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スタートアップ & SMB

Moss、Google Cloud で気候変動の緩和を簡素化

2022年6月15日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 4 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。


編集者注: 環境の日は、よりクリーンで、健康的で、サステナブルな未来をつくるために、私たち誰もが貢献できることを再認識する日です。Google Cloud では、新しい技術を開発し、サステナブルな変化を遂げる革新的なスタートアップ企業らの貢献と成功を祝福したいと考えています。本日は、ブロックチェーンと Google Cloud テクノロジーを使ってカーボン オフセット取引を簡素化し、トレーサビリティを向上させているブラジルのスタートアップ、Moss をご紹介します。


ブラジルは、気候変動との闘いにおいて重要な国です。2 億 1,200 万人の人口を擁するブラジルは、世界で 6 番目に人口の多い国です。アマゾンの熱帯雨林の面積は世界最大であり、第 2 位と第 3 位の熱帯雨林を合わせた面積よりも大きく、地球最大の炭素吸収源となっています。しかし、農業開発や資源採取のために、すでにその 17% が失われています。

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私は、ブラジル人、そして世界中の人々のために、よりサステナブルな未来を実現することに情熱を注いでいます。それは、ビジネス パートナーである Luis Felipe Adaime も同じです。Luis Felipe は、以前は金融業界で働いていました。少なくともブラジルでは、金融業界におけるサステナビリティへの取り組みはまだ初期段階にあります。Luis Felipe は気候変動や ESG(環境、社会、ガバナンス)戦略に関心がありましたが、ブラジルの金融業界では、これらのことについて話す人さえほとんどいませんでした。娘が生まれた後、彼は自分の人生を気候変動対策に捧げることを決意し、Moss を設立しました。

私がパートナー兼マネージング ディレクターを務めている Moss は、グリーン カーボン オフセット取引を簡素化することで、気候変動対策を簡単に実現できるようにしています。ブラジルでスタートした当社は、今ではグローバルに展開して急成長しており、44 名の従業員が世界中のより多くのお客様にアプローチすることに専念しています。今、サステナビリティへの注目はあらゆるところで高まっています。たとえば 2019 年、英国は世界で初めてネットゼロ炭素排出量の目標を法制化し、2050 年までに温室効果ガスの純排出量を 1990 年比で 100% 削減することを義務付けました。世界の他の国も同様の目標を掲げています。

ネットゼロ炭素排出量とは、大気中に二酸化炭素(またはそれに相当するもの)をまったく排出しないという意味ではありません。現在の経済や人間の活動を考えると、それはおそらく不可能です。ネットゼロとは、排出された 1 トンの二酸化炭素に対し、炭素吸収源として植林を行うなどして 1 トンの二酸化炭素を除去することを意味します。

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カーボン クレジットへのアクセスを拡大し、気候変動に立ち向かう

当社のミッションはシンプルです。それは、カーボン オフセット クレジットの購入市場を拡大するために必要なツールをデジタル化し、気候変動に立ち向かうことです。私たちはまず、既存のクレジットをブロックチェーンに移行し、グリーン トークンである MCO2 を作成して、自身の責任を果たしたい企業や個人に販売することから始めました。MCO2 は、Ethereum ブロックチェーンでスマート コントラクトを作成、発行するために使用される規格である ERC-20 ユーティリティ トークンです。

当社からカーボン オフセット クレジットを購入し、それを使用すれば、木材伐採や牛の放牧によるアマゾンの森林破壊を防ぐプロジェクトにお金を寄付していることになります。

Moss はウェブサイトで情報を公開してリアルタイムで照合できるようにしており、保有者は Ethereum ブロックチェーンのトークンの総供給量を確認し、カーボン クレジット市場の通常の在庫と比較できます。当社は、英国の不動産投資ファンドである Harrison Street や米国の暗号通貨管理ファンドである One River Asset Management などのグローバル企業と提携しています。しかし、最大のお客様はここブラジルの企業です。これらの企業は、自社の二酸化炭素排出量を相殺する目的で当社のクレジットを購入したり、自社の顧客にクレジットを提供したりしています。
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たとえば、ブラジル最大の航空会社である GOL は、乗客が航空券を購入する際に、旅行で排出される炭素を相殺するオプションを提供しています。また、当社はブラジルの多くのサッカーチームとも提携して、個人が二酸化炭素排出量を相殺するためのクレジットを購入できるアプリを Google Play ストアで提供しています。

