Next ‘26 で発表した AI ワークロードを加速するストレージ イノベーション

Sameet Agarwal
VP/GM, Storage, Google Cloud
Asad Khan
Sr. Director of Product Management, Google Cloud
※この投稿は米国時間 2026 年 4 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google Cloud Next では、ストレージ スタックのあらゆるレイヤ(パフォーマンス、インテリジェンス、管理など)にわたるイノベーションを発表しました。これらは、構築する AI モデル、アプリ、エージェントと同様に、データも高速かつ有用なものにすることを見据えたものです。
利点: ストレージはもはや、単にデータを保管する場所ではありません。AI モデルのトレーニングにおいて、ストレージはデータを大量に消費するアクセラレータにデータを供給するエンジンとなります。AI 推論の際には、AI エージェントが効果的に機能するために必要なコンテキストのソースとして機能し、応答性を高めるアクセスレイヤとなります。ストレージのパフォーマンスが不足すると、アクセラレータはアイドル状態になり、エージェントの応答は遅くなり、データは AI モデルから見えない状態のままになります。
しかし、ストレージのパフォーマンスを上げるだけでは不十分であり、スマートに機能させる必要もあります。ストレージ レイヤに直接統合された Google AI モデルを活用することで、単にビットを保存するのではなく、コンテンツに関する完全なコンテキストを持つデータを保存できるようになります。このスマート ストレージの新時代において、元データは、さまざまなダウンストリーム AI やエンタープライズ アプリケーションですぐに利用できる貴重な資産となります。
最新情報:
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高性能ストレージ インフラストラクチャ: 高性能オブジェクト ストレージを実現する Cloud Storage の新しい Rapid ファミリーは、パフォーマンスを 10 倍向上させるとともに、Google Cloud Managed Lustre 向けに費用対効果の高い新しい Dynamic ティアを提供します。
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Smart Storage: 自動化されたメタデータ アノテーションと MCP を介した AI エージェントとの連携により、非構造化データの価値を引き出します。
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Storage Intelligence: 構成不要のダッシュボード、集約されたアクティビティ ビュー、強化されたバッチ オペレーションにより、データ マネジメントを効率化します。
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エコシステムの強化: Google Cloud NetApp Volumes、Filestore for GKE、および Google のバックアップとデータ保護のポートフォリオ全体で機能を拡張しました。
今週発表されたストレージの機能強化について詳しく見ていきましょう。
AI の進化に対応するストレージ インフラストラクチャ
AI モデルのスケーリングに伴い、ストレージからコンピューティング レイヤに十分な速度でデータを転送することがボトルネックになる可能性があります。新しいストレージ機能により、パフォーマンスがストレージ レイヤに直接組み込まれるため、総所有コスト(TCO)が削減され、アクセラレータを最大限に活用し続けることができるようになります。
Cloud Storage RapidCloud Storage のようなクラウドベースのオブジェクト ストレージは、スケーラブルで費用対効果に優れていますが、ボトルネックが発生すると AI ジョブが停止し、高価なコンピューティング サイクルが無駄になる可能性があります。トレーニング クラスタが読み取りを待機したり、チェックポイントの書き込みが停止したりするたびに、有用な作業を行っていないアクセラレータに対して料金を支払うことになります。
Cloud Storage Rapid は、AI インフラストラクチャの設計において抜本的な転換をもたらします。オブジェクト ストレージの信頼性を優先するか、AI 専用ストレージ システムの高い性能を優先するかといった取捨選択をする必要がなくなるからです。Cloud Storage Rapid を使用すると、業界をリードする耐久性、大規模な分散型スケール、費用対効果の高いオブジェクト ストレージの自動階層化を活用しながら、極めて高いスループット、頻繁な I/O、超低レイテンシを実現できます。PyTorch と JAX にネイティブに統合された Cloud Storage Rapid は、人気のある AI / ML エコシステム フレームワークですぐに使用できるよう最適化されているため、データ準備、トレーニング、推論のワークロードを高性能かつ信頼性の高い基盤上で実行できます。
