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Public Sector

公共部門における AI / ML の導入加速: 使用開始までの 3 つのステップ

2022年6月27日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

今回は、AI / ML の導入を開始するための実践的なヒントを紹介する 2 部シリーズのブログ投稿の 1 回目です。

機械学習(ML)と人工知能(AI)は、住民向けのパーソナライズされた、より簡単なデジタル エクスペリエンスを生み出しています。最近の調査によると、デジタル サービスの改善で行政機関に対する考え方にプラスの影響があるだろうと回答した米国国民は、92% にのぼります1。同時に、連邦政府の職員が行うタスクを自動化することで、年間 9,670 万時間から 12 億時間の削減が可能であることもわかっています2。ですから、多くの公共部門の職員が疑問に思っているのは、「AI / ML を利用するには、何から始めればよいのか」ということです。

このブログ投稿の 1 回目では、導入プロセスを開始するための 3 つの重要なステップを紹介します。

1. トレーニングを受ける。トレーニング セッションをいくつか受講して、オンライン コミュニティへの参加も検討しましょう。機械学習集中講座の受講が非常におすすめです。また、機械学習のユニバーサル ガイドに取り組むことで優れたガイドラインやアプリケーション ワークシートに触れることができます。他のユーザーから学びたい場合は、公共部門のコミュニティに参加してください。ここでは、行政機関のリーダーや技術者が集い、AI のベスト プラクティスや学習した内容を共有しています。

2. ユースケースを選ぶ。AI がスケーリングをサポートし、あなたのチーム(および組織全体)に即座に価値をもたらしてくれるようなユースケースを見つけましょう。技術的な観点では、以下の点を考慮する必要があります。

  • このユースケースには、たくさんのルールがありますか?また、動画のような非構造化データを使用していますか?

  • たとえば、オブジェクト検出のためのビジョン、会話、翻訳、テキスト分析、さまざまなルールを伴う表形式データといった AI ビルディング ブロックのメリットを享受していますか?

  • AI / ML モデルの構築に使用できる既存のデータ(可能であればラベル付き)がありますか?たとえば、ウェブサイトのよくある質問セクションからすべての情報を取り出して、住民に積極的に対応できるような仮想エージェントの作成に使用する場面を想定してください。

  • そのユースケースは、組織のプライバシーと倫理の原則に合致しますか?AI には極めて困難な課題を解決できるだけの優れた潜在能力があり、それを実現するためには、責任を持った運用が大切です。例として、Google の AI の原則をこちらのリンクからご確認ください。

3. テストする。ユースケースを選択した後は、利用可能なデータを使って、機械学習モデルの作成に取り掛かりましょう。モデルの構築方法がわからない場合は、最近、利用可能になったローコードまたはノーコードのツールを使っていただくことで、誰でも簡単に構築を始めることができます。Google Cloud の Vertex AI であれば、Google のノーコード ツールである AutoML を使用して、シンプルなワークフローでモデルのトレーニングや比較が可能です。このプロセスでは、データを読み込み、目標と予算を設定するだけで作業は終わりです。そうすると、デプロイ可能な最適化済みのモデルを構築するための残りの手順(特徴量エンジニアリング、アーキテクチャの設計、ハイパーパラメータの調整など)を、Google がすべて担います。たとえば、米国海軍は Google のパートナーである Simple Technology Solutions とともに、AutoML を使って AI ベースの腐食検出と分析システムを迅速に構築しました。さらに、素早く楽しみながらできるテストとして、Teachable Machine をお試しいただくと、数分でモデルを構築することが可能です。

メンフィス市とイリノイ州に見る AI の活用例

もう一つの例として紹介したいのは、メンフィス市です。メンフィス市は、住民や市を訪れた人のために安全な道路を作るべく、道路の穴の自動検出に AI を使用しました。メンフィス市のチームは、公共バスから提供された非構造化の動画データを使用しました。一方、イリノイ州は、失業保険申請を行う 100 万人以上の住民を支援しようと、迅速な仮想エージェントのデプロイのために、Contact Center AI を活用しました。

これ以外の例としては、ヘルプデスクでの割り当て時間、解決時間の自動化、書類からの重要な情報の抽出、chatbot を通じた自然言語での住民との対話などが含まれます。

強力なツールセットとなり得る AI / ML があることで、あらゆる規模の機関は、多数の短期的および長期的な課題に対応できるようになります。簡単な説明ではありましたが、このブログがミッションのスケーリングの最初の一歩となり、導入のきっかけとなれば嬉しいです。さらに、公開予定の 2 回目のブログでは、モデルを本番環境に移す前に確認しておきたい重要な疑問について説明していきますので、ぜひご覧ください。

参考資料

  1. 2022 digital trends: The rise of the citizen consumer

  2. AI-augmented government: Using cognitive technologies to redesign public sector work

- AI ML カスタマー エンジニア、Payam Mousavi
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