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Google Cloud の SAP 向け Bare Metal Solution で大躍進を遂げる Cardinal Health

2023年2月20日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 2 月 4 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

ここ数年、Google Cloud をプラットフォームとして選択するSAP の企業ユーザーが増加の一途をたどっています。特に、大規模で処理の難しい SAP ワークロードの移行を考えている企業に Google Cloud が選択される傾向にあります。クラウド モダナイゼーション戦略の一環として S/4HANA システムへの移行を進める企業も例外ではありません。

このような事例の成功において、Google Cloud の SAP システム向け Bare Metal Solution(BMS)は重要な役割を担っています。Google Cloud のBMS サービスは、パフォーマンスに妥協を許さない要件を満たしながらも、フルマネージド型クラウド インフラストラクチャ ソリューションの利点を提供する単一テナントの専用システムです。このSAP 認定の BMS サービスは北米と欧州で利用でき、SAP ユーザーにハイエンドのインフラストラクチャ機能を提供しています。

Cardinal Health: 将来を見据えた環境の構築

Cardinal Health, Inc. は医薬品のディストリビューターであり、医療および臨床検査用製品の世界的な製造販売業者であると同時に、医療施設向けにパフォーマンスとデータに関するソリューションの提供も行っています。世界 30 か国以上で事業を展開し、従業員約 46,500 人を擁する Cardinal Health は、ヘルスケアにおける臨床と運営という 2 つの側面を強く結び付ける役割を担っています。同社は全米の病院の 90%、6 万以上の薬局、1 万以上の専門医および一般の診療所にサービスを提供しています。

Cardinal Health の事業は、この数年間、一連の企業買収を通じて大きな拡大を遂げました。同時に、この買収によって IT 環境が複雑化し、扱いにくくなったのも事実です。複数の ERP インスタンスに加えて、さまざまな ERP システムが併用され、数十種類の従来のアプリケーションが包含されるようになりました。

Cardinal Health のテクノロジー モダナイゼーション戦略は、これらの従来のシステムからビジネスを切り離し、最新で単一のデジタル プラットフォームに移行することを目指しています。具体的には、高度にスケーラブルな単一の SAP S/4HANA システムと BigQuery によって SAP データをフルマネージド型エンタープライズ データ ウェアハウスと統一した Pharma セグメント内において、SAP アプリケーション アーキテクチャをモダナイズし、統合することを目指しています。そのために Google Cloud の大容量メモリ Bare Metal Solution を活用することも、この戦略に組み込まれています。

SAP 統合目標をサポートするスケーリング

Cardinal Health の SAP モダナイゼーションへの取り組みには大きな課題も伴いました。移行プロセスを実行できる時間枠が非常に限られていたうえ、財務と業務への影響を抑えるために 100% の正確性が求められました。それに加え、Cardinal Health の戦略は、パフォーマンスと容量の問題を生じさせずに、医薬ビジネスを単一の SAP HANA スケールアップ インスタンスに統合することなので、Google Cloud は SAP 認定サーバー システムを Cardinal Health の既定の上限の 12 TB からスケールする必要がありました。

Google Cloud は SAP 認定の Bare Metal Solution サーバー オプションを提供することで、この限界を引き上げました。最大 672 個の vCPU、18 TB のメモリに対応するオプションと、最大 896 個の vCPU、24 TB のメモリに対応するオプションです。これに加え、最大容量 96 TB、システムごとに 400,000 IOPS を提供する複数のストレージ オプションも利用できます。高性能ストレージ SKU を加えたこれらのオプションは、SAP HANA オンライン トランザクション処理(OLTP)の認定を受け、SAP 標準のサイズ要件を満たしています。

Cardinal Health を支える Google Cloud の取り組みには、Google Cloud の大容量メモリ Bare Metal Solution による 24 TB VM の本番環境への初期の導入事例も含まれ、SAP HANA のインメモリ データベースの実行を可能にしています。これは、Cardinal Health が求めていた、医薬ビジネス オペレーション用に 1 つに統合されたスケールアップ SAP HANA インスタンスをサポートする、最新かつフルマネージド型の SAP 認定クラウド インフラストラクチャを実現しました。また、Google Cloud の BMS によって、Cardinal Health では、HANA システムへの 2 億以上のビジネス レコード移行プランを含め、同社の目標を支える SAP 環境の容易なスケーリングも確保されました。

さらに Cardinal Health に有益だったのは、24 TB の BMS サーバーで SAP HANA インスタンスを実行しながら、SAP アプリケーション サーバーを仮想システムでも実行できる Google Cloud の機能性です。SAP クラウド インフラストラクチャに対するこのハイブリッド アプローチは、効率と費用対効果の面で大きな効果をもたらしました。Cardinal Health による BMS サーバーの利用が、レポートと意思決定プロセスの大幅な改善に重要な役割を果たすと同時に、プロジェクトの最初の 5 年間で数百万ドルの費用削減につながりました。

このような数量的な成果もさることながら、Google Cloud は Cardinal Health の SAP 移行をたった 1 回の週末で、ユーザーに影響を及ぼすこともビジネスを中断させることもなく達成しました。

Google Cloud のベアメタルに秘められた大きな可能性

Google Cloud のサーバー ソリューションは、SAP ユーザーに提供する最高水準を、生のパフォーマンスに基づいて定義しています。実際に、Google Cloud は 24 TB Bare Metal Solution 構成に対する SAP 認定で、SAP HANAベンチマーク(892,270 SAPS の Intel ベース サーバー用ベンチマーク)世界最高記録を達成しました。さらに、Google Cloud の BMS サーバーと高性能ストレージ サービスを組み合わせると、最大級の SAP HANA データセットでさえ、システム全体の再起動後わずか 30 分でのリロードが期待できます。これは、SAP HANA の「リハイドレーション」に要していた時間と比較してほんのわずかです。

Cardinal Health をモダナイゼーションの取り組みへと向かわせた課題は、多くの SAP ユーザーにも共通するものです。つまり、ビジネスの急成長に伴って広がり続け、ときに収拾がつかない状態ともなる SAP 環境や、効率的に稼働するには常にマルチ テラバイトのメモリ容量を必要とする SAP HANA システムの課題に直面している企業が増えています。しかし、Google Cloud の Bare Metal Solution を選択したお客様は、現実に即した SAP クラウド モダナイゼーションと成長へのイニシアチブで、業界トップクラスのベンチマークを直接成功へと結び付けることができます。

現状を打破し、限界を押し広げる 24 TB Bare Metal Solution システムが、SAP HANA インフラストラクチャの主流になる日はそう遠くないでしょう。明白なのは、Google Cloud が特に要件が厳しく規模が大きい SAP ユーザー向けに最先端のソリューションを提供する力を秘めているということです。


- Google Cloud、SAP ソリューション エンジニアリング担当ディレクター Craig Cook
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