Cloud Storage Rapid ファミリーには、Rapid Bucket と Rapid Cache の 2 つのサービスがあります。
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Rapid Bucket はすでに一般提供を開始しています。Gemini や YouTube を支える Google の分散ストレージ システムである Colossus を活用することで、単一のゾーンバケットにおいて 15 TB/秒を超える帯域幅、1 秒あたり 2,000 万件のリクエスト、1 ミリ秒未満のレイテンシを実現します。高性能な gRPC と S3 互換 API を介してアクセスできる Rapid Bucket は、マルチモーダル学習におけるアクセラレータ使用率の向上により、GPU ブロック時間を 50% 削減し、データ読み込みを 2.5 倍高速化します。従来のオブジェクト ストレージと比較して、チェックポイントの復元は 5 倍、チェックポイントの書き込みは 3.2 倍高速化され、ワークロードの中断や GPU の無駄な時間を削減します。


Rapid Bucket により、チェックポイントの書き込みが 3.2 倍、復元が 5 倍高速化
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Rapid Cache(旧称 Anywhere Cache)は、推論用のモデルの読み込みなど、バースト性の高いワークロードの帯域幅を高速化し、コードを変更することなく、既存のバケットに対して 2.5 TB/秒の合計読み取りスループットを実現します。新しい書き込み時取り込み機能により、チェックポイントの復元が最大 2.2 倍高速化され、トレーニング クラスタが中断からより迅速に復元できるようになります。Rapid Cache は、そのシンプルさとパフォーマンスの組み合わせにより、最先端の AI / ML を利用する Thinking Machines Lab のようなお客様に広く採用されています。「Rapid Cacheは、当社の AI / ML データ インフラストラクチャの中核的な基盤となっており、データの準備から、事前トレーニング、実際のトレーニング、モデルの読み込みに至るまで、重要なワークフローを支えています。重要な帯域幅のシールドおよびブースターとして機能し、迅速なイノベーションに必要なオンデマンドの高帯域幅と一貫した安定性を提供してくれるため、当社はフリート全体でデータ集約型のワークロードを妥協することなくスケールできます。」- Thinking Machines Lab、テクニカル スタッフ、James Sun 氏
Google Cloud Managed LustreLustre 並列ファイル システムは、AI のトレーニングと推論のワークロードで高スループットとミリ秒未満のレイテンシを必要とする組織にとっての業界標準となっています。世界中の AI ラボや HPC センターから信頼を得ており、数千のアクセラレータに同時にフィードでき、高負荷状態でも飽和状態を維持できることが評価されています。Google Cloud Managed Lustre は、その機能をフルマネージド サービスとして提供します。Next ‘26 では、クラウドで利用できるマネージド Lustre サービスの中で最も高いパフォーマンスを発揮できることを紹介しました。
Managed Lustre は現在、最大 10 TB/秒のスループットを実現しています。これは昨年比で 10 倍の向上であり、単一インスタンスにおける他のハイパースケーラーのマネージド Lustre サービスと比較して 4~20 倍高い数値です。C4NX VM と Hyperdisk Exapools を活用した Managed Lustre は、他の Google Cloud ストレージ ソリューションと比較して、チェックポイントの書き込みと復元が 2.6 倍高速です。
新しい Dynamic ティア($0.06/GB-月)は、トレーニングやチェックポイント処理といった負荷の高い AI ワークロードに必要な低レイテンシのパフォーマンスを提供します。オブジェクト ベースのキャッシュに依存するのではなく、永続ディスクからデータをサービングすることで、パフォーマンスの急激な低下をなくし、データの応答性を維持し、アクセラレータの生産性を確保します。単一の SKU により、従来のデータ階層化に見られる複雑な要素を排除し、シンプルで予測可能な料金体系を実現します。
「Managed Lustre を統合することで、典型的なオンボーディングのボトルネックが解消され、推論ワークロードを迅速に実行できるようになりました。この高スループット、低レイテンシのストレージにより、B200 GPU では完全に飽和状態が維持され、H200 と比較して LLM の推論で大幅なパフォーマンスの向上を実現できています。当社のお客様にとって、このパフォーマンスは、従来よりもはるかに低いレイテンシで複雑な推論を処理できる、より高速で応答性の高い AI エージェントの実現へと直結します。」 - Salesforce、ソフトウェア エンジニアリング PMTS、Lavnaya Karanam 氏
