IAM によるアクセス制御

関数をデプロイするユーザーまたはサービス アカウントは、プロジェクト レベルでロールを使用してアクセス制御を設定できます。プロジェクト メンバーまたはサービス アカウントにロールを付与して、Google Cloud プロジェクトとプロジェクトのリソースへのアクセスレベルを決定します。デフォルトでは、すべての Google Cloud プロジェクトに単一のユーザー(元のプロジェクト作成者)が設定されています。その他のユーザーは、プロジェクト チームのメンバーとして追加されるまでプロジェクトにアクセスすることはできず、関数にもアクセスできません。

ユーザーのアクセス制御

ユーザーをチームメンバーとしてプロジェクトに追加し、Identity and Access Management(IAM)を使用してロールを付与することができます。

Cloud Functions では、基本ロールである編集者オーナー閲覧者をサポートしています。それぞれ、以下の権限が付与されます。

  • 編集者所有者: すべての関数に関連するリソースに対する読み取り / 書き込みアクセス権。ユーザーに対して関数のデプロイ、更新、削除が許可されます。プロジェクト内の他のリソースへのアクセスも許可されます。
  • 閲覧者: 関数と場所に対する読み取り専用アクセス権。ユーザーは関数を一覧表示し、関数の詳細を参照できますが、ソースコードを表示することはできません。プロジェクト内の他のリソースへのアクセスも許可されます。

また Cloud Functions では、Cloud Functions の事前定義のデベロッパーおよび閲覧者のロールもサポートしています。それぞれ、以下の権限が付与されます。

  • デベロッパー: すべての関数関連のリソースに対する読み取り / 書き込みアクセス権。ユーザーに対して関数のデプロイ、更新、削除が許可されます。プロジェクト内の他のリソースへのアクセスは許可されません。
  • 閲覧者: 関数と場所に対する読み取り専用アクセス権。ユーザーは関数を一覧表示し、関数の詳細を参照できますが、ソースコードを表示することはできません。プロジェクト内の他のリソースへのアクセスは許可されません。

サービス アカウントのアクセス制御

サービス アカウントは特別なタイプの Google Cloud アカウントであり、データにアクセスしてさまざまなアクションを実行するために認証を受ける必要がある人間以外のユーザーの ID として機能します。これらのアカウントの一部は Google によって作成、管理され、サービス エージェントと呼ばれます。

Cloud Functions では次のサービス アカウントが使用されます。

名前 メンバー ID ロール
App Engine のデフォルトのサービス アカウント(第 1 世代のみ) PROJECT_ID@appspot.gserviceaccount.com 編集者
Compute Engine のデフォルトのサービス アカウント(第 2 世代のみ) PROJECT_NUMBER-compute@developer.gserviceaccount.com 編集者
Google Cloud Functions サービス エージェント service-PROJECT_NUMBER@gcf-admin-robot.iam.gserviceaccount.com Cloud Functions サービス エージェント
PROJECT_NUMBER@cloudbuild.gserviceaccount.com Cloud Build サービス アカウント
Cloud Build サービス アカウント service-PROJECT_NUMBER@gcp-sa-cloudbuild.iam.gserviceaccount.com Cloud Build サービス エージェント
Google Container Registry サービス エージェント service-PROJECT_NUMBER@containerregistry.iam.gserviceaccount.com Container Registry サービス エージェント
Artifact Registry サービス エージェント service-PROJECT_NUMBER@gcp-sa-artifactregistry.iam.gserviceaccount.com Artifact Registry サービス エージェント

ランタイム サービス アカウント

実行時に、Cloud Functions(第 1 世代)はデフォルトで App Engine のデフォルトのサービス アカウント(PROJECT_ID@appspot.gserviceaccount.com)を使用します。このアカウントには、プロジェクトに対する編集者ロールが付与されています。Cloud Functions(第 2 世代)はデフォルトで Compute Engine のデフォルトのサービス アカウント(PROJECT_NUMBER-compute@developer.gserviceaccount.com)を使用します。このアカウントにも、プロジェクトに対する編集者ロールが付与されています。これらのサービス アカウントのロールを変更して、実行中の関数に対する権限を制限または拡張できます。また、デフォルト以外の個別のサービス アカウントを指定することで、使用するサービス アカウントを変更することもできます。

サービス アカウントの詳細については、サービス アカウントのドキュメントをご覧ください。

管理者サービス アカウント

関数の作成、更新、または削除中にプロジェクトの管理アクションを実行するには、Cloud Functions のすべてのプロジェクトに Google Cloud Functions サービス エージェント サービス アカウント(service-PROJECT_NUMBER@gcf-admin-robot.iam.gserviceaccount.com)が必要です。

