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パートナー

Finxact と Google Cloud がバンキングの変革の道をひらく

2023年5月29日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 5 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

銀行業界が急速に進化するにつれ、既存の多くの金融サービス機関が窮地に陥っています。金融サービス機関は顧客の需要(あるいはフィンテックの急速な変化)に応えるために、新しいプロダクトやサービスを開発し、リリースする必要があります。しかしながら、各機関が使用しているコアシステムの多くは数十年前に開発されたものであるため、必要なスピードとアジリティをもってそれを実行することができていません。

デジタル トランスフォーメーションを成功させるには、クラウドのスピード、スケール、柔軟性を活用するクラウドネイティブ アプリケーションが必要です。クラウドネイティブな最新のデジタル コアバンキング システムは、リアルタイムのデータアクセスを提供することで、ビジネス上の意思決定と顧客体験を向上させるとともに、ML、分析、AI に関する他のクラウド テクノロジーを活用する道を開きます。ただし、バンキング システムの中核となる記録システム全体をオンプレミスのメインフレームからクラウドに移行するのは至難の業であり、あらゆる規模でその信頼性が証明されない限り、比較的新しいテクノロジーの採用を銀行がためらうのも無理はありません。

Finxact と Google Cloud のパートナーシップは、あらゆる規模の銀行がこのギャップを埋められるよう支援するものです。Finxact は、クラウドネイティブなコア Banking as a Service を提供し、テクノロジーによる混乱を招くことなく、合理化された迅速なイノベーションを可能にします。金融サービス機関は Finxact を Google Cloud にデプロイすることで、このプラットフォームが提供する業界に特化したソリューションを活用できます。これにより、厳格なセキュリティ ニーズを満たしながら自社データの価値を最大化し、インサイト、イノベーション、優れた顧客体験を引き出すことができます。今回のパートナーシップにより、こうした機能が単一のプラットフォームに統合され、ハイブリッド戦略とマルチクラウド戦略もサポートできるようになりました。

クラウドネイティブなコアバンキング システム

Finxact はオープン バンキング API ソリューションの一つで、米国を拠点とする最大手の金融機関の規模とパフォーマンスの要件に対応できるよう設計されています。Finxact の最近の報告書に示されているように、Finxact のクラウドネイティブなコアバンキング システムを利用すれば、堅牢な最新の API を通じて、すべてのデータと機能に 100% アクセスできます。各銀行とそのパートナーは、オンデマンドでプロダクトを作成し、自社またはサードパーティのソリューションを制限なく使用して新しいサービスを必要に応じて統合することで、新しい体験を迅速に提供することができます。このことが Finxact を理想的なプラットフォームにしています。

Google が開発した最新のランタイム言語である Go で記述されている Finxact は、あらゆる資産クラスや通貨を扱うマルチポジションの口座におけるトランザクションを高速に処理しなければならない金融機関向けに、高度な記録システムを提供しています。このソリューションは、Apigee API 管理、Google Kubernetes Engine(GKE)、Security Command Center をはじめとする Google Cloud テクノロジーを活用して、安全性、スケーラビリティ、相互運用性、拡張性に優れたサービスをお客様に提供しています。

トレイルヘッド アプローチの採用

この記事の執筆時点で 14 社のお客様が Finxact のプラットフォームを本番環境でご利用になっています。ここ数年、これらのお客様には期待どおりの注目すべき傾向がありました。お客様の多くは古くからある地方銀行であり、前述したように、従来型のコアを維持、管理することに煩わしさを感じている金融サービス機関です。次世代型コアへの移行すべき理由が説得力を持って示されても、多くの銀行は依然として、過度のリスクが生じないあり方で移行を開始する、最良のアプローチを見つけ出そうとしています。Finxact は、金融サービス機関のほとんどが「トレイルヘッド」アプローチを実用的なものと認めているとしています。これは、個々のニーズに適合するアプローチで、短期的な利益と成果をあげながら、少しずつ前進することで次のステップや意思決定に役立つ学びを着実に得ていくものです。

このアプローチには複数の利点があり、クラウド ネイティブなコアバンキング ソリューションがどのように機能するか理解を深める学習の機会、将来の大規模な取り組みに向けた概念実証、その時々の業務を一切中断することなく新しいプロダクト アイデアの実現可能性を実世界でテストするアジャイルな手法として機能します。

自社のコアバンキング上のニーズを Finxact が満たしていると判断した場合、各銀行は一連の顧客サービスに優先順位を付け、それらをクラウドネイティブなマイクロサービスとして再構築しながら、従来型のサービスの提供を徐々に終了することができます。このアプローチでは、Google Cloud の Dual Run などの新しいテクノロジーも利用できます。Dual Run を使用すると、以前のサービスとクラウドベースのサービスでワークロードを同時に実行できるため、リアルタイムのテストを実行し、パフォーマンスと安定性に関するデータを迅速に収集できるうえ、ビジネスの中断がありません。また、金融機関は Finxact を利用して、対象地域に新しいデジタル銀行やブランドを立ち上げることもできます。このアプローチにより、金融サービス機関は、小規模ながら管理可能な形で、最新のテクノロジーから即座に価値を引き出すことができます。

各銀行は、Google Cloud に Finxact をデプロイし、BigQueryVertex AI を活用することで、さらなる顧客インサイトを活用することもできます。Finxact は業務をリアルタイムに可視化し、情報に基づいた意思決定を迅速かつ容易に行えるようにします。これにより、運用コストが削減され、顧客体験が向上します。一方、Google Cloud を利用することで、各銀行は、このプラットフォームに組み込まれている BigQuery や Vertex AI などの AI および ML 機能を活用して、データドリブンな変革をスピード、スケール、セキュリティをもって推進することができます。

Google Cloud とパートナー ソリューションで拡張する

金融機関がどのような方法を選択してモダナイゼーションを実現するとしても、エンドツーエンドのバンキング ソリューションを提供するには、技術パートナーによる堅牢なエコシステムが必要です。BigQuery や Vertex AI などの組み込みの AI および ML 機能を活用できることに加え、Google Cloud と Finxact はそれぞれ、デジタル変革が加速するこの混乱の時期に身を置く金融サービス機関をサポートできるフィンテック パートナーのエコシステムを備えています。

コアバンキングをモダナイズするためのパートナーシップ

Finxact と Google Cloud のパートナーシップは、コアバンキングに革命をもたらしています。各パートナーの機能を活用することで、各銀行は、新しいプロダクトやサービスを迅速に開発し、顧客体験や効率を向上させながら、セキュリティ、スケーラビリティ、信頼性の向上による恩恵を受けることができます。ハイブリッドとマルチクラウドの柔軟性があれば、クラウド戦略が停滞することはありません。それどころか、各銀行はプラットフォームを通じて、今日の開かれた競争の場で遅れを取らず、自分のペースで進化しながら革新と移行を実現できます。

Finxact on Google Cloud について詳しくは、「金融サービス向けの Google Cloud」ページをご覧ください。


- Finxact、CMO Christopher McClinton 氏
- Google Cloud、バンキング パートナーシップ担当 Cid Leeker
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