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スタートアップ & SMB

プライド月間: Beepboop の創設者との、新しい言語を学習するためのクリエイティブで効果的な手法に関する Q&A

2022年6月28日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

6 月はプライド月間です。LGBTQ+ コミュニティを構成する多様な経験、視点、アイデンティティを可視化し、受け入れ、称えるために集う期間です。今後数週間にわたり、Google Cloud のグローバル SMB およびスタートアップ マネージング ディレクターの Lindsey Scrase が、LGBTQ+ の起業家が主導するスタートアップとのセッションを行い、彼らがどのように Google Cloud を使用してビジネスを成長させているかを紹介します。今回は、Beepboop と、その共同創設者、CEO の Devon Saliga 氏、CTO の Matt Douglass 氏を特集します。


Lindsey: お忙しいなか、お時間をいただきありがとうございます。早速ですが、お二人の会社について聞かせてください。Beepboop 創設のきっかけは何ですか?

Devon Saliga 氏: ゲイであることを隠していた少年時代の私にとって、語学を学習することが別の世界への逃げ道になっていました。熱心に勉強を続け、ダートマス大学の Rassias Center に進みました。ここは語学学習の革新的演習の開発で知られており、高度な訓練を受けた講師が全クラスの生徒に対し、ペースの速いラウンドロビン スピーキング演習を用いた指導を行います。この手法は従来の指導方法よりも 40% も効果的であることが実証されており、生徒は流暢なスピーキングを身につけることができます。この指導方法は、つまらない講義や、単語や文法の丸暗記などとは正反対のものです。私はこの方法で日本語を学び、それによってチャンスが広がり、Goldman Sachs で最初の仕事を獲得することができました。ただ残念なことに、全員がこのような語学教育の機会に恵まれているわけではありません。私たちが Beepboop を創設したのはそのためです。このテクノロジーのおかげで、あらゆる語学講師が、このような効果的な演習をオンラインと対面式の授業の両方で行えるようになります。

Lindsey: 新しい言語を学ぶには非常に素晴しい手法ですね。間違いなく飛躍的な効果が期待できるでしょう。私の妻はオーストリア人なので、私も少しずつドイツ語を学ぼうと努力はしているのですが、丸暗記するよりも会話などのやり取りを行うほうがずっと効果的だと感じています。それでは質問に戻りますが、Beepboop という名前の由来と、ユニークな特徴について教えていただけますか?

Devon 氏: Beepboop の授業は言語学習型ホットポテトの大規模マルチプレーヤー ゲームのようなもので、生徒間で話し言葉の課題が投げ交わされます。予約していない生徒でも、ライブ授業に気軽に参加して楽しむことができます。

言語を話すのを不安に感じてしまうこともありますが、何か間違ってしまった際には、講師が「beepboop」と言ってその場で知らせてくれます。全員を笑顔にしてくれる素敵な単語です。

Lindsey: 私の子どもが何か間違いをしたときにも、「Beepboop」と言ってみようと思います。響きがいいですね!では、Beepboop ではどの言語を教えていますか?

Devon 氏: Beepboop が参入している言語は英語とスペイン語です。カリキュラムのターゲットは、言語学習を通じて従業員の採用、維持、スキルアップを実現したいと考えている雇用主です。ビジネス英語教育だけでも、その世界的な市場規模は 90 億ドル以上です。これは巨大な市場です。企業は、私たちが提供するグループベースの革新的学習手法を利用することで、より多くの従業員に、より少ないコストで Beepboop を提供できます。10 万人以上の生徒が Beepboop を利用しており、医療スペイン語のような、とても興味深いニッチな分野を築き上げてきました。
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Beepboop、CEO 兼創設者 Devon Saliga 氏

Lindsey: そのための市場があるのは間違いないですね。また、多くの人々をサポートできるという大きな可能性があります。ここまでの成果を達成するまでに、乗り越えてきた大きな課題は何でしたか?

