このチュートリアルでは、CentOS 7 で動作し、仮想ディスプレイを備えた仮想ワークステーションを Google Cloud で作成する方法を説明します。ディスプレイ デバイスが必須のアプリケーションを実行する必要はあっても、コストのかかる GPU のフルパワーまでは要求されない場合、仮想ディスプレイを備えた仮想マシン(VM)が最適です。
Windows ワークステーションを作成するには、仮想 Windows ワークステーションの作成をご覧ください。
仮想ワークステーションを作成したら、Teradici の PC-over-IP(PCoIP) を使用してリモートアクセスする方法を学びます。これは、メディアおよびエンターテイメント、建築物の可視化、金融、政府機関、医療などの業界で広く使用されているリモート デスクトップ プロトコルです。PCoIP は、色精度およびロスレス ディスプレイのサポートを必要とするワークロードに不可欠な機能を提供します。
目標
- Compute Engine インスタンスを作成します。このインスタンスは、仮想ワークステーションの基盤として機能します。
- Teradici Cloud Access ソフトウェアを仮想ワークステーションにインストールします。
- Teradci PCoIP Client または、ハードウェア エンドポイントの一種である Zero Client を使用して、仮想ワークステーションに接続します。
費用
このチュートリアルでは、課金対象である次の Google Cloud コンポーネントを使用します。
料金計算ツールを使用すると、予想使用量に基づいて費用の見積もりを作成できます。本稿の執筆時点では、このチュートリアルで例示している典型的なワークステーション構成の費用は概算で 1 時間あたり $0.30 です。
このチュートリアルで、仮想ワークステーションを構成するリソースとコストに影響する要素は次のとおりです。
- 4 基の vCPU と 15 GB の RAM を備えた
n1-standard-4
マシンタイプ - 50 GB の標準永続ブートディスク
- インターネット送信データ転送の費用
インターネット データ転送は、仮想ワークステーションからローカルのディスプレイ クライアントにストリーミングされ、インターネット送信データ転送の費用で課金されるデータを表します。PCoIP セッション中のデータ転送に影響を与える変数は、帯域幅、画面解像度、ディスプレイ モニターの台数、使用するアプリケーション、各モニターのアクティビティの種類です。このチュートリアルで作成する仮想ワークステーション構成の費用は、使用量を平均 10 Mbps として計算されています。Teradici の Session Planning Guide は、さまざまなワークロード要件を理解するのに役立ちます。
また、Teradici Cloud Access Software ライセンスも必要です。ライセンスをまだお持ちでない場合は、試用版ライセンスに登録するか、Teradici の担当者にお問い合わせください。この仮想ワークステーションに使用する 30 日間の試用登録コードが提供されます。
始める前に
このチュートリアルでは、gcloud
コマンドと gsutil
コマンドを使用します。これらのコマンドは、Google Cloud コンソールから起動した Cloud Shell インスタンスから実行できます。ローカルのワークステーションで gcloud
と gsutil
を使用する場合、Google Cloud CLI をインストールします。
このチュートリアルでは、Cloud Shell でコマンドを実行する方法を説明しています。ワークステーション上の Google Cloud CLI を使用する場合、ここでの説明は環境に合わせて読み替えてください。
- Sign in to your Google Cloud account. If you're new to Google Cloud, create an account to evaluate how our products perform in real-world scenarios. New customers also get $300 in free credits to run, test, and deploy workloads.
