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通信

クラウドベースのテクノロジーと 5G ネットワークを収益化するためのベスト プラクティス

2023年6月1日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 5 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

通信サービス プロバイダ(CSP)のリーダーたちは、5G ネットワークへの投資をより効果的に収益に結びつけるために、クラウドでモダナイズすることを選択しています。そこで私たちは、業界全体がこれらの取り組みをどのように進めているかを知りたいと考えました。共有可能なベスト プラクティスはあるのでしょうか?主な課題は何でしょうか?また、先進的な CSP はそれらをどのように解決しているのでしょうか?

Heavy Reading が実施した調査(Google Cloud が資金提供)で、世界中の Tier 1、2、3 の CSP の経営幹部にさまざまな質問にお答えいただきました。この調査結果は、ホワイトペーパーMonetizing the Cloud-Based Network(クラウドベースのネットワークの収益化)にまとめられていますので、ぜひご覧ください。

ここでは、この調査から得られた 5 つの重要なポイントをご紹介します。

1. CSP は、単一のクラウドのみのアプローチではなく、包括的なクラウド戦略を採用している

実際、調査回答者の 77% が、プライベート クラウドとパブリック クラウドを統合したハイブリッド クラウド アプローチに焦点を当てており、まさにそれを実践しています。クラウドベースやクラウドネイティブなテクノロジーを使用した変革は、迅速なイノベーションや効果的なスケーリングを行ううえで重要ですが、純然たる事実として、すべてのネットワーク機能やすべてのワークロードをすぐにパブリック クラウドに移行できるわけではありません。リージョン固有のコンプライアンスやレイテンシの要件といった、ハイブリッド アプローチを決定付ける重要な考慮事項があります。そのため、CSP には、コアからエッジに至るまで、構内ベースとクラウド環境全体にわたって稼働するネットワークを管理できる、共通のオペレーティング モデルが必要となります。

私たちは、分散クラウド アーキテクチャがこの解決策であると確信しています。Google Distributed Cloud(GDC)Edge は、Google のネットワーク エッジ、オペレータ エッジ、お客様のエッジ、お客様のデータセンターのオンプレミスで、ネットワーク機能とその機能全体で実行されるアプリケーションをサポートします。また、すべてを 1 つのコントロール プレーンで一元管理できます。先ごろ開催された Mobile World Congress 2023 で、Google Cloud は GDC Edge 上で無線アクセス ネットワーク(RAN)を実行できる機能についても発表しました。私たちは、ネットワーク機能プロバイダと戦略的パートナーシップを構築することで、CSP が必要としている方法でネットワークを管理できる柔軟性を提供しながら、5G への投資の収益化に向けた重要な要素であるデプロイ費用と運用費用の最適化を支援します。

2. AI、ML、自動化が、5G の収益化の基盤となる

AI / ML の活用による自動化の促進は、CSP の能力の差別化につながると私たちは考えます。なぜなら、組織内のさまざまな機能やチームにわたって価値を提供できるからです。最も大きな効果が期待できる上位 3 つの分野には、ネットワークの運用と最適化、カスタマー エクスペリエンス、ネットワーク セキュリティが挙げられることが、調査によって判明しています。

Heavy Reading のリサーチ ディレクターである Jim Hodges 氏によると、AI、ML、自動化は、バックエンドとフロントエンドの機能を結び付けて、カスタマー エクスペリエンスの全体像を把握できるので、最終的にはセールス、マーケティング、セキュリティ、カスタマー エクスペリエンス、そしてネットワークやオペレーション チームにとっても基盤の機能になるといいます。

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Google Cloud は、5G 時代のデータドリブンな CSP は、AI と ML の力でデータと分析を有効活用し、CSP からサービスを購入した企業が、エンド カスタマーに向けて元のサービスをさらにカスタマイズして付加価値をつける、新たな「business-to-business-to-X」(B2B2X)の収益機会を生み出すことに注力していくと考えています。実社会では、以下の例が考えられます。

  • 小売業においてロケーション インテリジェンスを使用することで、消費者がいつ、どこで買い物をするかを把握し、より適切なサイト計画、よりターゲットを絞ったマーケティング サービスを実現

