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未来の働き方

未来の職場ではデジタル デクステリティ(デジタル活用能力)が必須に

2022年9月22日
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Google Cloud Japan Team

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※この投稿は米国時間 2022 年 9 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

企業は予期せぬ事態を想定することはできませんが、それに備えることは可能です。ここ数年の出来事を振り返ってみると、状況はいつでも、何の前触れもなく変化する可能性があることがわかります。その中で、柔軟でダイナミックな文化やツールは、組織が不安定な状況においても進むべき方向を見失わないために必要な手段の一つとなっています。そして、ダイナミックな柔軟性を実現する方法の一つが、コンポーザブルなビジネス手法です。

Gartner が最初に提案したコンポーザブルなビジネス手法は、簡単にアクセスできる、使いやすいデジタル テクノロジーと、テクノロジーに精通した柔軟な職場文化を融合させるというものでした。企業を、小さな建築用ブロックを組み合わせて作られた構造物のような、さまざまな部品の集合体としてイメージしてみてください。新しい課題が発生するたびに、部品を移動させ適切な位置にはめ込むことで、会社の対応方法を再構築できます。こうした手法は、組織の方針転換を迅速かつ効率的に実現するクラウドベースのテクノロジーによって可能になります。

コンポーザブル ビジネスにとって重要なのは、「デジタル デクステリティ(デジタル活用能力)」と呼ばれるコンセプトです。これは、組織や従業員がデジタルツールを活用して素早く方向転換できる能力を意味します。デジタル デクステリティが高い組織は、コラボレーション志向で、分析的な思考を行い、テクノロジーを創造的に活用することで、仕事の進め方に新たな可能性を見出しています。たとえば、デジタル デクステリティが高い組織は、パンデミックの最中、従業員へのオンボーディングを対面式からリモートへと直ちに切り替えることができました。このような組織は、ビデオ会議、バーチャル Chat スペース、オンライン学習ツールなど、すでに導入済みのシステムを利用し、ニューノーマルに適応させたのです。そして、これは予測不可能なことが例外ではなく、当たり前となる未来の職場にとって不可欠なことです。実際、Gartner の調査では、デジタル デクステリティのレベルが高い従業員や組織は、デジタル イニシアチブを立ち上げ、達成し、成功させる可能性が約3 倍高くなることが判明しています。

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デジタル デクステリティの高い企業は、シンプルで直感的な、ユーザーの視点を重視したコラボレーション ツールを採用しています。それにより、従業員がチーム間で共同作業を行っている場合でも、単独作業であっても、迅速かつシームレスな作業が可能になります。また、そのような企業は、新しい需要や変化に対して対応力に優れた職場文化を持っています。


ここでは、組織におけるデジタル デクステリティを向上させるための 2 つの方法を紹介します。

デジタル デクステリティを向上させるプロセスを重視する

コンポーザブル ビジネスには、デジタルに対応した環境と、その環境の中で常に変化に適応し続ける柔軟な職場文化という 2 つの重要な要素が求められます。デジタル デクステリティがあれば、アジリティを徹底的に高め、すべての従業員がテクノロジーを効果的に活用し、組織のより大きな目標に対して直接影響を与える問題を解決できます。これには、予算承認プロセスを合理化するコード不要のアプリケーションのリリース、専門的なプログラミングをせずにバックエンド データにアクセスするための接続されたスプレッドシートの設定、チームの作業リクエストに優先順位をつけるためのウェブ登録フォームの立ち上げといったことが挙げられるかもしれません。直感的に使えるテクノロジーであればあるほど、従業員はより早くデジタル デクステリティを高めることができます。また、テクノロジーの柔軟性が高ければ高いほど、変化に適応するコンポーザブルなビジネス手法の推進に向けて、テクノロジーを活用することへのハードルが下がります。

