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コスト管理

Google Cloud の新しい Pricing API の使用

2023年8月28日
Google Cloud Japan Team

Google Cloud の初心者にとっても、経験豊かなユーザーにとっても、この新しい Pricing API は、費用をより深く理解し、支出の可視性を向上させるために必要なツールを提供します。

※この投稿は米国時間 2023 年 8 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

既存の Google Cloud ユーザーであれば、Billing Catalog API についてはご存じかもしれません。これを使用すると、請求先アカウントでのすべての公開サービスと SKU の正規料金にプログラムでアクセスできます。サービスによって、同じ製品ラインの SKU がグループ化されます。最近、Google Cloud は新しい Pricing API をリリースしました。既存の Catalog API を改良したものです。新しい Pricing API は公開プレビュー版として提供されており、すべてのお客様が利用できます。

新しい Pricing API を使用すると、利用可能なすべてのサービスの正規料金を取得できるだけでなく、追加のメタデータを含むアカウント固有のカスタム料金や割引を SKU レベルで取得できます。この API は、製品分類や地域分類を含む SKU レベルのメタデータとともにカスタム料金と割引を可視化することで、費用の監査の改善、見積もり、支出の最適化を効率的に促進できます。

料金が重要な理由

クラウドを利用するすべての組織は費用を最適化したいと考えています。ただし、料金を理解せずに、現在の費用を評価したり、将来の傾向を予測したりすることは、困難な場合があります。SKU の料金は、その SKU の正規料金、アカウント固有の割引、過去の使用量を考慮した料金モデルを使用して計算されます。サービスや SKU が異なれば、使用される料金モデルも異なります。随意契約に応じて、アカウントにさまざまな種類の割引が適用されている場合があります。さらに、外国為替レートも現地通貨での料金の決定に影響する場合があります。これらすべての変数を考慮すると、料金を理解するのは簡単ではありません。ただし、費用の最適化の目標をサポートするには、アカウントに固有の正確な料金を知ることが重要です。Pricing API の目的は、この取り組みを支援することです。

新しい Pricing API と既存の Billing Catalog API との違い

まず、Catalog API が提供するのは、公開サービスと SKU の一覧とその正規料金のみです。一方、Pricing API を使用すると、すべての公開サービスと SKU に加えて、契約の一部として請求先アカウントで利用できる公開サービスと SKU を可視化できます。Catalog API と特に異なる点は、すべての SKU について、アカウントに固有の随意契約の料金と割引が存在する場合、それらが表示されることです。Catalog API によってすでに提供されている SKU からサービスへのマッピングなどのメタデータに加えて、SKU グループのリスト、SKU 間のグループのマッピング、地域分類や製品分類などの追加情報が提供されるため、SKU をさらに細分化して分析を向上させることができます。  

Pricing API のリリースにより、料金と費用分析のさまざまな可能性が開かれます。同様のタイプのリソースでも料金はリージョンによって異なるため、この API を使用すると、料金を追跡および比較して、費用の最適化に理想的な SKU を決定できます。また、リソースやリージョン全体でカスタム割引を追跡し、節約額を比較できます。さらに、この API を使用量の指標とともに使用して、費用レポートに示された急増を分析することもできます。たとえば、アカウントで使用されているサービスの一つ(Cloud SQL など)の費用増加がレポートに示されているとします。このサービスの使用量を分析するだけでなく、Pricing API の ListBillingAccountSkus メソッドを使用して、この特定のサービスに属する SKU をフィルタリングして掘り下げることもできます。この例のクエリと JSON レスポンスは以下のようになります。これらは例示を目的としたサンプル レスポンスです。

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この例では、上記のクエリに対するレスポンスが 2 つの SKU に限定されていることに注意してください。

GetBillingAccountPrice メソッドを使用すると、任意の SKU をさらに掘り下げて、正確な契約料金と割引を把握できます。この特定の例に対するクエリとレスポンスは以下のようになります。

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上記のレスポンスに基づいて、us-west3 リージョンの「Cloud SQL for PostgreSQL」の SKU が他の SKU よりわずかに安いことがわかります。ただし、両方とも SKU グループに関連する同じタイプの割引を受けられます。この場合、両方とも同じ SKU グループに属しています。ここから、ListSkuGroupSkus メソッドを使用して特定の SKU グループを掘り下げ、使用量のニーズに合致し、費用削減に適した SKU が他にあるかどうかを確認できます。

Pricing API をベースに、料金などのさまざまなパラメータで異なる SKU を比較するアプリケーションを構築して、使用量と費用の分析に役立てることができます。その他の用途には、予算の決定を支援するサポートや、支払いと請求書の効率的な監査などがあります。先ほども言いましたが、この API を使用した分析の可能性は無限です。

ご利用方法

Pricing API の詳細を理解し、利用を開始するには、こちらのドキュメントをご覧ください。ここでは、すべての API 呼び出し、サンプル レスポンス、リソース、必要な情報にアクセスするために必要な権限について詳しく説明します。Google Cloud Billing の最新情報を常に把握するには、Cloud Billing リリースノートをご覧ください。

さらに、Google Cloud Next に参加する予定がある場合は、以下の FinOps セッションや費用最適化セッションにもぜひご参加ください。

  1. Unlock Cloud value for everyone using Google Cloud FinOps tools(Google Cloud FinOps ツールを使用してすべての人のためにクラウドの価値を引き出す)

  2. Control cost and build financial resilience with automation: An SAP story(自動化による費用の管理と財務レジリエンスの構築: SAP ストーリー)

  3. Use Looker to empower Cloud financial decisions and FinOps(Looker を使用してクラウドの財務上の意思決定と FinOps を強化する)

  4. Optimize your Google Cloud costs with data-driven approaches(データドリブンなアプローチで Google Cloud の費用を最適化する)

  5. Optimize your data and analytics costs(データと分析の費用を最適化する)

  6. Create a FinOps culture change through automation(自動化を通じて FinOps 文化に変化をもたらす)


- Google Cloud、プロダクト マネージャー Shruthi Nambi
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