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サステナビリティ

時間単位のエネルギー追跡によって、カーボンフリーの未来を推進する

2023年12月1日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 11 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

2020 年に Google は、2030 年までに全世界で 24/7 カーボンフリー電力(CFE)を基盤に事業を運営するという、Google 史上で最も大胆なクリーン エネルギー目標を発表しました。これは具体的には、データセンターやオフィスといった世界中の拠点からのあらゆる電力需要を、事業展開するすべての地域において毎日、毎時間、カーボンフリー エネルギー供給でまかなうことを目指すというものです。

Google は、この目標達成に向けて着手した当初から、Google の事業およびそれを支える電力網供給者の両方で脱炭素化をすみやかに進めるために、ツールや、テクノロジー、ポリシーなど、幅広く刷新を進める必要があると考えていました。当社の目標、ならびに、世界中の電力システムを完全に脱炭素化するというより大きな目標を達成するための重要なツールとして、時間ベースのエネルギー属性証明書(T-EAC)があげられます。これは、クリーン エネルギーの生成を推進し、エネルギーの取引を時間単位で追跡できるようにするものです。

Google は 2021 年に T-EAC の試験運用を開始して以来、世界中のパートナーと連携し、その発展および世界的な普及に向けて尽力してきました。この投稿では、T-EAC 推進活動が現在、Google の枠組みを超え、各方面の協力を得て広がっている様子をご紹介します。具体的には、クリーン エネルギーの購入者、供給者、レジストリ、デジタル ソリューション プロバイダ、政策立案者らが、T-EAC の実績およびスケーラビリティの向上に貢献し、システム全体で時間単位のエネルギー追跡に移行できるよう努めています。

クリーン エネルギーへのニーズが高まり、T-EAC の重要性と価値が明らかに

T-EAC 推進活動の開始以来、信頼性と透明性を兼ね備えた、きめ細かなエネルギー追跡システムへのニーズは高まる一方です。

電力システムの事業者は、エネルギー属性の市場における透明性を求めており、その解決策を「時間単位のエネルギー追跡」に見出しています。太陽光や風力のような変動する再生可能エネルギーが急速に成長するなかで、カーボンフリー エネルギーの生産量と消費量を時間単位で一致させることや、T-EAC を使ってこのような生産および消費活動を追跡し、電力網の管理向上および信頼性確保に役立てることが、電力システムの事業者にとって重要な課題となっています。

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一方で、政策立案者、規制機関、電力会社は、クリーン エネルギー政策によって期待通りの効果を確実に達成するための手段や基準を求めています。たとえば、多くの政府がクリーンな水素業界の確立に向けて政策を実施していますが、最終的に得られる水素がカーボンフリーであることを保証するためには、地域単位かつ時間単位でクリーン エネルギーを一致させることが重要であると、プリンストン大学マサチューセッツ工科大学ベルリン工科大学の最近の研究で示されています。欧州の水素規制や米国連邦の調達規則など、時間単位の一致ポリシーが新しく打ち出されるなかで、T-EAC は組織がこれらの規則を満たすために必須のツールになると同時に、エネルギー供給業者が時間単位認定付きのスケーラブルなクリーン エネルギー商品を提供するために欠かせないものとなるでしょう。

また、化石燃料に依存した事業運営に対する監視の目が厳しくなるなかで、T-EAC は市場の透明性および炭素計算の正確性の向上に役立ち、結果として、企業のクリーン エネルギーに関するデータの信頼性向上につながります。

T-EAC は実現可能であり、普及に向けて準備ができている

T-EAC の価値が明らかになるにつれ、このツールを広く普及させることが現実的な話になってきています。

米国欧州その他の地域の EAC レジストリが、T-EAC の運用能力を身につけています。また、Center for Resource Solutions の調査によると、米国でまだ時間単位の証明書に対応していないレジストリは、1~2 年以内に対応できるようになるとのことです。

Google は世界中の事業で T-EAC の導入に取り組んでおり、その可用性およびスケーラビリティの向上を間近で感じています。当社の T-EAC への取り組みは、まず、ソフトウェア プロバイダ FlexiDAO と連携し、時間単位でクリーン エネルギーを追跡するデジタル ソリューションの試験運用版をデンマーク、アイルランド、オランダの施設に導入することから始まりました。この試験運用版をベースに、現在 FlexiDAO とのパートナー関係を拡充中であり、今後数年間で 24/7 の CFE 追跡を完全デジタル化および自動化するとともに、世界中のカーボンフリー エネルギー ポートフォリオに T-EAC を導入する予定です。また、Google 以外の組織による取り組みも目にするようになりました。たとえば、時間単位のエネルギー追跡を普及させるための新ツールやデータ ソリューションの開発が進んでおり、こうした進展を頼もしく思っています。

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* 詳しくは、EnergyTag のウェブサイトをご覧ください。
** 上図の政策策定の例(左から右): U.S. Federal Government E.O. 14057(米国)、Irish Climate Action Plan, 24/7 for Large Energy Users(アイルランド)、UK Low Carbon Hydrogen Standard(英国)、Delegated Act on RNFBO(欧州委員会)、Renewable Energy Directive III(欧州委員会)、REGO Certificate Consultation(オーストラリア)

クリーン エネルギーの関連組織が T-EAC の普及を促進する方法

T-EAC は成熟しており、クリーン エネルギーの購入者および供給者は、その普及を促す行動を今すぐ起こすことが可能です。

  • 供給と需要を増やす: 最近の量的および質的調査によると、企業が 24/7 カーボンフリー電力調達を費用対効果の高い方法で簡単に行えるようにするには、T-EAC 市場への参加が重要になってくるとのことです。市場参加の形としては、クリーン エネルギーの供給業者の立場なら、T-EAC の検証に基づいてきめ細かい情報を提供する新商品を開発する、クリーン エネルギー購入者の立場なら、供給者やレジストリに対して T-EAC の必要性を訴える、といった方法が考えられます。時間単位のクリーン エネルギー一致目標をまだ立てていない購入者でも、クリーン エネルギーの供給について理解を深め、将来に通用するような調達戦略を練るという形で、市場に参加できます。
  • エネルギー データへのアクセスを支援する: エネルギー データをデジタル化し、こうしたデータへのアクセスを容易にすることは、先進的なクリーン エネルギー ソリューションの費用削減および効率化につながり、各方面にメリットをもたらします。こうしたメリットを実現するために、クリーン エネルギーの関連組織は、International Energy AgencyMission:data Coalition などの組織と連携してデータアクセスの促進に努めたり、EnergyTagLinux Foundation Energy らとデータ基準の策定に向けて広く議論したりするとよいでしょう。
  • データ マネジメント サービスやツールのパートナーを見つける: クリーン エネルギーの購入者は、炭素計算の正確性を向上させ、データ マネジメントの複雑さを回避するために、T-EAC や企業のエネルギー調達に特化したソリューションを提供してくれるプロバイダと提携するとよいでしょう。Google がパートナーと共同開発しているソリューションを Google Cloud Marketplace でご覧ください。

T-EAC は普及に向けて準備ができています。クリーン エネルギーの購入者、レジストリ、電力網事業者など、各方面の協力を得ることで、カーボンフリー エネルギーの常時達成に向けて重要な一歩を踏み出すことが可能となります。Google は、今後もパートナーの皆様と連携を続け、T-EAC を世界に普及させるために尽力してまいります。

-エネルギーおよび炭素データ担当テクニカル プログラム マネージャー Hallie Cramer

-データおよびソフトウェア気候変動ソリューション リード Savannah Goodman

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