Matt Douglass 氏: 私たちは、リモートでの学習に対応できる対面式の言語演習を導入して、新しい講師のトレーニングを迅速に行える独自の手法を開発しました。高速なインターネット環境を利用できない生徒も数多くいるため、遅延の発生するビデオ通話や画面のフリーズに当初は悩まされていました。こうした状況に対処するために、誰もが快適に会話型の演習に参加できるインクルーシブな音声のみの授業プラットフォームを構築しました。これにより、インターネット接続が低速であったり、カメラの写りが悪かったりしても気にする必要がなくなりました。

Lindsey: つまり、必要に応じたスケーリングや方向転換を可能にする、適切なプラットフォームやテクノロジーを持つことが重要ということですね。Beepboop が Google Cloud で標準化した理由は何ですか?  

Devon 氏: Matt のような素晴らしい CTO とパートナーを組む前は、プロダクトやエンジニアリングを実行しつつ、ビジネス開発や優れたオンライン カリキュラムの作成にも取り組む必要がありました。正直なところ、最小実装製品(MVP)をゼロから構築する時間や技術的スキルはありませんでした。幸運なことに、Google Cloud で使いやすいツール、API、Firebase のような統合型ソリューションを利用できたため、ダートマス大学の生徒からなる小規模なチームで、アルファ版の Beepboop をちょうど 3 か月でコーディングできました。さらに、スタートアップ サクセス マネージャーが必要な技術的ガイダンスやクレジットを提供してくれたおかげで、手ごろな費用でさまざまなソリューションを試すことができました。

Lindsey: これは Beepboop に限った話ではありません。Firebase や Google のツール、API を使用してコンセプトから MVP に移行する際のシンプルさとスピードに関しては、スタートアップ企業から多くのポジティブな意見をいただいています。お二人も同様の経験をされたこと、また、Google スタートアップ サクセス チームが Beepboop の迅速な立ち上げをサポートできたことを嬉しく思います。Google Cloud のソリューションは Beepboop の成長にどのように役立っていますか?

Matt 氏: 今では、Beepboop は安全性の高い Google Cloud 上に構築されたカスタマイズされた WebRTC プラットフォームを使用して、最大 200 人の生徒に対する大規模な授業にも対応できるようになりました。リアルタイム検索を必要としないすべてのデータには Firestore を、React アプリには Firebase を使用しています。また、Firebase Realtime Database を活用して、生徒が追加のヘルプを求めている際の講師へのメッセージの自動送信、インターネット接続が遅い際の生徒と講師へのアラートの送信、人間の講師の介在なしで自律的に実行されるピアツーピアでの言語学習ゲームのサポートに役立てています。

現在、講師は生徒の成績の追跡をリアルタイムで行い、それに応じて授業の難易度やペースを調整する全責任を負っています。しかし、授業内の生徒の数が増えるごとにこの作業は困難になります。私たちは、Google Cloud の AI と機械学習プロダクトを使用して、授業プロセスの簡素化と生徒へ提供する修正フィードバック数の増加を目指しています。ディープ ラーニング アルゴリズムを開発し、小さな発音ミスの自動検出や、スペイン語と英語のメロディのようなイントネーションのモニタリングを実現しようとしています。

Lindsey: これほど短期間で成果を上げたことだけでなく、今後のビジョンについても非常に驚いています。話題を変える前に、Beepboop の最も魅力的な点を教えてください。

Devon 氏: Beepboop は、良い意味で教育業界を破壊するものであり、誰もが外国語指導の機会に恵まれるようにするためのものです。語学スキルがどのように昇進につながったかや、Beepboop プラットフォームでの数か月の学習で、ネイティブ スピーカーと自信をもって会話できるようになったなど、生徒から毎日数多くの声をいただいています。Beepboop の高い成功率自体が「雄弁に語って」います(シャレの意味を込めて)。

Matt 氏: Beepboop の背後にあるテクノロジーが、生徒や講師のための安全で支援的なスペースの構築にどう役立っているかを目の当たりにするのは、とてもエキサイティングなことです。Beepboop では、マイクのミュートとミュート解除が自動で行われるため、生徒の誰もが平等に会話型の演習に参加できます。また Beepboop では、生徒の間違いを修正できるチャンスが与えられるとともに、問題に解答するための追加のヘルプや時間を必要とする生徒がいる場合には、講師にアラートが表示されます。
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Beepboop、CTO 兼創設者 Matt Douglass 氏

Lindsey: Google のテクノロジーを活用して、企業がどのように素晴らしい成果を上げているかを知ることが私の仕事のやりがいの一つなのですが、今回まさにそういったお話を伺うことができました。Beepboop の詳細や将来に向けたビジョンについて教えていただきありがとうございました。

では、プライド月間ということで、話題を変えましょう。LGBTQ+ コミュニティのメンバーとして、LGBTQ+ の起業家が増えていることを嬉しく思ってます。LGBTQ+ コミュニティの一員であることが、ご自身の成功、Beepboop の成功にどのように影響したか、教えていただけますか?

