【Google Cloud Next Tokyo 26】DAY 2 基調講演まとめ:インフラからセキュリティまで、フルスタックで支える AI エージェント

Google Cloud Japan Team
Google Cloud Next Tokyo 26 の Day 2 基調講演では、AI エージェントの実用化をフルスタックで支える最新テクノロジーが勢ぞろいしました。インフラの進化から、エージェント開発、データ基盤、そしてセキュリティまで。GovTech東京 や NTTドコモなど先進企業の実践も交えて、最前線で今何が起きているのか、注目のトピックを分かりやすくお届けします!
見逃した方はぜひこちらからご覧ください。
AI を支えるインフラ
幕開けは Google Cloud の渕野の挨拶から。AI コンピューティングへの需要が急速に高まるなか、ハードウェアからモデル、プラットフォームまで全レイヤーを自ら手がけてきたことが強みだと語りました。その象徴が、クリーン エネルギーや専用インフラを 1 つのエンジンにまとめた AI Hypercomputer です。学習と推論それぞれの要求に合わせた第 8 世代 TPU を用意し、新しいネットワーク Virgo Network は 134,000 個のチップを束ねて 170 万エクサ FLOPS を生み出します。運用の面では、Google Kubernetes Engine(GKE)が 256,000 ノードを 1 つのクラスタにまとめ、大規模な学習も支えます。すでに Woven by Toyota が時空間理解の視覚言語モデルの学習を高速化するなど、多くの企業がこの基盤で成果を上げています。


エージェントを本番で動かすプラットフォーム
続いて登壇したのは Google Cloud の Brad Calder。エージェントを本番で動かすための Gemini Enterprise Agent Platform を紹介しました。作る出発点はオープンソースの Agent Development Kit (ADK) で、Google Cloud の全サービスが標準で MCP に対応し、エージェント同士は Agent2Agent プロトコル (A2A) で協調します。動かす Agent Runtime、守る Agent Identity や Agent Gateway、Model Armor まで、本番運用に必要な部品が一式そろいました。


デモでは、Google Cloud の塚越が、Antigravity CLI で作った購買エージェントを動かして見せました。「ノート PC が 3 台ほしい」と頼むと、A2UI が申請ボタンやフォームをその場で組み立て、在庫を確かめて発注を 2 台へ調整します。不正な指示や未登録の MCP への通信は、ポリシーがブロック。開発者が向き合うのは業務ロジックだけです。


データにコンテキストを与える Agentic Data Cloud
続いて、データの活かし方を語ったのは Google Cloud の Sirish Chandrasekaran です。これまでのデータ基盤は、人が問いかけて初めて答える受け身のものでした。Sirish はこうした仕組みを System of Intelligence と呼びます。これからは、AI が自分で判断して動く System of Action が要ります。そのためには、文書や画像のまま眠っている 9 割の非構造化データにも意味を持たせ、いつでも引き出せるようにしておかなければなりません。これを実現するのが Agentic Data Cloud です。データを動かさずに扱う Borderless Lakehouse、AIエージェントや分析基盤に信頼できるコンテキスト(文脈)を提供する「Knowledge Catalog」、自然言語で分析・実行できる Intent-Driven Outcomes という 3 つの柱で支えます。国内でも、メルカリが「Socrates」を BigQuery や Looker の Semantic Layerを使って、NTT データが決済サービス「ADAPTIS」を AlloyDB 上で動かしています。


デモでは、Google Cloud の山田が、架空の食品会社のマーケターとして腕を振るいます。話題の「お濃茶ジェラート」を海外に広げるべきか。その判断までふだんは 5 週間かかるところを、5 分に縮めました。PDF に埋もれた原材料の情報を Gemini が読み解き、AWS にある購買データを動かさず BigQuery につなぎ、組み上げたデータエージェントが売上や ROI を予測して、報告スライドまで用意しました。


1,000万人の都民が使う共通の入り口を目指して
ここで紹介されたのが、GovTech東京 の井原氏です。きっかけは 2024 年 1 月 1 日、能登半島での地震でした。災害のさなかに行政サービスにアクセスできない不安を自ら経験し、行政のデジタル化に飛び込んだといいます。GovTech東京 は東京都と 62 の市区町村と連携し、デジタルサービスを内製する組織です。現在、600 万ダウンロードを超えた東京都公式アプリを、1,000 万人の都民が使う共通の入り口とすることを目指しています。災害時等の集中アクセスでも安定して動き、情報が矛盾なく整合すること。この要件を満たす基盤に Google Cloud を選び、大規模な書き込みと強い整合性を両立できる Spanner を採用しました。


NTTドコモが目指すフル AI マーケティング
NTTドコモの鈴木氏が語ったのは、フル AI マーケティングの構想です。1 億を超える dポイントのユーザーと 2,000 種類以上の顧客データを前に、一人ひとりに最適な体験を届けるには膨大な検討が欠かせません。着目したのは、社内の資産。5,000 人以上の社員が使うデータ活用アプリのソースコードや利用ログに眠る現場の知識を、AI が読み取れるナレッジに変えました。基盤の Google Cloud なら、月 160 億通の顧客アプローチも、お客様の声や営業社員の日報も、BigQuery でまとめて扱えます。施策設計エージェントは、100 パターンを超えるセグメントへ自動で分け、立案から生成、審査までを自律的に進めます。目指すのは、2027 年のマーケティング フル AI 化です。


AI の脅威に AI で立ち向かうセキュリティ
渕野が最後に取り上げたのは、エージェント時代に欠かせないセキュリティでした。攻撃側も AI を使いこなす今、Google は共同プロジェクト Big Sleep で未知のゼロデイ脆弱性を AI 単独で見つけ、脆弱性を自動で直す CodeMender も投入しました。CodeMender では、Gemini 3.5 Flash をセキュリティ用途に特化させたカスタムモデル Gemini 3.5 Flash Cyber も選べます。渕野が掲げたのは、可視化から優先順位付け、修復、監視までを AI で連携させる AI Threat Defense です。
デモでは、Wiz Cloud Japan の大井が、公開状態の Python 製チャットボットに潜む認証回避の脆弱性をレッド エージェントで突き止め、グリーン エージェントが対策を提案するところを見せました。


修復役の CodeMender は、Google Cloud の高橋が cm find・cm verify・cm fix で、脆弱性の発見からパッチ作成までを実演しました。防御を人間のスピードからマシンのスピードへ。渕野はそう締めくくりました。


まとめ
2 日間の基調講演で見えてきたのは、AI エージェントを業務に取り入れる技術が、事例とともに整いつつある姿です。ハードウェアからアプリケーションまで、Google Cloud が一貫してそろえます。最後に、渕野が紹介したのは、手を動かして試せるハンズオンイベント「Build with Gemini Tokyo」や、「第 6 回 AI エージェント事例アワード」。次にこの基盤を活かすのは、みなさんです。来年の Next Tokyo は 8 月 5 日と 6 日。また会場でお会いしましょう。
Google Cloud Next Tokyo 公式サイトにて基調講演を含むセッションをアーカイブ公開中です。現地 / ライブ配信での視聴が出来なかったという方も、ぜひアーカイブ配信にてセッションの復習や新たな学びのきっかけに、ぜひご活用ください。