Smart Storage: AI 時代のコンテキスト
Cloud Storage のようなオブジェクト ストレージ システムの魅力は、長らくそのシンプルさにありました。システムはオブジェクトの名前、サイズ、作成日時を把握しています。しかし、オブジェクトの内容(参照しているエンティティ、機密性の高い個人情報(PII)が含まれているかどうか、保留中のクエリに関連しているかどうかなど)を把握するには、カスタム パイプライン、個別のデータベース、カスタムメイドの拡充システムを使用する必要がありました。
AI はこの状況を一変させました。モデルをファインチューニングするには、数百万ものコーパスの中から適切なオブジェクトを最初から選択する必要があります。エージェントを構築するには、それぞれの意思決定において適切なコンテキストを取得することが必要です。コンプライアンスの義務を果たすには、法的責任が発生する前に、すべてのファイルの内容をあらかじめ把握しなければなりません。いずれの場合も、ボトルネックとなるのは計算能力やモデルの品質ではなく、オブジェクトを大規模に記述、検索、処理できない点にあります。
昨年発表した Smart Storage は、保存されているデータと利用可能なデータのギャップを埋めることを目的としています。Cloud Storage に直接組み込まれており、すべてのオブジェクトを自己記述型にします。このたび、Smart Storage に以下の機能を追加しました。
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自動アノテーション: カスタム アノテーション パイプラインの構築や維持管理が不要になります。Smart Storage を有効にすると、Cloud Storage は画像アノテーションなどのコンテキストを自動的に生成できるようになり、データが保存された瞬間から検出と利用が可能になります。アノテーションにかかる費用の発生は書き込み時の一度だけで、オブジェクトの存続期間中、すべてのダウンストリーム システムがそれらのアノテーションを即座に利用できます。
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Cloud Storage MCP サーバー: 標準の MCP プロトコルを使用して Cloud Storage データの読み取り、書き込み、分析を行うことができます。
Smart Storage は、このたび一般提供を開始したオブジェクト コンテキストを活用して、これらの機能をはじめとするさまざまな機能を実現します。このメタデータ基盤により、すべてのオブジェクトに対して、構造化された変更可能な IAM 管理のコンテキストが追加されます。ユーザーは独自のタグや分類を作成できます。ラベル、抽出されたエンティティ、コンプライアンス シグナルは、Google のアノテーション パイプラインで自動的に付加されます。


Smart Storage を利用すれば、ML チームは、検索パイプラインを構築することなく、セマンティックな基準に基づいてトレーニング用データセットを選択できます。AI エージェントは、別の検索レイヤを必要とせずに、エンタープライズ データに基づいて推論をグラウンディングできます。
Storage Intelligence: AI に対応したデータ マネジメント
データ資産が数百ペタバイト規模にまで拡大すると、ストレージ費用が想定外に急増し、数十億のオブジェクトにわたってセキュリティの盲点が増える可能性があります。これを管理するには、自社のデータに関する基本的な課題に対処するためだけでも、複数のツールを組み合わせる必要があります。
Google は昨年、統合管理エクスペリエンスを Cloud Storage に直接組み込んで提供する Storage Intelligence をリリースしました。現在、Google の最大規模のお客様の 70% に利用されており、それぞれ 500 億個以上のオブジェクトが管理されています。
Storage Intelligence では、プロジェクトや組織全体を単一のビューで把握できるほか、リージョンをまたいだバケットの再配置といった独自の機能を利用できます。こうした機能に加えて、このたび、Storage Intelligence の機能を大幅に強化しました。
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新しい構成不要のダッシュボード: 費用の異常を即座に把握できるほか、Security Command Center のデータ セキュリティ ポスチャー管理(DSPM)データ ガバナンス機能が統合されているため、Cloud Storage 全体にわたって重大なセキュリティの脆弱性を検出できます。設定作業は一切不要です。
