フレームワークからスケールへ: MWC 26 で自律型ネットワークを加速
Muninder Sambi
VP, PM and GM, Networking, Google Cloud
Dave Weissman
Principal Engineer, Google Cloud
※この投稿は米国時間 2026 年 3 月 3 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
昨年、Google は自律型ネットワーク運用フレームワークを発表しました。これは、通信サービス プロバイダ(CSP)が、サイロ化された自動化から自己修復型の「ゼロタッチ」ネットワークへと移行できるようにするための布石です。現在、Google は、ネットワークにおいて AI を単にインサイトに利用するだけでなく、感知、推論、自律的な行動が可能なインテリジェント エージェントへと進化させるべく取り組んでいます。
Mobile World Congress(MWC)Barcelona の開催を迎え、同イベントではこの変化がどのように実現されつつあるかをご紹介しています。Deutsche Telekom や Vodafone などの企業は、AI を運用の中核に組み込むことで、運用の複雑さを軽減し、接続を単なるユーティリティから価値創造エンジンへと進化させています。
プロダクトのイノベーション: エージェント型通信エンジン
業界の重要な目標は、レベル 4~5 の自律性を実現することです。これは、人間の介入なしにネットワーク自体が問題を特定、診断、修正できるようなレベルです。そのためには、基盤となるデータ プラットフォームがネットワークと同じく動的であることが前提となります。この 1 年間、Google は Cloud Spanner Graph および Vertex AI を進化させ、通信事業者が求める「二重の性質」に対応しました。具体的には、アラームの相関関係に基づき、リアルタイムに高速で応答する能力に加えて、履歴パターンの詳細分析に基づく検出能力を組み合わせるというものです。
現在、Google では、このような自律的な運用をサポートするためにプラットフォームを以下のように改良しています。
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ネットワーク デジタルツイン: ネットワーク デジタルツインが、ネットワークの静的なマップから、物理的および論理的な最新状態を動的に表す時系列グラフへと進化しました。パフォーマンスおよび障害の状態をリアルタイムで把握する一方で、エージェントが過去の状態(5 時間前や数日前など)をクエリし、正確な根本原因分析を即座に行えるようになっています。
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統合グラフ データレイヤ: 運用データと分析データを隔てるサイロを解消します。具体的には、デジタルツインに Spanner Graph を活用するとともに、BigQuery による連携グラフ分析に対応しています。これにより、通信事業者は、複雑で時間のかかる ETL(抽出、変換、読み込み)プロセスを省略して、リアルタイムの更新および詳細な履歴分析を相互に実行することが可能となります。
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GNN によるリアルタイム予測: Vertex AI でネットワーク デジタルツイン データに基づきグラフ ニューラル ネットワーク(GNN)をトレーニングできるようになりました。その後、トレーニング済みの GNN モデルと、Spanner の ML.PREDICT 機能、ネットワーク デジタルツインのリアルタイム データを組み合わせることで、モニタリングだけでなく予測を行えます。具体的には、障害がどのように伝播するかを数学的に追跡し、利用者に影響を与える前に解決します。
ソリューションのアップデート: 価値創出を加速
レベル 4~5 の自律性を実現するうえで最大の課題の一つは、接続されていないレガシー システムで生じる手動の遅延です。Google は、このようなボトルネックに対処し、統合自動システムへと置き換えるための新しいツールをリリースします。
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オープンソースのデータ基盤: 導入を促進するため、Google の通信用データ パイプラインおよびデータモデルのソースコードを GitHub でリリースしました。これにより、CSP は、手動でスキーマをマッピングすることなく、業界標準の統合オントロジーを実装できます。
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通信事業者向けの最新エージェント: FutureConnections と連携し、以下の 2 つの新しい価値実証エージェントをリリースしました。
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データ スチュワード エージェント: データ ガバナンスを自動化し、デジタルツインの正確性を維持するエージェント ワークフロー。
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自律型ネットワーク エージェント: 現在 One NZ が試験運用しているこれらのエージェントは、音声コアと OSS ネットワークを管理し、モニタリングだけでなく積極的な対応を行います。たとえば、通話品質の低下が検出されたら即座にトラフィックを別に再ルーティングしたり、ネットワーク設定をリセットして通話品質を復元したりできます。
エコシステムの活発化によるイノベーションの促進
真の自律性を実現するには、活発なエコシステムが必要不可欠です。今年、Google はいくつかの重要なマイルストーンを達成しました。
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MasOrange、NetAI: Google は NetAI と連携して GraphML ベースの AIOps の提供に取り組んでおり、共同で MasOrange 向けのパイロット プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、Google Cloud の AI スタック内でパートナーによる特殊モデルを実行することでネットワーク インシデントを解決できることを示し、自律的なアクションに対する信頼を獲得しています。
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Nokia の「Network as Code」: Nokia と連携し、複雑な技術コードではなく、平易な言語を理解する AI エージェントによってネットワークを完全にプログラムできるよう取り組んでいます。これにより、通信事業者は、緊急サービスや遠隔医療などの重要サービスにネットワーク リソースを優先的に割り当てるといった複雑なタスクを、手動で開発して組み込まなくても、ネットワークに依頼するだけで済むようになります。
今後の動向
エージェント型 AI の時代が到来しています。Google は、通信事業者のネットワーク ファブリックに AI を組み込むことで、接続が単なるユーティリティからお客様を継続的に満足させるインテリジェントなサービス プロバイダへと生まれ変われるよう支援しています。
MWC にぜひご参加ください。ホール 2 のブース #2H40 では、マルチエージェント システム、デジタルツイン、物理的な AI ロボットのライブデモなど、各種ソリューションの事例をご覧いただけます。最新のホワイトペーパーをダウンロードして、Google のアプローチについてさらに詳しくご覧ください。
- Google Cloud、ネットワーキング担当バイス プレジデント、プロダクト マネージャー、ゼネラル マネージャー、 Muninder Sambi
- Google Cloud、プリンシパル エンジニア、 Dave Weissman

