対話型 AI でカスタマー サービス エクスペリエンスを変革している国際的なファッション企業の事例
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 7 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
LPP S.A.(LPP)は、5 つの衣料品ブランドを有するポーランドの国際的なファッション企業で、広範な e コマース フットプリントを維持し、約 40 か国で 2,000 以上の実店舗を運営しています。すべてのブランドと市場で二桁成長を続けている同社は、カスタマー サービス エクスペリエンスを自動化し、変革するために AI と ML への依存度を高めています。
LPP S.A. のコンタクト センター ディレクターである Dawid Telepski 氏は次のように述べています。「LPP ブランドの売上はヨーロッパ全体で増加しています。2022 年には、海外での売上がグループ全体の売上高の約 57% を占めるようになりました。AI と ML は、カスタマー サービス担当者がお客様とより効率的につながり、コミュニケーションできるようにすることで、収益の向上と運営費用の削減に大きな効果をもたらしています。」
Dialogflow CX と Yosh.AI でカスタマー サービスをスケーリング
2020 年、Google Cloud パートナーの Yosh.AI は LPP に対して、Dialogflow CX をベースとした対話型 AI によるカスタマー サポートのデジタル化を提案しました。この戦略で重視されたのは、複数のコミュニケーション チャネルの自動化です。LPP は最終的に、Google のビジネス メッセージと Google Cloud の Dialogflow CX を組み合わせて、特定のチャネルとブランドにおける売上、ロイヤルティ、顧客満足度を向上させることにしました。
それが素晴らしい成果を生んだことを受け、LPP は Google AI の利用をさらに拡大し、ウェブサイト、ソーシャル メディア アカウント、複数の国にまたがるその他のデジタル プロパティといったコミュニケーション チャネル全体に、高度な仮想チャット エージェントを導入することにしました。
Telepski 氏は次のように述べています。「Yosh.AI は、小売環境における AI の汎用利用に関する当社の考えを後押ししてくれました。お客様からの問い合わせに対して仮想チャット エージェントが自然な会話で速やかに回答するのを目の当たりにして、ウェブ、モバイル、メッセージ サービスなど、あらゆるデジタル チャネルで Dialogflow CX を早く活用してみたいと考えるようになりました。」
300 を超えるチャネルと数十の言語をサポートする Yosh.AI は、LPP が新たなインテグレーションと機能を活用して仮想チャット エージェントのレベルアップを図るきっかけを作りました。Dialogflow CX を活用した Yosh.AI のプラットフォームは、ウェブサイトの chatbot、Google のビジネス メッセージ、ソーシャル メディアといったテキスト AI エージェントの多数の人気アプリとシームレスに連携します。英国市場の LPP 向けにリリースした音声バージョンでは、顧客が自動的に配送状況を確認できる機能を提供しています。Yosh.AI はまた、すぐに使用できる 133 言語のサポートを Dialogflow の母国語ソリューションと Google Cloud の Translation API を介して提供しています。さらに、直感的なローコード インターフェースによって、開発期間と仮想エージェントのトレーニング時間を大幅に削減しています。
Yosh.AI のエンジニアリング チームは LPP と緊密に連携し、仮想エージェント技術を LPP の Genesys Cloud Contact Center、ウェブサイト、メッセージング プラットフォームと統合しました。現在、LPP の仮想チャット エージェントは、新機能、ルール、そしてデバイス、アプリ、チャネルをまたいで自動的にスケーリング可能な高度な自然言語理解(NLU)機能とともに進化を続けています。
2023 年 3 月現在、Yosh.AI は LPP の 5 つのブランド向けに 106 個の chatbot と 1 個の voicebot を開発およびリリースしています。これらの AI エージェントは、英語、ドイツ語、フランス語を含む多くの言語で利用できます。
Telepski 氏は次のように述べています。「Yosh.AI は Dialogflow CX 上に構築されているため、仮想チャット エージェントが新しい支払い方法や配送オプションを扱えるようにするためのトレーニングが数時間や数日ではなく、数分で完了します。Yosh.AI のおかげで、自然でインタラクティブなカスタマー エクスペリエンスを容易に提供できます。」
人間のエージェントを支援し、CSAT スコアを向上
LPP は、Yosh.AI の仮想エージェントにより、チャットの自動化、待ち時間の短縮、顧客満足度スコア(CSAT)の向上を実現しています。人間のエージェントにエスカレーションされる会話の場合も、Yosh.AI を利用してリクエストをより迅速に解決できます。スタッフには、BigQuery とLooker Studio をベースとする専用の Yosh.AI プラットフォームを通して、ハイライト表示されたチャットの文字起こし、推奨される対応、実用的な分析情報が提供されます。
Telepski 氏は次のように述べています。「Yosh.AI は、意図を正確に特定し、感情を分析し、詳細な手順を提供することで、人間のエージェントが複数のチャットに同時に対応できるようにしてくれます。複雑で優先順位の高いリクエストへの対応を迅速に完了できるようになったため、当社のカスタマー サービス チームは、収益の向上に集中できるようになりました。」
Yosh.AI は、LPP がこのプラットフォームを非常に有効に活用していることを認めています。
Yosh.AI の CEO である Katarzyna Dorsey 氏は次のように述べています。「Dialogflow CX をベースとした LPP の対話型 AI ソリューションは非常に高度で、90% 以上の精度を実現しています。この高い精度と、AI エージェントによる自然で「人間のような」コミュニケーションを組み合わせることで、LPP はカスタマー サポートを強化し、多大なビジネス上のメリットを得ています。LPP との協業の成功を大変誇りに思い、感謝しています。」
Google Cloud パートナーと連携することで、ビジネスのデジタル トランスフォーメーションを成功させる方法について詳しくはこちらをご確認ください。
- Google Cloud、フィールド営業担当者 Laura Nowakowska