-
Google Cloud Console の [プロジェクト セレクタ] ページで、Google Cloud プロジェクトを選択または作成します。
-
Compute Engine API を有効にします。
-
Google Cloud Console の [プロジェクト セレクタ] ページで、Google Cloud プロジェクトを選択または作成します。
-
Compute Engine API を有効にします。
また、次の条件が整っていることを確認してください。
- 選択したゾーン内に 4 基の vCPU の割り当てを持つ Google Cloud プロジェクト。
- Google Cloud コンソールにアクセスするための Google Chrome ブラウザ。
- 仮想ワークステーションにアクセスする Teradici ゼロクライアントか、Windows、Mac、または Linux 用の最新の Teradici のソフトウェア クライアント。
- Teradici Cloud Access Software ライセンス。前記の費用セクションで説明した通り、試用版ライセンスを取得できます。
アーキテクチャ
次の図は、このチュートリアルで単一の仮想ワークステーションをデプロイするためのコンポーネントを示しています。図に示すオプションのコンポーネントには、仮想ワークステーション、オブジェクト、共有ストレージに接続するさまざまな方法と、サードパーティ ライセンスを提供するための追加の VM インスタンスが含まれています。
仮想ワークステーションを作成する
Teradici Standard Agent(このチュートリアルの後半で仮想ワークステーションにインストールする)では、仮想ワークステーションの作成時に IP 転送を有効にし、HTTPS サーバー トラフィックを許可する必要があります。
Cloud Shell を開きます。
後で仮想ワークステーションを作成するために使用するゾーンを設定します。
gcloud config set compute/zone zone
zone
は、使用しているゾーンの名前(us-west2-b
など)に置き換えます。Cloud Shell で、仮想ワークステーション用の Compute Engine インスタンスを作成します。
gcloud compute instances create instance-name \ --machine-type=machine-type \ --enable-display-device \ --can-ip-forward \ --tags=https-server \ --image-project=image-project \ --image-family=image-family \ --boot-disk-size=size \ --boot-disk-type=book-disk-type
以下を置き換えます。
instance-name
: インスタンスの名前。machine-type
: 汎用の事前定義されたマシンタイプ、またはcustom-number-of-cpus-number-of-mb
形式を使用するカスタム マシンタイプ。image-project
: そのイメージ ファミリーのイメージ プロジェクト。image-family
: このイメージが属するイメージ ファミリーを指定するオプションのフラグ。size
: ブートディスクのサイズ(GB)。book-disk-type
:pd-standard
またはpd-ssd
。
例:
gcloud compute instances create test-vws \ --machine-type=n1-standard-4 \ --enable-display-device \ --can-ip-forward \ --tags=https-server \ --image-project=centos-cloud \ --image-family=centos-7 \ --boot-disk-size=50 \ --boot-disk-type=pd-standard
仮想ワークステーションが作成されると、マシンのステータスが表示されます。出力は次のようになります。
Created https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/project/zones/zone/instances/test-vws. NAME ZONE MACHINE_TYPE PREEMPTIBLE INTERNAL_IP EXTERNAL_IP STATUS test-vws us-west2-b n1-standard-4 10.168.0.1 203.0.113.1 RUNNING
仮想ワークステーションは、プロジェクトのデフォルトの VPC ネットワークに作成されます。仮想ワークステーションを別の VPC ネットワークに作成する場合は、コマンドに次のフラグを追加します。
--network=network
network
は、使用するネットワークの名前に置き換えます。リスト内の仮想ワークステーションの外部 IP アドレスをメモしておきます。これはチュートリアルの後半で使用します。
仮想ワークステーションの外部 IP アドレスは、Google Cloud コンソールを使用していつでも取得できます。
仮想ワークステーションにログインする
仮想ワークステーションの作成が終わったら、マシンにログインして構成できます。
Cloud Shell で、新しい仮想ワークステーションに接続します。
gcloud compute ssh test-vws
アカウントのパスワードを設定します。Teradci PCoIP Client ではユーザー パスワードが必要です。
sudo passwd `whoami`
プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。チュートリアルの後半で、このパスワードを使用して Teradici PCoIP クライアントから仮想ワークステーションにログインします。
