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顧客事例

イオンフィナンシャルサービス: BigQuery を軸に全社横断的なデータ分析基盤を構築し、緻密な 1 to 1 マーケティングを強化

2026年3月3日
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Google Cloud Japan Team

グループ全体で 18,086 店舗(2025 年 2 月時点)を誇り、総従業員数は 60 万人を超えるイオングループ。その金融事業を担い、クレジット カード「イオンカード」やスマホ決済「AEON Pay」、電子マネー「WAON」など、決済を中心に多様な金融サービスを展開するイオンフィナンシャルサービス株式会社(以下、イオンフィナンシャルサービス)にとって、高精度かつ高速な全社横断型データ マネジメント基盤は不可欠の存在となっています。その構築プロジェクトにおいて、Google Cloud が基盤として選ばれた理由、現在の手応え、今後の展望までをプロジェクトの最高責任者に伺いました。

利用しているサービス:
BigQuery など

利用しているソリューション:
インフラストラクチャのモダナイゼーション

緻密な 1 to 1 マーケティングに不可欠な、全社横断型データ マネジメント基盤

総合スーパー「イオン」「ダイエー」や、小型スーパー「まいばすけっと」など国内だけでなく、アジアを中心に 14 か国で小売事業を展開しているイオングループ。80 年代からは金融事業にも進出しており、現在はイオンフィナンシャルサービスを中心に、決済サービスや銀行、保険、リースなど幅広くサービスを提供しています。イオンフィナンシャルサービスの常務執行役員 システム担当 兼 システム本部長 兼 サイバーセキュリティ担当の光石 博文氏は、大規模小売事業者であるイオングループが金融事業部門を持つ意義を、次のように説明します。

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「買い物をする店舗と決済のスキームが同一グループ内にあることは、どちらか片方しか持たない事業者と比べて圧倒的なアドバンテージとなります。小売事業が持つ詳細な購入履歴・商品情報と、金融事業が持つお客さま情報を紐付けることで、お客さま一人ひとりに最適化されたアプローチが可能になるためです。具体的にはお客さまが購入した商品に合わせた電子クーポンを発行したり、キャンペーンの告知を行ったりといった 1 to 1 のマーケティング施策を精度高く、クイックに実行できます。」

イオングループは、この決済と小売が融合した環境を「イオン生活圏」と呼んでいます。そのメリットを最大限に引き出すためにはグループ全体のデータを素早く収集し、リアルタイムなマーケティング分析を可能にする DMS(データ マネジメント システム:決済に関連するデータを分析する基盤)が欠かせません。しかし光石氏によれば、以前のイオングループはその点で大きな課題を抱えていました。

「とりわけネックになっていたのが、情報収集・処理速度の遅さです。イオングループには全社をまたぐ DMS が存在せず、それぞれの企業がデータ基盤をオンプレミスで構築していました。他社のデータを利用したい場合、データが同一プラットフォーム上に存在しないため、データの取り寄せが 2 日遅れになることもあり、お客さまの現在の嗜好や行動に合う提案が難しくなっていたのです。また、精度の低いデータではセグメント分けも大まかにならざるを得ず、緻密な 1 to 1 マーケティングを展開できませんでした。しかし我々は、例えばキュウリを買ったお客さまには、ランドセルや自転車のクーポンではなく、やはりマヨネーズのクーポンをお店にいる間にお届けしたい。売上の面だけでなく、顧客のファン化、リピーター化を促進するという意味でも、早期の解決が求められていました。」

膨大な量のデータを高速かつ柔軟に扱える BigQuery をシステム構築の柱に

これらの問題を解決すべく、光石氏は全社横断で使える DMS の構築を決意。2022 年にイオンフィナンシャルサービスが主体となって、プロジェクトをスタートさせました。同プロジェクトでは、DMS 構築の目的として、顧客一人ひとりに寄り添ったサービス提供・提案を可能にすること、情報を素早く収集しリアルタイム性を確保すること、そして、グループ全体で情報を共有し、連携したマーケティング分析を可能にすることの 3 点を掲げました。しかし、これらの目標を会社ごとに分断されたオンプレミス環境で実現するのは実質不可能です。そこで選択されたのがクラウドへの移行でした。