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分析情報データセットの新しいオブジェクト イベントおよびバケット アクティビティ テーブル: より詳細な費用分析が可能になり、運用タスクを加速できます。これらの分析情報を使用することで幅広い分析を行えます。たとえば、下り(外向き)パターンに基づいてバケット配置を最適化したり、影響を受けるオブジェクトを特定して 429 エラーを迅速にトラブルシューティングしたりできます。
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バッチ オペレーションの強化: 新しい ACL 変更やストレージ クラス オペレーション、マルチバケット オペレーションのサポートにより、数十億のオブジェクトに対してますます容易にアクションを実行できるようになりました。
ストレージ エコシステムの強化
中核となるストレージ サービスに加え、データをクラウドに移行する方法や保護する方法を効率化しました。
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Google Cloud NetApp Volumes: Flex Unified のリリースに伴い、NetApp Volumes ではデータセンターとクラウドを橋渡しする統合エンタープライズ ストレージ プラットフォームが提供されるようになりました。これによって、同一のストレージ プール上でブロック(iSCSI、NVMe/TCP)とファイル(NFS / SMB)の両方をプロビジョニングできます。新しい ONTAP モードでは、既存の自動化ツール(Terraform、Ansible)や ONTAP API を NetApp Volumes に直接取り込むことができます。
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Filestore for GKE: Google Kubernetes Engine(GKE)で AI ワークロードを構築する際、100 GiB 程度の小規模な共有から始めることができます。容量と IOPS は個別にスケールできます。また、Colossus 分散ファイル システムとの緊密な統合により、スケーリング機能とエンタープライズ機能が強化されています。
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データ保護: Google Cloud Backup and DR に、バックアップ アセットを自律的に監査し、カバレッジのギャップを修復できるエージェント型 AI 機能を追加しました。すでに一般提供されている AlloyDB と Filestore の新しいインテグレーションも利用できます。
導入の第一歩
AI の新時代を迎えるなか、ストレージ基盤には、より大規模でインテリジェントかつ自律的なモデルをサポートできることが求められています。Google Cloud のストレージ プラットフォームは、高性能でインテリジェントな最新のストレージ レイヤ、強化されたストレージ管理ツール、より堅牢なデータ保護基盤を備えており、これまで不可能だった方法でエンタープライズ データを理解できます。これにより、以下のようなことが可能になります。
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AI データのボトルネックの解消: コンピューティング リソースを最大限に活用し、費用対効果を加速させます。卓越したパフォーマンスを提供する高スループット ストレージによって大規模なトレーニングや推論に対応できるほか、高価な GPU や TPU を常に最大限に活用できます。
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エージェント対応のデータ基盤の構築: カスタム パイプラインの構築から、アクティブなナレッジベースへと移行します。自己記述型オブジェクトによって、AI エージェントが手動での準備なしにデータを即座に推論できるようになります。
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エクサバイト規模のデータにおける盲点の最小化: 断片化された管理ツールを、構成不要のダッシュボードとデータセットに置き換え、数十億のオブジェクトにわたる費用の異常やセキュリティ リスクを即座に明らかにします。
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ストレージ エコシステムの活用: 移行と保護を効率化します。データセンターとクラウドを連携させ、コンテナ化されたアプリケーションをスケールし、エージェント型 AI でデータ レジリエンスを自動化しましょう。
Google Cloud Storage コンソールにアクセスしてこれらの新機能をお試しください。Cloud Storage Rapid の詳細と、Next '26 のストレージのセッションもご覧ください。
- Google Cloud、ストレージ担当 VP 兼 GM、Sameet Agarwal
- Google Cloud、プロダクト管理担当シニア ディレクター、Asad Khan

