1919 年に設立され、アムステルダムを拠点とする KLM オランダ航空は、創業当初の名称で運行している世界最古の航空会社です。乗客は年間 3,000 万人以上に達しており、200 機以上を運用し、世界各地の 163 の目的地へ向かう便を運航しています。オランダで 3 番目に規模の大きな民間雇用主でもあります。

KLM の利用客の年間平均利用回数は 1.4 回で、時間をかけて同社の予約用モバイルアプリをダウンロードしない可能性があります。そうした顧客に対して、同航空会社では「新しいエントリ ポイント」を必要としていました。新しいエントリ ポイントでは、音声やテキストを使用して会話型の操作を行えるようにする必要がありました。「会話型のエクスペリエンスは、そのような個人的なアプローチを可能にします。顧客との会話に温かみと個性をもたらします」と KLM ソーシャル メディア マネージャーの Ruben Klerks 氏は話します。

「私たちにとって、ソーシャル メディアには、Google アシスタントなどのすべてのメッセージ チャネルと支援プラットフォームが含まれます」と、KLM ソーシャル メディア担当ディレクター、Martine van der Lee 氏は語ります。Klerks 氏はさらに、「KLM は顧客に寄り添い、顧客のいる場所に存在すべきだと考えています」と話します。

KLM は2016 年に、お客様向けの会話体験を提供する取り組みを開始しました。この航空会社では複数のプラットフォームをテストした結果、Dialogflow を選択しました。「Dialogflow が大変気に入っています」と、van der Lee は言います。「とても強力な自然言語理解(NLU)機能を備えているため、会話の大部分を自動化できました。また、Dialogflow は私たちの開発チームにも非常に使いやすく、エクスペリエンスをビルドしてすぐに現場で利用できるようになりました。」

この航空会社の最初のプロジェクトは 2017 年 9 月に導入した Facebook メッセンジャー用の予約ボットに関するものでした。KLM では青色のボットを意味する「BB」という名前を付けました(青は同社のトレードマークの色です)。BB のパーソナリティは女性で、役に立ち、親しみやすく、プロフェッショナルであるというものです。彼女には少し先端を行く面があり、ときにはジョークを言うこともあります。「Messenger で予約する場合は、目的地や、飛行機に搭乗する予定日などを BB が尋ねます」と Van der Lee 氏は説明します。「当社がお客様にオプションを提示し、お客様は、購入、個人情報の入力、予約の確認を行うことができます。これらはすべて会話アプリで行えます」BB と KLM の CRM システムを接続することで、BB が答えることができない場合は、人間のエージェントが簡単に引き継ぐことができます。

数か月後、KLM は顧客向けに BB との新たなコミュニケーション方法を作成しました。同航空会社では 2017 年 12 月に Google アシスタント向けのパッキング サービスを開始しました。「BB によって、目的地へ持参すべきものや旅行期間など、必要なことについてすべて案内されます」と Van der Lee 氏は話します。「ビザの申請を行う必要の有無や薬の持ち込みが必要であるかなど、適切な質問をしてくれます。これによって、旅行者は旅の準備を行うことができます。天気予報に基づいて、予備の衣類や傘を持って行く必要があるかどうかを確認します」

同社では BB の開発を数か月以内の期間で主に社内で進め、部門間での協力を行い、マーケティング、IT、コミュニケーション、コピーライト、UX、エンジニアリングなどに携わるメンバーが関与しました。また、パッキング エクスペリエンスの作成にあたって、デジタル広告代理店の参加も求めました。

KLM では、BB が早期に優れたパフォーマンスを発揮することが高く評価されています。同社では、顧客があらゆる種類の質問に対する楽しいイースター エッグ レスポンスを見つけることを目的として BB によるチャットを楽しんでいることを発見しました。

同航空会社では、旅行者が旅行の計画にあたり移動手段を容易に手配し、休暇中の旅行日程に集中できるよう、予約とパッキングのエクスペリエンスを統合する予定です。BB の機能の改善についても引き続き取り組む予定です。「当社の目標は、カスタマー ジャーニー全体を通じて旅行者をサポートすることです」と Klerks 氏は話します。「当社では BB を KLM サービス ファミリーの拡張機能として見ているのです」