  • 自動車、運輸、物流業界全体の運用効率の向上。たとえば、センサーだけでなく、ネットワークへのアクセス数も活用して、1 か月あたりの稼働するトラック台数を追跡

  • 外観検査、在庫切れ予測、ロボット技術を使用したリアルタイムの在庫管理

  • 動画と AI を利用した異常検知による製造現場での不良品の削減

  • スマートシティ: 公共部門における敷地計画と位置情報データの活用によるサービスや施設の計画の改善

3. B2B2X モデルに対する 5G の API ベース アプリケーション、データ公開モデル、スライスベース サービスのメリット

これらのモデルの価値は、高度にプログラム可能であり、多種多様なサービスの収益化を強化するために活用できることです。本調査の CSP の回答者は、新たな B2B2X の収益源を促進するためには、幅広いデータを公開する必要があると指摘しています。優先順位の高い上位 3 つには、サービス エクスペリエンスに関する分析情報、負荷とパフォーマンスの分析、モビリティに関する分析情報が挙げられます。B2B2X の新サービスをサポートするには、多層的なデータの公開と、エコシステム パートナーとの統合された機能公開フレームワークの開発が不可欠であり、5G ネットワーク全体で一貫したエンドツーエンドのデジタル エクスペリエンスを確保するうえでも重要となります。

さらに、Google は 5G ネットワーク スライシング機能を提供し、CSP とその顧客がネットワーク スライス上でエンタープライズ アプリケーションやサービスを提供できるよう支援します。たとえば、自律走行車や遠隔医療提供など、特定のサービスではセキュリティやパフォーマンスの強化が必要となる場合があります。これらのスライスは、ユースケースに基づいて特定のプロパティを使用して動的に作成することができ、なおかつ基盤の共有リソースも活用できます。

4. 5G の収益化をサポートするビジネス サポート システム(BSS)の簡略化の余地は残されている

調査回答者の 64% が、既存のシステムが複雑すぎて、ネットワークを効果的に収益化できないと考えています。さらに、回答者の 10 人中 4 人が、既存の BSS は、新しい 5G サービスを自己構成して迅速に収益化するためのアジリティを備えていないと考えています。

Google Cloud 上で動作する MATRIXX Digital Commerce Platform のような、最新のクラウドネイティブなデジタル課金ソリューションは、CSP がクラウドベースのトランスフォーメーション戦略を実行する際に、アジリティの課題を解決できるようにする方法の一つです。このソリューションは、ノーコードでの革新的な収益化モデルの構成、ビジネスとネットワーク機能のインテグレーションの効率化に役立つ構成可能なゲートウェイ、IT システムだけでなく事業部門のデータ機能も公開するオープンで構成可能な API をサポートしています。  

MATRIXX Software の CTO である Marc Price 氏は、次のように述べています。「通信事業者は、依然として次世代サービスの提供という課題を抱えています。クラウドベースの収益化は、通信事業者が競争し、進化する消費者や企業の需要に対応するための重要な要素といえます。」

5. セキュリティへの信頼は、収益化の取り組みを成功させる根幹である

クラウドの収益化を成功させるためのセキュリティに関し、回答者の 53% がクラウドデータを保存する際の安全性に懸念を示しています。また、同様にその 2 位にはデータ主権の確保、3 位には規制要件の遵守を挙げています。

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MATRIXX と Google Cloud は、CSP 向けの共同ソリューションを提供しています。5G の収益化をキャリア グレードでリアルタイムに実現するプラットフォームで、パブリック クラウドに安全にデプロイされます。Google Cloud の Confidential Computing が有効になっている Google Cloud 環境で MATRIXX Digital Commerce Platform は動作します。このソリューションは、保存中および転送中のデータに加え、処理中のデータの暗号化もサポートします。MATRIXX は、Google Cloud の Confidential Computing を使用する CSP が、収益化プロセスにおける個人データの安全性を実証するために規制機関が求める監査と制御を実現できることを証明しています。

Heavy Reading の調査に基づき、CSP は新サービスを開発して収益化する際にもたらされるアジリティと柔軟性のメリットによって、クラウドベースのテクノロジーを活用した 5G の変革に熱心に取り組んでいると結論付けることができます。Heavy Reading は、「どのような規模の CSP でも、短期的および中期的な投資機会をランク付けする際に、5G ネットワークへの投資を戦略的に不可欠なものとして考慮に入れる必要がある」ことを確信しています。

以上、調査結果の重要なポイントの一部をお伝えしました。詳細については、ご登録のうえホワイトペーパーをダウンロードするか、関連するオンデマンドのウェブセミナーをご覧ください。


- Google Cloud、クラウド IT 通信企業向けソリューション担当責任者 Matt Anderson
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