、マシンにログインして構成できます。

  1. Google Cloud コンソールの [Compute Engine] ページに移動します。

    [Compute Engine] ページに移動

  2. [RDP] プルダウンをクリックし、[RDP ファイルをダウンロード] オプションを選択して、インスタンスの RDP ファイルをダウンロードします。このファイルを RDP クライアントで使用することで、インスタンスに接続できます。詳細については、Microsoft リモート デスクトップ クライアントをご覧ください。

    仮想ワークステーションのデスクトップが表示されます。Windows Server Manager の起動が完了するのを待ってから、次の手順に進みます。

Internet Explorer のセキュリティ強化を構成する

デフォルトの Windows Server 2016 イメージには、インターネットからファイルをダウンロードできないようにするデフォルトのセキュリティ設定があります。Teradici Standard Agent をダウンロードするには、これらのセキュリティ機能を無効にする必要があります。

  1. 仮想ワークステーションのサーバー マネージャーの左側で、[ローカル サーバー] をクリックします。
  2. [IE セキュリティ強化の構成] の横にある [オン] をクリックします。
  3. ダイアログで、管理者とユーザーの両方の [セキュリティ強化] をオフにします。

  4. [Internet Explorer のセキュリティ強化の構成] と [サーバー マネージャー] の両方のウィンドウを閉じます。

Teradici Cloud Access Software をインストールする

Teradici Cloud Access Software は、仮想ワークステーション上で動作するエージェントを提供し、ハードウェアまたはソフトウェア クライアントにデスクトップを提供します。

  1. 仮想ワークステーションで Internet Explorer を開き、Teradici Standard Agent for Windows ソフトウェアをダウンロードします。
  2. エージェントのインストール プロセスを完了し、ダウンロードしたエージェント実行可能ファイルを実行するオプションを選択します。プロンプトに従ってエージェントをデフォルトの場所にインストールします。

Teradici Standard Agent を登録する

インストール プロセスが完了すると、登録コードの入力を求められます。

  1. Teradici から取得した登録コードを入力します。

  2. 登録コードを入力したら、Windows インスタンスを再起動します。

ファイアウォール ルールを作成する

PCoIP クライアントは、複数のポートを使用して仮想ワークステーションと通信します。仮想ワークステーションとの間のトラフィックを許可するようにファイアウォール ルールを設定する必要があります。

  • Cloud Shell(仮想ワークステーションではありません)で、必要なポートを開くファイアウォール ルールを作成します。

    gcloud compute firewall-rules create allow-teradici \
        --allow tcp:443,tcp:4172,udp:4172,tcp:60443
    

PCoIP を使用して仮想ワークステーションにログインする

  1. ローカル PC で、Teradici サポートページの PCoIP Clients セクションに移動します。使用中のオペレーティング システムに対応する Teradici PCoIP Client をダウンロードしてインストールし、起動します。
  2. [New Connection] を選択します。
  3. [Host Address] フィールドに、仮想ワークステーションの外部 IP アドレスを入力します。必要に応じて、接続の名前を入力できます。

  4. 接続したら、仮想ワークステーション用に作成したユーザー名とパスワードを入力して認証します。

  5. 実行するデスクトップを選択するように求められたら、作成した仮想ワークステーションを選択します。

  6. [Connect] をクリックします。

    数秒後に、仮想ワークステーションに Windows デスクトップが表示されます。

仮想ワークステーションをテストする

仮想ワークステーションをデプロイした後、さまざまなツールを使用してパフォーマンスとインタラクティビティをテストできます。

  • 仮想ワークステーションに Google Chrome をインストールして、お気に入りのサイトの閲覧や、YouTube 動画の再生を行います。
  • Teradici の Session Statistics Viewer をインストールして、帯域幅使用量、レイテンシ、他のデスクトップ ストリーミング指標を調べます。
  • Teradici Standard Agent for Windows の構成について確認します。
  • アプリケーションをインストールして、動作やパフォーマンスをテストします。

トラブルシューティング

ここでは、ワークステーションをセットアップまたは接続する際に発生する可能性のある問題を示します。

音声が機能しない

問題: Windows 仮想ワークステーションから音が聞こえない。

解決策: Teradici Standard Agent の動作の都合上、インスタンスで Windows Audio サービスを手動で有効にする必要があります。

  1. Windows インスタンスにログインし、[スタート] > [コントロール パネル] > [ハードウェア] > [サウンド] の順にクリックして、サウンド コントロール パネルを開きます。

  2. [はい] をクリックします。Windows により、オーディオ ドライバが動作していることが確認されます。

    サウンドが機能している場合、Windows 仮想ワークステーションから音が聞こえます。

仮想ワークステーションに接続できない

問題: Zero Client を使用して仮想ワークステーションに接続できない。

解決策: 仮想ワークステーションに接続する前に、Zero Client にファームウェアのバージョン 6.1 以降がインストールされていることを確認します。詳細については、Teradici の担当者にお問い合わせください。

クリーンアップ

チュートリアルが終了したら、Google Cloud で作成したリソースをクリーンアップして今後料金が発生しないようにします。

仮想ワークステーションの停止

仮想ワークステーションを停止すると、永続ディスクの費用が発生しますが、いつでも再起動できます。仮想ワークステーションを停止するには、Cloud Shell で次のコマンドを実行します。

gcloud compute instances stop test-vws

プロジェクトの削除

  1. Google Cloud コンソールで、[リソースの管理] ページに移動します。

    [リソースの管理] に移動

  2. プロジェクト リストで、削除するプロジェクトを選択し、[削除] をクリックします。
  3. ダイアログでプロジェクト ID を入力し、[シャットダウン] をクリックしてプロジェクトを削除します。

すべてのコンポーネントの削除

  1. 仮想ワークステーションを削除します
  2. ファイアウォール ルールを削除します

次のステップ