「クラウドへの移行は、プロジェクトのかなり早い段階で決断しました。そのうえで我々の目的に最適なプラットフォームを見つけ出すため、およそ数か月かけて技術検証やコンペティションを行い、2022 年冬に BigQuery を中核とするデータベースを構築する方針を固めました。BigQuery を選んだのは、イオングループの膨大な量のデータを高速かつ柔軟に扱えたからです。Google Cloud が提供する分析基盤なだけあり、イオングループの月数十億に及ぶ商品単位の購買データや、数千万人の会員データをノンストレスで処理できる点においては、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。また、イオングループでも Google Cloud を利用している会社が多く、グループ内の親和性を期待できる点も決め手になりました。」

なお、DMS の開発にあたっては従来のアプローチを一新。開発手法をウォーターフォールからアジャイルに変更して、サービスや機能を段階的にリリースしていけるようにしたほか、これまで外部に委託することの多かった開発を内製化することにも挑戦しています。

「このプロジェクトを通じ、社内の開発力を高めていきたいという狙いがありました。とは言え、まだ社内メンバーだけでは人数もスキルも足りませんから、外部のパートナー企業にも入ってもらいつつ、皆が対等で意見交換できるワンチーム体制で開発に取り組んでいます。開発体制の変更にはリスクもありましたが、社内開発力アップのためには避けて通れません。Google Cloud に提供してもらった教育カリキュラムを利用するなどしてチームの質を高めていきました。」

プロジェクト推進においては、実際に DMS を利用する現場メンバーも巻き込みました。どういうデータがほしいか、どういう形に出力したいかを開発メンバーと現場メンバーでコミュニケーションをとることで、DMS に対する思い入れも深まり、実用性も大幅に向上するという副次効果も生まれました。

DMS の開発作業は 2023 年 12 月に最初の機能を提供した後、2024 年 7 月から本格的に加速。2025 年 5 月には通常業務に必要な機能をひと通り提供することができました。現在は、既存システムからの完全移行を目指し、まだ移行しきれていない細かな機能の追加が進められています。

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組織と働き方を変える真の DX、さらには決済サービスのグローバル化も推進

まだ移行段階とはいえ、すでにイオングループの各現場で活用が始まっているという DMS。光石氏はその成果を次のように説明します。

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「これまで 2 日はかかっていたデータ収集・分析が、わずか数分程度で完了するようになり、迅速な顧客アピールができる基盤が整ったと現場から喜びの声が上がっているところです。また、運用コストも従来システムと比べて、劇的に安く抑えることができています。とはいえ、本格的な運用成果が出てくるのはこれから。2026 年度には念願だったリアルタイムの 1 to 1 マーケティング キャンペーンの発信を本格化させ、お客さまそれぞれに、本当に必要な情報をお届けできるようにしていく予定です。」

さらに光石氏は、このプロジェクトを通じ、データ分析システムの刷新だけでなく、組織と働き方を変える真の DX を目指しているとも説明。以前は外注していたダッシュボードを現場の利用者たちが自ら作り始めるなど、すでに新たな動きが始まっていると語ります。

「この取り組みの面白いところは部署内で閉じていないこと。現場から経営陣までが同じダッシュボードを見て、同じ情報を共有する新しい試みをしている点を高く評価しています。こうした挑戦が現場から生まれていることも今回のプロジェクトの大きな成果と言えるでしょう。今後が非常に楽しみですし、できればこういった挑戦を一部のメンバーだけでなく、全従業員ができるようにしていきたいと考えています。」

もちろん今後、DMS の活用範囲はさらに拡大していきます。例えば、BigQuery に蓄積されたビッグデータから顧客の嗜好や行動を把握するために、AI をこれまで以上に活用していくことなどに挑戦していく予定です。

「あとは海外展開です。イオンの決済サービスは今後、より積極的にグローバル化を推進していきますので、Google Cloud にはぜひともアジアに力を入れてほしい。BigQuery を前提とした仕組みを作ったので、それをあらゆる国・地域で快適に使えるようにしてもらいたいですね。Google Cloud の技術力は断トツだと高く評価していますので、今後も世界中で一緒にビジネスを拡大していければと思います。」


 

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イオンフィナンシャルサービス株式会社
イオングループの核となる小売事業と連携し、イオンカードや AEON Pay、電子マネーの WAON などの決済サービスを提供しているほか、銀行、保険、リースなどの事業も展開。従業員数は金融グループ全体で 15,547 人(国内 4,644 人、国際 10,903 人)(2025 年 2 月末時点)。

インタビュイー
常務執行役員
システム担当 兼 システム本部長 兼 サイバーセキュリティ担当
光石 博文 氏


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