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Public Sector

多くの教育関係の発表が行われた Google Cloud Next '23

2023年9月27日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 20 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

8 月に開催された Google Cloud Next では、大勢の教育者、研究者、IT プロフェッショナル、学生の開発者、役員レベルのリーダーが一堂に会しました。Google Cloud Next は、最新のクラウド テクノロジーと成功事例を世界に向けて発信するカンファレンスです。参加者は、ブレイクアウト セッション、プロダクトデモ、基調講演に出席し、生成 AI などの新しいツールが秘めた力について学ぶとともに、これらのツールが実際に全米で教育、学習、高度な研究の変革に寄与している様子について理解を深めました。

教育界の主なミッションとして、科学的進歩を促し、次世代を担う学生の就業の準備を整えることがあります。このミッションを広い範囲でスピーディーに果たすことを常に求められる教育界にとって、生成 AI には独自のメリットがあります。研究と運営の両面で、インサイトを獲得して価値を生み出すまでの時間を短縮できるため、費用効率向上につながります。また、学生、職員、教員のユーザー エクスペリエンス向上も期待できます。さらに、コンテンツ開発を高速化できるとともに、大規模モデルをカスタマイズして、さまざまな場所にあるキャンパスで生成される、増え続ける大量のデータを分析することができます。

教育関連のセッションとデモから、重要なポイントをいくつかご紹介します。

  • ノートルダム大学の IT リーダーは、AI を使用して、1,000 人超の学生がゲーム感覚でサイバーセキュリティ トレーニングを受けられる仕組みを開発し、Secure Your Organization with Zero Trust Controls and Google AI(ゼロトラスト制御と Google AI で組織を保護する)でデモを実施しました。同大学では、AI ベースのインタラクティブな「Google 魔法大学」と「サイバーセキュリティ カーニバル」トレーニングを設計したことにより、楽しく効果的にセキュリティについて学んでもらうことが可能になりました。IT 戦略および変革担当ディレクターの Chas Grundy 氏はこのように述べています。「セキュリティとは、全員が責任を担うべきものです。Google のツールを使用することで、デフォルトを設定し、制御を自動化することができるので、学生と管理者の双方が負う責任の負担軽減につながっています。」
  • Responsibly Driving Student Success with AI(AI を活用した責任ある方法で学生の成功を後押しする)のパネリストは、まず今日の高等教育が直面している課題を指摘しました。その課題とは、パンデミックにより数学や読解の学習機会が失われてきたこと、そして将来の労働力である学生が新たなスキルを獲得できる教育が強く求められていることです。アリゾナ州立大学エンタープライズ CIO(最高情報責任者)の Lev Gonick 氏は、AI の活用によって、従来の形での教育を受けていない学生を採用し、労働力として確保できると考えています。仮想チューターとパーソナライズされた学習により、4,000 万人におよぶ大学単位を一部取得した学位未取得(SCNC: Some College, No Credential)の学生がキャリア目標を実現できるよう支援できます。IBL Education の COO(最高執行責任者)である Miguel Amigot II 氏は、個々人に適した形でスキルを開発したいと望む学生や社会人向けに、同社の生成 AI ベースのメンターが個別的な学習エクスペリエンスを提供できると説明しています。IBL Education は、教授陣と協力し、時間管理のスキルから社会的な交流に至るまで、あらゆる側面から学生をサポートする AI ベースのモジュールを構築しています。edX の創設者である Anant Agawral 氏は、すでに AI を使用して、edX の 4,000 に上るオンライン コースを十数種類の言語に翻訳しています。同氏は次のように述べています。「このような翻訳作業にはかつては多くの費用がかかっていましたが、短時間で質の高い翻訳が可能になったため、翻訳済みコースの効率的な配信のみに注力できるようになりました。」
  • Google のお客様である Form BioCollegis Education は、AI を使用して研究および学生向けサービスの効率化を実現しています。Collegis Education では、学生、教員、職員がいつどのようにオンライン サービスを利用しているかを分析することにより、それぞれのコホートにリーチするための最適な時間や方法を判断しています。Form Bio は、科学データ プラットフォームに AI を組み込むことで、研究者が結果を出すことに集中できるようサポートしています。計算ワークフローをユーザー フレンドリーにすることで、時間を短縮して手間を省くことができるため、科学的発見の促進につながっています。

3 日間にわたり開催されたカンファレンスを挟む形で、高等教育専門家向けの 2 つの特別なイベントが開かれました。1 つは 8 月 28 日の Higher Education Innovation Board(高等教育イノベーション委員会)、もう 1 つは 8 月 31 日にサンフランシスコで開催された Google Cloud AI & Research Day です。これらのイベントでは、全米のキャンパスから研究者、CIO、IT リーダーが集まり、それぞれが行っているコミュニティへの貢献、インフラストラクチャのモダナイズ、最新のクラウドツールによる組織変革について議論が交わされました。

これらの高等教育イベントでの主なポイントをいくつかご紹介します。

  • Higher Education Innovation Board イベントでは、カリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)の CIO である Matt Gunkel 氏が、Google Cloud との先駆的な定額料金契約を通して UCR がどのように運営やサービスを変革しているかについて事例を紹介しました。2 年目に入った今、すでに大きな効果が生まれていると Gunkel 氏は指摘しています。研究者は HPCToolkit を使用してワークフローをクラウドに移行しており、これまで 24 時間かかっていたデータ分析作業を 15 分にまで短縮できた事例もありました。チームはまもなく生成 AI と BigQuery をデプロイし、生徒情報システム、学習管理システム、財務データの分析を通して、学生の満足度を定性的に評価した情報を獲得できるようにする予定です。
  • サンフランシスコで開催された Google Cloud AI & Research Day では、参加者は、Google Cloud のテクノロジーがどのようにコラボレーションを促進し、セキュリティとデータ ガバナンスを自動化して、研究と運営を効率化するのかについて、Google のスペシャリストや役員レベルのリーダーから話を聞く機会を得ました。生成 AI が科学文献を綿密に調べ上げて、複雑なクエリに対する答えを返したり、実験手順を生成したりするデモや、ユーザー提供のデータベースから根拠となる研究の引用を探し出すデモが行われました。他の都市の Google オフィスが主催する AI & Research Day も今後開催されますので、情報をお待ちください。

Google Cloud Next '23 で録画されたすべてのセッションをオンデマンドでご覧いただけます。Next のさまざまなセッションを視聴するには、こちらをクリックしてください。高等教育における生成 AI の活用の始め方についてご関心をお持ちの方は、半日間のインタラクティブ ワークショップが開催されていますので、こちらからお申し込みください(Google Cloud と、パートナーである Nuvalence および Carahsoft が提供するワークショップです)。参加者は、少人数のグループに分かれて、それぞれのニーズに応じてカスタマイズされた生成 AI 戦略パッケージをエキスパートとともに設計します。資金提供を受けられる機会について詳しく知りたい場合は、クラウド トレーニングおよび学術研究クレジットの利用資格についてご確認ください。

-Google Cloud、リサーチ マーケティング マネージャー Nicole DeSantis

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