Matt 氏: Harvey Milk 氏 の時代よりも前から、LGBTQ+ コミュニティは、重要な目標に向けて協力するためのクリエイティブな手法を常に見つけてきました。私も、LGBTQ+ の起業家として同じサポートを経験しています。コミュニティを通じて多くの起業家の方々と出会い、Beepboop の成功を後押しするために導入しているアイデアや戦略を共有しています。また、私たちは StartOut とも連携しました。StartOut は、あらゆる LGBTQ+ の起業家が平等に指揮を執り、成果を上げ、未来の労働力を形成できる世界を構築するために尽力している組織です。StartOut のおかげで、人脈作りの機会を増やすこともでき、今こうして Lindsey さんとも話せています。

Devon 氏: StartOut の一環として Growth Lab に参加しました。この戦略的ガイダンスとメンターシップが提供される 6 か月のアクセラレータが、私たちに大きな変化をもたらしました。現在、非常に多くの投資家とつながることができています。また我々が属するダイナミックで多様なコミュニティは、協力的で理解があり、人々を勇気づける存在であり続けています。

Lindsey: コミュニティが団結してサポートを提供しているというのは素晴らしいことです。お話いただいたことは、まさに LGBTQ+ の歴史の第一歩となるものです。会社を設立して拡大していきたいと考えている LGBTQ+ コミュニティのメンバーの方々に向けて、アドバイスをお願いします。

Devon 氏: 成功を収められる会社を設立するには、多くの人脈作り、聞き取り、コラボレーションが重要であると学びました。家族、友だち、コミュニティに助けを求めることを恐れないでください。また、自分が行っていることに関して厳しい目で疑問を持つことを忘れず、必要に応じて方針を変えるようにしてください。

LGBTQ+ のハイテク コミュニティを専門的に支援する組織は数多く存在し、StartOutSerifGaingels などがあります。Google for スモール ビジネスもまた、LGBTQ フレンドリーなビジネスのためのツールやリソースを提供しており、LGBTQ+ フレンドリーなタグ、ビジネス プロフィール用のトランスジェンダーのセーフスペースであることを示す属性、インクルーシブで革新的な職場を構築するためのヒントなどを提供しています。

Matt 氏: メンターとして新しいスタートアップを指導することで、LGBTQ+ コミュニティに還元することも同じくらい重要です。成功と失敗を共有することで、他の人が同様の間違いを犯すことを回避でき、アイデアをより早く市場に展開できるようになります。LGBTQ+ リーダー、特に、スタートアップ組織や起業家のネットワークが多大なサポートを提供してくれており、Beepboop はとても恵まれています。

Lindsey: 知見やリソースを共有いただき、本当にありがとうございました。Lesbians who TechOut in Tech についても付け加えておきます。また、活動について公言し、社会やコミュニティに還元なさっていることをお二人に感謝申し上げます。お二人は間違いなく多くの起業家にインスピレーションを与える存在です。

最後に、Beepboop の次の目標を教えてください。

Devon 氏: Google for Startups や StartOut などのパートナーとさらに連携して、もっと多くの人が言語学習を行えるように、また、世界中の生徒が自身を持って新しい言語を話せるようにしたいと考えています。

Lindsey: ありがとうございました。パートナーとしてこの目標をともに実現できることを楽しみにしています。
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後列の左から: Devon Saliga 氏(CEO 兼共同創設者)、Matt Douglass 氏(CTO 兼共同創設者)、Alejandra Molina 氏(マーケティング担当ディレクター兼共同創設者)。前列: Lucas Ogden-Davis 氏(創設者兼エンジニア)

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- Google Cloud、グローバル SMB およびスタートアップ マネージング ディレクター Lindsey Scrase

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