また、デジタル デクステリティはイノベーションをも可能にします。パンデミック初期、何百万もの企業が必要に迫られて、デジタル デクステリティを短期間で集中的に学びました。それらの企業は、目下の課題を克服するために、新しいテクノロジーとソリューションを採用しました。前述のオンボーディングの例以外にも、消費者行動の変化に適応し、店先受け取りや宅配サービスに軸足を移した小売業者もあります。不動産業者は、インターネットでのご案内、3D ツアー、電子契約書での契約を積極的に取り入れました。外出禁止令が解除されると、レストランではオンラインでの順番待ちリストと予約を活用して混雑を緩和しました。製造業者では、サプライ チェーンの問題が発生した際、供給業者からの迅速な配送に頼らず、生産に必要な資材を手元に確保しておくために購買を調整しました。そして、実に不安定な環境にあっても適応し続けることで、各業界のプロは安定性を獲得したのです。

柔軟な職場文化を築くには、時間がかかります。デジタル デクステリティのメリットを組織内に広める際に重要なのは、一度のトレーニング イニシアチブではなく、時間のかかる道のりであることを強調することです。適切なツールや考え方があったとしても、それは教育、働きかけ、実験、そして組織全体のオープンな対話を含む継続的なプロセスになります。しかし、従業員がビジネス上の最重要課題を解決するために、自分の周りにあるテクノロジーを使いこなすのは簡単だと感じたとき、デジタル デクステリティは戦略上の大きな強みになります。

デジタル デクステリティを高めるために、デジタル処理のわずらわしさを排除する

生産性を高めるために必要なすべてのアプリとワークフローへの、安全な 1 回限りのログイン アクセスを従業員に提供することから、すでに共同作業を行っているチームのコンテキスト シフトを軽減することまで、デジタル処理のわずらわしさを低減する細かな方法は数え切れないほどあります。テクノロジーによる障害を排除できれば、デジタル デクステリティの獲得はずっと簡単になります。

多くの場合、柔軟性に欠ける、または時代遅れのテクノロジーは、さらなる発展の妨げになります。新入社員は、プライベートではさまざまなデジタルツールを使いこなすことができるかもしれませんが、共同作業や何かを成し遂げようとするときに、職場のツールは、デジタル処理に手間のかかる迷路のように入り組んだものだと感じるだけです。職場から離れて仕事をする際に何度も求められる再認証や、一日中強制されるアプリの変更など、デジタル処理のわずらわしさは生産性と共同作業を妨げます。

場所を選ばない直感的なクラウドベースのツールは、従業員間のよりシームレスな共同作業を可能にします。テクノロジーが目指すのは、今まで作業していた場所で生産性を維持しながら共同作業を継続できるようにすることです。たとえば、ブレインストーミングのドキュメントから直接オンライン会議に移行できれば、チームメイトはタブやアプリを切り替えたり、別のミーティングをスケジュールする必要がなくなります。また、会議の招待状やスプレッドシートに加えるべき人、ファイル、イベントについてAI ベースの推奨事項を活用することで、正しい進め方を模索する時間を減らし、手元にある適切な材料を用いてチームメイトと共同作業をする時間を増やせます。

また、従業員の業務を効率化する自動化されたテンプレートやワークフローを利用することで、デジタル デクステリティが向上します。たとえば、Google Workspace では、一連のドキュメントや情報の要約の自動生成に取り組んでいます。これは、AI を活用したもので、長いドキュメントやチャットの会話を要約し、情報過多による従業員の負担を軽減します。また、カレンダーでは、会議の主催者が会議メモのテンプレートを会議の招待状に直接すぐに追加できるため、全員を集める時間を短縮できます。

テクノロジーと文化の組み合わせで成功を収める

コンポーザブル ビジネスの成功は、テクノロジーと文化の組み合わせによって実現します。重要な要素が 2 つあります。それは、新しい課題に適応できる柔軟なテクノロジーと、従業員のデジタル デクステリティを向上させる文化です。コンポーザブル ビジネスが、移動や元に戻すことが可能な組み合わされた部品の集合体だとすれば、新しい構成を可能にするのは、ツールと文化の両方におけるアジリティです。ここ数年の出来事から、未来は常に極めて不確実であることを私たちは再認識しました。そして組織は、最も可能性の高いシナリオを想定したプランニングから、多くの可能性を想定したプランニングにシフトする必要があります。ツールや文化において、柔軟性が基盤を支える中核になってこそ、組織は次の曲がり角を乗り越えることができるのです。


- Google Workspace チーフ ワークスペース エヴァンジェリスト Michael Brenzel
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