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Public Sector

オハイオ州の更生矯正局: 安全な仮想クラスルーム環境を構築

2023年5月29日
Google Cloud Japan Team

セカンド チャンス: オハイオ州の更生矯正局がデジタルツールを活用したスキル教育を展開し、未来を明るく照らしています

※この投稿は米国時間 2023 年 5 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

オハイオ州シンシナティの団体 Beacon of Hope と共同で働く Rayshun Holt 氏は数年前、刑務所から出所したばかりの人たちに、職探しに役立つようなコンピュータの基本操作スキルを教えた経験があります。Beacon of Hope は、犯罪歴のある人たちが苦労しがちな職探しにおいて、やりがいのある仕事を見つけられるように支援する組織です。現在、Holt 氏は、コンピュータ教育へのニーズが以前に比べ、はるかに減ってきていることを嬉しく思っています。驚くべきことに、出所したての人たちからノートパソコンのちょっとした裏技を教えてもらうことさえあります。

このような技術リテラシーの向上は、オハイオ州の更生矯正局(Ohio DRC)管轄下にある学区 Ohio Central School System(OCSS)の活動によるところが大きく、同学区は 43,000 人の教育とスキルアップに取り組んでいます。OCSS は約 200 人の教師を抱え、20 種類の認定資格や、50 種類の職業訓練など、出所者の就職に役立つさまざまなプログラムを展開しています。

教育が再犯防止に大きな効果があるということは、各種調査から明らかになっています。Rand Corporation によると、矯正教育プログラムを受講した受刑者は、再犯率が 43% 低いとのことです。また、ノースウェスタン大学の調査によると、教育レベルと再犯率は逆相関の関係にあり、受けた教育レベルが高いほど、再犯の可能性が低いことがわかっています。

2020 年、OCSS はそれまでの対面を主とした紙と鉛筆ベースの教育方式から、テクノロジーを積極的に取り入れていくという方針に舵を切りました。OCSS の責任者である Jennifer Sanders 氏はこう説明しています。「教育が再犯率を低下させるという研究が多数ある一方で、矯正施設における教育の方法や、ツール、テクニックは、全国的に旧態依然としているのが現状です。OCSS は、21 世紀のツールを使って、21 世紀の教育を提供し、21 世紀に対応できるような市民を育てるべきであるという必要性を強く感じていました。」

スクリーニングとセキュリティ

Ohio DRC は、2020 年に試験プロジェクトの一環として Google Chromebook を導入しました。Sanders 氏は、Chromebook と Google Workspace を選ぶにあたり、セキュリティが主な考慮事項であったと述べています。「他の既製品も検討しましたが、柔軟性に乏しく、求めていたようなカスタマイズされた教育コンテンツを利用できるものはありませんでした。Google Cloud はセキュリティを提供してくれるのに加え、柔軟性もあり、生徒やスタッフのニーズに応じて教育カリキュラムを作成することが可能です。」

その後、Sanders 氏は教職員やスタッフの反応に驚くことになります。彼らはテクノロジーを受け入れただけでなく、クラウドベースのテクノロジーを使って教育に変化を取り入れることに非常に熱心でした。その結果、プログラムの対象範囲が拡大されることになり、現在では 1 万台を超える Chromebook が導入されています。

Chromebook に加え、クラウドベースのコラボレーション ツールである Google Workspace も使用することで、生徒が教室内だけでなく刑務所内の共有スペースでも学習に取り組み、空き時間に課題を終わらせることができるようになりました。組み込まれているセキュリティ機能により、インターネット上の適切な教育リソースを安全に活用できます。教師陣は、オンライン形式のテストや仮想アクティビティを活用したり、コンテンツをカスタマイズしたりして、学習意欲や参加意識を促し、全体的な学習エクスペリエンスを向上させています。それにより、以前ではセキュリティ上の懸念から刑務所内では不可能だったようなことも含め、教育の可能性がはるかに広がりました。

OCSS はアシュランド大学と長年の提携関係を結んでおり、同大学から学位や認定資格の提供を受けています。2022 年、アシュランド大学から OCSS の生徒に対して授与された認定資格と学位の数は、オンラインおよび対面授業を合わせて 424 件にのぼります。同大学の矯正教育プログラム担当エグゼクティブ ディレクターである Denise Justice 氏は、安全で信頼性の高いデジタル教育が、受刑中の生徒にこれまでにない変化をもたらすと考えています。「過去の例とデータから、有意義かつ的確な教育が受刑中の生徒の人生に影響を及ぼす、ということがわかっています。アシュランド大学は OCSS と長年の協力関係にあります。OCSS の思慮深いリーダーシップはもとより、モダンなデジタルツールの導入によって教育を誰もが受けやすく、インクルーシブなものにするという取り組みを、非常に頼もしく思っています。」

プログラムは進化を続け、現在、Ohio DRC と OCSS は生徒と教師への新たな機会の開拓に取り組んでいます。たとえば、生徒間での文書共有や、オンライン クラスルーム環境で州内の他生徒とつながる、といった可能性を検討しています。  


- 州および地方政府機関担当フィールド セールス マネージャー Brad Hoffman
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