高度なセキュリティによって製品化までの時間を短縮

当社の CTO である Renan Kruger は前職で Google Workspace を愛用していたため、当初から Google Cloud の利用を強く働きかけていました。IT チームも、Cloud SQLCloud StorageCompute EngineGoogle Kubernetes Engine(GKE)、BigQueryDataflowCloud Functions の機能にアクセスできる Google Cloud の利用を強く推していました。当社と同じように、Google Cloud が環境のサステナビリティに真剣に取り組んでいることも高く評価しています。

BigQuery は膨大な量のデータを取得して分析できるリポジトリで、当社のカーボン クレジット取引所の作成には、大量のデータプールを管理して分析する柔軟性が不可欠です。Kubernetes を自動的にデプロイ、スケール、管理できる GKE は、運用オーバーヘッドを排除する最もシンプルな方法の一つと言えます。Google Cloud Dataflow は、高速で費用対効果の高いサーバーレス データ処理に最適です。また、Cloud Functions を使用すると、サーバーを管理することなく、従量課金制でコードを実行できる点が気に入っています。

このすべてのメリットが、当社にとって非常に重要です。なぜなら、非常に柔軟なスケーラビリティがもたらされ、自社でハードウェアを動かす必要がないからです。当社の製品は、物理的なものではなく、クレジットを売買するためのアプリなので、完全にクラウドで運用できます。

Google のモバイル開発プラットフォームである Firebase を利用し、NoOps シナリオで基本的にインフラストラクチャを持たずにアプリを迅速に構築して成長させ、製品化までの時間を短縮しました。Firebase スタック自体の中で、Node.js を使ったエッジ機能やバックエンド機能をデプロイできます。ブロックチェーンにソリューションをデプロイして、プロダクトキーの安全性を確保することもできます。また、Google Cloud のデータ ガバナンスによってクラスタのデプロイと維持が可能になり、従来のインフラストラクチャの維持にかかる時間、コスト、労力を削減できます。

同様に重要なのは、セキュリティです。Google Cloud では、オンプレミスのインフラストラクチャや安全性の低いクラウド環境を使用する場合に IT チームの頭を悩ませる、システムのパッチ適用や強化などの対策について心配する必要がありません。

ネット ゼロ エミッションの達成に向けて

今、私たちは炭素排出量の削減に取り組んでいますが、すでに大気中にある炭素を除去して気候変動を遅らせるのではなく、むしろ逆転させることが重要になっています。現時点ではダメージ コントロールが重要ですが、長い目で見れば十分ではありません。大きな課題は、現在、大気中から炭素を除去するのに非常にコストがかかるということです。幸いなことに、技術は常に向上しており、炭素除去のコストを下げることができるかもしれません。

現実には、気候変動に立ち向かうために、私たち一人ひとりが協力し、貢献しなければなりません。世界中の誰もがすでに影響を目の当たりにしており、その頻度と深刻さは悪化の一途をたどると予測されています。行動を起こす人が増えるほど、すべての人にとってより良い結果がもたらされます。Moss は、「透過的で高品質な新しい炭素クレジットによって現在と未来の環境破壊に対峙する」というビジョンを掲げて、人々が行動を起こしやすくするためのもう一つの重要な手段を提供しています。

スタートアップが Google Cloud を使ってできることをもっと知りたい方は、こちらのページでプログラムの詳細を確認してください。また、こちらから更新情報の配信に登録すると、コミュニティ活動、デジタル イベント、スペシャル オファーなどの情報を受け取ることができます。

- Moss、パートナー兼マネージング ディレクター Fernanda Castilho 氏

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