Surfboard 決済アプリがあらゆる規模の販売業者に次世代の購入手続き体験を提供
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 11 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
週一のファーマーズ マーケットや物販展などで販売している小規模販売者から、次のビッグブランドを目指す地元の小売業者まで、起業家が直面する主な課題の一つが、顧客の決済処理です。VISA によると、世界には、十分なサービスを受けていない小規模販売者が 1 億 8,000 万以上います。そこで私たちは、小規模業者がどこででも非接触型カード決済用の決済デバイスとして Android スマートフォンを簡単かつ安全に使用して、数分で販売を開始できるようにするため、Surfboard Payments を設立し、Surfpay アプリを開発しました。
Surfboard Payments では、今年中にヨーロッパで多数の小規模販売者と一緒に Surfpay アプリを立ち上げる予定で、社員一同その実現を非常に楽しみにしています。小規模販売者の多くが現金での支払いしか受け付けられない状況であること、そのような起業家の皆様を支援する機会がたくさん存在することを認識したうえで、タクシー運転手、カフェのオーナー、ポップアップ ストアなど、自身のビジネス運営に情熱を注いでいる起業家の皆様に Surfpay をより簡単にご利用いただくことを目標としています。このアプリをダウンロードすれば、どのような業者の方でも数分で安全な電子決済を利用できます。特別なハードウェアは必要なく、決済手数料も比較的安価な設定となっています。
Surfboard Payments のカード決済は、NFC 決済によって受け付けられます。これは、スマートフォンやタブレットなどのデバイスが近接しているときにデータを共有できる無線データ転送です。
また、Surfpay アプリのコア技術をベースに、Embedded Payments というプロダクト分野も立ち上げ、大規模販売者にも対応していく予定です。このホワイトラベル ソリューションは、PIN on Glass 技術を搭載したスマートフォンとタブレット、またはタブレットに接続された別のセキュア カードリーダーで利用できます。Embedded Payments により、オンライン購入手続きが店頭で再現されます。エンドユーザーがさまざまなお支払い方法を選択できるとともに、リピート回数を高め、消費者向け画面でキャンペーンやマーケティングを行うため、データが活用されます。
開発者重視のスケーラブルなプラットフォーム
プラットフォームを選定するにあたり、すぐにアクセスできて簡単に使い始めることができること、ヨーロッパとインドの開発チームにとっても馴染みのあるものであること、実績がありスケーラビリティが高いことを理由に、当社では Google Cloud を選択しました。素早くビジネスを立ち上げるためには、これらすべてが重要な要素となったからです。また、GC のコンプライアンスとセキュリティにも信頼を感じました。
小規模販売者向けテクノロジーを拡大して、小売店が今なお使用している旧式の決済デバイスに替わるものを確立していく中、今後さらなるチャンスが生まれてくるものと期待しています。当社は、お客様がどこにいても、販売員とお客様がどちらも同じように魅力的な体験を味わえるよう、対面式のショッピングを変革すべく、日々努力を重ねています。
決済デバイスをタブレットかスマートフォンに置き換えることで、小売店の選択肢が広がり、お客様の待ち時間を短縮し、どこからでも便利で迅速な取引ができるようにし、お支払い方法やポイント プログラムを追加することもできるようになります。
Google Cloud でビジネスを展開
当社のチームでは、プロダクトのプロトタイプを迅速に構築するために Firebase を利用しており、Firebase Realtime Database と Cloud Firestore NoSQL ドキュメント データベースの両方を使用しています。また、Firebase Test Lab も、当社のモバイル テスト パイプラインにおいて重要な役割を果たしています。
Surfboard Payments では、環境の改善にも継続的に取り組んでいます。Surfpay は、水面下で Google Kubernetes Engine を使用しており、これにより優れたアプリの構築と、必要に応じた柔軟なスケーリングが可能になります。
当社は、GCP ワークロードを保護する最初のレイヤとして、Google Cloud Armor ネットワーク セキュリティを使用しています。セキュリティを最大限高めるために、すべてのリクエストを単一のエントリ ポイントから受け取るアーキテクチャを設計しました。このエントリ ポイントは公共のインターネット上で公開され、Cloud Armor によって保護されます。サイトに寄せられるすべてのリクエストは、Surfboard ゲートウェイと呼ばれるこのエントリ ポイントを経由し、ここでマイクロサービスへのアクセスが確保されます。複数のマイクロサービスがイベントバス経由で接続されています。
当社は、クラウドでホストされるハードウェア セキュリティ モジュール サービス「Google Cloud HSM」を利用して暗号鍵をホストし、ハードウェアによる暗号化と復号を行っています。また、Google Cloud Secret Manager を使用してすべての鍵を管理し、不正アクセスからシステムを保護しています。
現在は、主要なデータベース ソリューションとして Cloud SQL を使用しています。今後は BigQuery を使用して、サービス提供の改善や将来の製品開発に役立つ、より高度な分析を支援する予定です。
さらなるイノベーションが進行中
BigQuery 以外にも、当社が長期的に利用したいと考えているサービスが複数あります。機械学習(ML)の経験が少ない開発者でも簡単に使える Google Cloud の AutoML は、ML モデルを実行して顧客セグメントを特定し、当社がサービスを提供している小規模販売者に付加価値を提供します。
Google Cloud のおかげで、社内の業務の多くがより管理しやすくなるうえ、社の成長に合わせてさらにカスタマイズされたティアへとアップグレードしていくことが可能になります。たとえば、Kubernetes を導入する前に、まずはフルマネージドのソリューションである Cloud Run を使用しました。現在は、マルチクラウド環境を運用するために、GKE から Anthos への移行を計画しています。
また、AI を活用した顧客との会話や仮想エージェントによる 24 時間 365 日のカスタマー サポート提供に向け、Dialogflow も追加する予定です。
ビジネス面では、来年に電子マネー取り扱い機関となるため、その申請書をスウェーデン金融監督庁(SFSA)に提出しました。これにより、当社に対して厳しい評価と継続的なモニタリングが実行されることになります。この申請手続きには、既存の契約に付属する金融サービス関連の追加条項という形で Google からの書類の提出が必要でした。この追加条項では、コンプライアンスと情報に関する Google の義務が規定されており、これは Surfboard Payments が引き続き法規制を遵守し SFSA への報告を行えるよう、Google が支援していくために規定されるものです。
Surfboard Payments チーム一同、これまで十分なサービスを受けられなかった起業家のコミュニティ全体に機会を提供できることを大変うれしく思っています。Surfpay アプリをダウンロードすれば、起業家の皆様はどこからでもカード決済が可能になり、経済的自立の夢を実現できます。
当社にとって、これは始まりにすぎません。安全ですぐに利用できる Surfpay アプリは、小規模販売者にとって使いやすく、経済的で便利なテクノロジーでもありますが、ホワイトラベル ソリューションを通じて、はるかに大規模な小売業者のニーズにも対応していくことが可能になります。重要なのは、スケール、セキュリティ、パフォーマンスを考慮した決済アプリの構築であり、これらはすべて Google Cloud との強固なパートナーシップによって支えられています。
Google Cloud がスタートアップにどのように役立つかをもっと知りたい方は、 こちらのページでプログラムの詳細を確認してください。また、 こちらから更新情報の配信に登録すると、コミュニティ活動、デジタル イベント、スペシャル オファーなどの情報を受け取ることができます。
- Surfboard Payments 創業者兼 CEO Christopher Lindfeldt 氏