グラフィック ライブラリとウィンドウ マネージャーをインストールする
Google Cloud のデフォルトの CentOS イメージは、CentOS の最小インストールです。次のステップは、GNOME デスクトップ環境で仮想ワークステーションを実行するために必要なライブラリをインストールすることです。
必要なコンポーネントを仮想ワークステーションにインストールします。
sudo yum -y update sudo yum -y groupinstall 'Server with GUI'
Teradici Cloud Access Software をインストールする
Teradici Cloud Access Software は、仮想ワークステーション上で動作するエージェントを提供し、ハードウェアまたはソフトウェア クライアントにデスクトップを提供します。
Teradici リポジトリを仮想ワークステーションにダウンロードしてインストールします。
curl -1sLf https://dl.teradici.com/It8xIlz1t7uJ2A2E/pcoip-agent/cfg/setup/bash.rpm.sh | sudo -E distro=el codename=7 bash
Linux 用 Teradici Standard Agent をインストールします。
sudo yum -y update sudo yum -y install pcoip-agent-standard
Teradici Standard Agent を登録する
仮想ワークステーションで、Teradici Cloud Access Software ライセンスを有効にします。
pcoip-register-host --registration-code=registration-code
registration-code
は、Teracic から受け取ったライセンス登録コードに置き換えます。仮想ワークステーションを再起動します。
sudo reboot
Cloud Shell からの接続は閉じられています。
ファイアウォール ルールを作成する
Teradci PCoIP Client は、複数のポートを使用して仮想ワークステーションと通信します。仮想ワークステーションとの間のトラフィックを許可するようにファイアウォール ルールを設定する必要があります。
Cloud Shell(仮想ワークステーションではありません)で、必要なポートを開くファイアウォール ルールを作成します。
gcloud compute firewall-rules create allow-teradici \ --allow tcp:443,tcp:4172,udp:4172,tcp:60443
PCo を使用して仮想ワークステーションにログインする
ローカル コンピュータで、Teradici サポートページの [PCoIP Clients] セクションに移動します。続いて、お使いのオペレーティング システムに対応する Teradici PCoIP Client をダウンロードおよびインストールし、起動します。
[New Connection] を選択します。
[Host Address] フィールドに、仮想ワークステーションの外部 IP アドレスを入力します。必要に応じて、接続の名前を入力できます。
接続されたら、仮想ワークステーション用に作成したユーザー名とパスワードを入力して認証します。
実行するデスクトップを選択するように求められたら、作成した仮想ワークステーションを選択します。
[接続] をクリックします。
数秒後に Linux のデスクトップが表示されます。
仮想ワークステーションをテストする
仮想ワークステーションをデプロイした後、さまざまなツールを使用してパフォーマンスとインタラクティビティをテストできます。
- 仮想ワークステーションに Google Chrome をインストールして、お気に入りのサイトの閲覧や、YouTube 動画の再生を行います。
- Linux 用の Teradici Standard Agent の構成について学習します。
- アプリケーションをインストールして、動作やパフォーマンスをテストします。
トラブルシューティング
ここでは、ワークステーションをセットアップまたは接続する際に発生する可能性のある問題を示します。
仮想ワークステーションに接続できない
問題: PCoIP Zero Client を使用して仮想ワークステーションに接続できない。
解決策: 仮想ワークステーションに接続する前に、Zero Client にファームウェアのバージョン 6.1 以降がインストールされていることを確認します。詳細については、Teradici の担当者にお問い合わせください。
クリーンアップ
チュートリアルが終了したら、Google Cloud で作成したリソースをクリーンアップして今後料金が発生しないようにします。
仮想ワークステーションの停止
仮想ワークステーションを停止すると、永続ディスクの費用が発生しますが、いつでも再起動できます。仮想ワークステーションを停止するには、Cloud Shell で次のコマンドを実行します。
gcloud compute instances stop test-vws
プロジェクトの削除
- Google Cloud コンソールで、[リソースの管理] ページに移動します。
- プロジェクト リストで、削除するプロジェクトを選択し、[削除] をクリックします。
- ダイアログでプロジェクト ID を入力し、[シャットダウン] をクリックしてプロジェクトを削除します。
すべてのコンポーネントの削除
次のステップ
- Teradici Cloud Access Software について詳しく学習する。
- Teradici PCoIP Client と他のリモート デスクトップ プロトコルの違いについて詳しく学習する。