Brazos のご紹介: 空冷データセンターでも液体冷却システムが利用可能に
Jorge Padilla
Senior Staff Product Design Engineer, Google
Madhusudan Iyengar
Distinguished Engineer, Google
※この投稿は米国時間 2026 年 6 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
次世代の AI チップやハイ パフォーマンス コンピューティング(HPC)チップの熱設計電力(TDP)は、通常 1,000 W を超えています。簡単に言うと、標準的な空冷システムでは、これほど高い熱負荷に対応することはできません。もう一つの選択肢として、データセンター施設全体に冷水ループを後付けする方法がありますが、これには膨大な資金と時間がかかります。Google はこの問題を解決するため、Brazos を開発しました。Brazos はラックマウント型のクローズドループ液体空冷システムで、既存の空冷環境内に高密度の液体冷却機器を導入することを可能にします。現在一般提供されており、Google の製造サプライヤーはより広範な業界と連携して Google Brazos の設計を市場に展開し、量産体制を整える準備ができています。
データセンター設備の改修には数か月単位の期間を要することもありますが、Brazos はラック単位で簡単に導入できるため、従来の大規模な改修作業が不要になります。IT 機器内部の液体循環ループを施設の給水系統から切り離すことで、標準的な空冷システム並みの運用しやすさを維持しながら高性能な液体冷却を実現することができます。


図 1: Brazos OCP ORV3 サイドカー構成。隣接する IT ラックを冷却する 3 つのユニットを示しています。
Brazos は自己完結型の液体冷却エコシステムとして機能します。コンポーネント単位で液体を介して熱を効率的に吸い上げ、高効率の液体対空気熱交換器によって、その熱をデータセンターのホットアイルへと放出します。このプラグアンドプレイ アーキテクチャなら、十分な電力と標準的な空調能力さえあれば、どのような既存施設にもすぐに導入可能です。


システム設計と技術仕様
Brazos は、3 つの冷却ユニットや統合ラック マニホールドで構成されるモジュール式システムで、そのすべてが高い信頼性を実現するように設計されています。各モジュール式シャーシは 11 オープンユニット(OU)のラック高を占有し、標準の Open Compute Project(OCP)ORv3 フォームファクタ ラックに対応しています。主な設計パラメータとパフォーマンス パラメータは次のとおりです。
- ラック冷却能力: 3 つのモジュール ユニット全体で、ラックあたり 60 kW の公称熱負荷に対応可能
- 対応冷却材: 脱イオン水(DI)または 25% プロピレン グリコール混合液(PG25)のいずれかで動作
- 電力供給: 標準的なラックバスバーに直接接続する設計の 40~60 V DC 入力で動作
- 安全機能: UL / CSA / IEC 62368-1 規格の認証を取得、圧力逃し弁と併せて漏れ検出機能も内蔵
- コントロール プレーン: 現場でのモニタリングでは組み込みのヒューマン マシン インターフェース(HMI)を使用、リモート管理では Modbus over TCP を介して接続
機械設計は現場での保守性を優先したものになっています。シャーシは低摩擦のスライド上に配置されているため、簡単に引き出してコンポーネントに迅速にアクセスできます。ポンプやファンなどの重要なコンポーネントは、ホットスワップ対応の現場交換可能ユニット(FRU)として設計されており、平均修理時間(MTTR)を最小限に抑えます。
迅速な導入と業界への普及
今後数か月以内に、業界フォーラムを通じて Brazos の技術仕様、設計原則、ビジュアル アセットを正式にオープンソース化していく予定です。Google は液体冷却とともに水不使用の空冷システムも継続的に活用しており、Brazos はこうした広範なインフラストラクチャ ポートフォリオの一環となる、オープン ハードウェア エコシステムに貢献する数あるイノベーションの一つに位置づけられます。将来の高電力コンピューティングの需要を見据えて、システム アーキテクト、メーカー、サーマル エンジニアの皆様がこれらの設計を評価し、ラックマウント型冷却インフラストラクチャをスケールアップするためにご活用くださることを期待しています。
次のステップ
既存のデータセンター インフラストラクチャを液体冷却向けに最適化できるよう、Open Compute Project フォーラムで今後公開される Google のオープンソースの設計案をぜひご確認ください。
- Google、シニアスタッフ プロダクト デザイン エンジニア、Jorge Padilla
- Google、上級エンジニア、Madhusudan Iyengar