さらに、すべてのランタイムで、プロジェクト内のコンテナ イメージのビルドと保存が実行されます。これをサポートするには、次のものもプロビジョニングする必要があります。

これらのサービス アカウントには、前のにリストされているロールが必要です。

Google Cloud Functions サービス エージェント サービス アカウント

デフォルトでは、Google Cloud Functions サービス エージェント サービス アカウント(service-PROJECT_NUMBER@gcf-admin-robot.iam.gserviceaccount.com)にはプロジェクトの cloudfunctions.serviceAgent ロールが付与されています。このアカウントの権限を変更すると、関数の作成、更新、削除が失敗することがあります。

cloudfunctions.serviceAgent が使用する主な権限のいくつかを以下に示します。

権限 説明
roles/artifactregistry.admin リポジトリを管理し、ビルドイメージを Artifact Registry に保存します。
roles/cloudbuild.builds.editor ユーザー プロジェクトでビルドを実行するために、Cloud Build を使用する必要があります。
roles/cloudbuild.customworkers.builder Cloud Build カスタム ワーカーでビルドを作成します。
cloudfunctions.functions.invoke IAM で保護されている第 1 世代の HTTP 関数を呼び出します。
compute.globalOperations.get
compute.networks.access
vpcaccess.connectors.{get, use}
コンシューマー プロジェクトの VPC にアクセスできる関数をプロビジョニングします。
roles/eventarc.developer 第 2 世代の関数の Eventarc トリガーを管理します。
firebasedatabase.instances.{get, update} Firebase Realtime Database でトリガーされる関数を作成します。
iam.serviceAccounts.{actAs, getAccessToken, signBlob} ランタイム サービス アカウントの認証情報を取得する機能。
iam.serviceAccounts.getOpenIdToken エージェントがユーザー指定の権限で OpenID トークンを取得するために必要です。OpenID トークンは IAM が有効な関数を呼び出すために使用されます。
pubsub.subscriptions ユーザーのプロジェクトのサブスクリプションを管理します。
pubsub.topics ユーザーのプロジェクトのトピックを管理します。
roles/run.developer 第 2 世代の関数向けの Cloud Run サービスを管理します。
storage.buckets.{get, update} 第 1 世代の関数をトリガーする Cloud Storage バケットに通知を構成します。
storage.buckets.create
storage.objects.{delete, get, create, list}
ソースコードをユーザー プロジェクトに保存するために必要です。

定義済みの IAM ロールで、または次のコマンドを実行して権限のセット全体を表示できます。

gcloud iam roles describe roles/cloudfunctions.serviceAgent

このサービス アカウントをデフォルトのロールに戻すには、現在のロールをすべて削除し、Cloud Functions サービス エージェントのロールを追加します。

gcloud projects add-iam-policy-binding PROJECT_ID \
  --member serviceAccount:service-PROJECT_NUMBER@gcf-admin-robot.iam.gserviceaccount.com \
  --role roles/cloudfunctions.serviceAgent

権限エラーのトラブルシューティング

プロジェクトで関数をデプロイ、更新、削除、または実行する際に権限エラーが発生した場合は、次の手順に沿って操作してください。

  1. プロジェクトで編集者またはオーナーのロールを付与されていること、または Cloud Functions デベロッパーのロールを使用していることを確認します。

    プロジェクト レベルで Cloud Functions デベロッパーのロールを使用している場合は、ユーザーに IAM サービス アカウント ユーザーのロールを付与していることも確認します。

    現時点では、実行権限は関数ごとのレベルでのみ許可されます。

  2. Cloud Functions サービス エージェント サービス アカウント(service-PROJECT_NUMBER@gcf-admin-robot.iam.gserviceaccount.com)にプロジェクトの cloudfunctions.serviceAgent ロールがあることを確認します。

    このアカウントを表示するには、Console IAM ページの [権限] タブで [Google 提供のロール付与を含みます] チェックボックスがオンになっていることを確認します。また、gcloud projects add-iam-policy-binding PROJECT_ID を使用することもできます。

  3. 自身に Pub/SubCloud Storage などのトリガーのソースの権限があることを確認します。

関数の実行時に「十分な権限がありません」というエラーが表示された場合、または他の認証問題が発生した場合は、関数が必要とするリソースにアクセスするための適切な権限がランタイム サービス アカウントに付与されていることを確認して、ステップ 2 と 3 をもう一度行ってください。

デプロイ中に「サービス利用不可」エラーが発生した場合は、プロジェクトにランタイム サービス アカウント PROJECT_ID@appspot.gserviceaccount.com が存在することを確認してください。削除されたサービス アカウントを再作成するには、サービス アカウントの削除の取り消しをご覧ください。

Cloud Functions のトラブルシューティングもご覧ください。