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Google Cloud での SAP

Google Cloud 上の S/4 HANA に移行することでドイツ取引所グループが手にした大きなメリット

2024年2月13日
Google Cloud Japan Team

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※この投稿は米国時間 2024 年 2 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

国際的な金融商品取引所として、そして革新的な市場インフラストラクチャ プロバイダとして、ドイツ取引所グループは資本市場の透明性、信頼性、安定性を確かなものにしています。当グループの事業領域は金融市場の取引プロセスとバリュー チェーンの全体に及んでいます。また、最先端の IT ソリューションを開発し、自社グループの IT システムを世界中に提供しています。当グループは、幅広いプロダクト、サービス、テクノロジーを通じて、サステナブルな経済を実現する安全で効率的な市場を整備しています。そうした背景から、信頼性、安定性、コンプライアンスが当グループのビジネスの基盤となっています。

急速に変化する市場に対応し、競争力を維持するには、継続的なイノベーションが欠かせません。しかし、イノベーションと安定性は無策では両立しません。イノベーションにはリスクが伴います。顧客の信頼を維持し、規制要件を満たすために、当グループが担うイノベーションには常に一定のバランスを取ることが求められています。

オンプレミスのボトルネックによる行き詰まり

従来型のアーキテクチャから Google Cloud への移行に際しては、信頼性とイノベーションとの間のこうしたバランスが中核にありました。以前は SAP エンタープライズ リソース プランニング(ERP)ソフトウェアをオンプレミスで実行していましたが、要件の変化のペースについていくことができていませんでした。合併や買収による新法人の追加、各種スワップや有価証券などの商品のリリースはもちろん、ワークフローを改善するという単純な要求にすら追いついていませんでした。単純なリリースのリクエストだけでも 9 か月もの時間を要し、こうしたボトルネックによってシステムにリクエストのバックログが発生していました。最新の SAP ERP である S/4 HANA へのアップグレードを開始したとき、クラウドへの移行も同時並行で行えば、システムのパフォーマンスが大きく向上することはわかっていました。しかしまず、ステークホルダーや規制当局からの信頼を得る必要がありました。

当初から、当グループは顧客、ステークホルダー、規制当局に対する完全な透明性を重要視してきました。クラウドへの移行について最初に社内管理チームに話したとき、難色を示す表情が多く見られましたが、Google Cloud チームは関係者全員との信頼を築くことの重要性を理解していました。私たちとステークホルダーは Google Cloud の協力のもと、具体的なプロセスとそのビジネスへの影響を正確に把握していくなかで、すべての関係者の賛同を得ることに成功しました。当グループは世界的にも屈指の早さで SAP ワークロードを Google Cloud に移行しています。

オンプレミス マインドセットからの脱却

注目すべき点は、オンプレミス アーキテクチャがクラウドよりも安全であるという俗説を打ち破ったことです。ほとんどのオンプレミス データセンターには暗号化が実装されていませんが、これは社内にデータセンターがあると安全だと信じられているためです。一方、Google Cloud では、データの暗号化がインフラストラクチャ レベル、データベース レベル、アプリケーション レベルの計 3 回行われます。当初、私たち自身で暗号鍵を保持することはできませんでしたが、独自の鍵を保持できるように Google Cloud チームがサポートしてくれたことで、セキュリティ レイヤをもう一層追加することができました。オープンで透明性のある対話を通じてこうした事項をすべて説明することで、ステークホルダーや規制当局に移行のメリットを納得してもらうことができました。

Google Cloud のおかげで、パフォーマンスが低下することなく、当グループのデータはこれまで以上に安全になりました。しかし、これで落着とはいきませんでした。オンプレミス インフラストラクチャからシステムを移行して間もなく、私たちはオンプレミス マインドセットからも移行しなければならないことに無自覚であったことに気づきました。当グループのエンジニアの多くは長年にわたり従来型のオペレーティング システムでワークロードを実行してきたため、クラウド ワークロードに切り替えることについては当然不安がありました。先ほどと同じく、Google Cloud チームはエンジニアの懸念を理解し、新しいシステムに適応できるようにエンジニアのトレーニングをサポートしてくれました。

強力なクラウド アーキテクチャで市場の需要に応え続ける

SAP S4/HANA が Google Cloud 上で実行されるようになったことで、変化の絶えない市場に迅速に対応する能力が劇的に向上しました。取引量の突然の増加に対応して処理能力を迅速にスケールアップする必要がある場合でも、数回クリックするだけでそれを実現できます。開発サイクルも大幅に短縮されました。以前は、10~15 人の開発者しか作業できない開発環境が 1 つあるだけで、開発サイクルを終えるまでに 9~12 か月かかっていました。今では 60~70 人の開発者が複数の開発環境で並行して作業を行っており、開発時間が大幅に短縮されています。

また、システムに新しいハードウェアを追加する際に生じる長時間の遅延を心配する必要もなくなりました。Google Cloud を利用すれば、ボタンをクリックするだけで新しいソフトウェア サービスを追加できるため、新しいハードウェアの追加に何か月も費やす必要はなく、数日で新しいサービスをオンボーディングできます。自動フェイルオーバーにより障害復旧時間も短縮されました。目標復旧時間(RTO)は 2 時間から 20 分未満に短縮され、目標復旧時点(RPO)は 2 時間からほぼゼロに短縮されました。

イノベーションを始めよう

現在は、当グループの SAP プラットフォームにある貴重なビジネスデータに Google Cloud のデータ分析機能を応用する方法を模索しているところです。すでに HR および IT データ領域でその取り組みを開始しています。BigQuery に統合されたビジネスデータに迅速にアクセスできるようになったことで、HR チームはマネジメントやダイバーシティ関連のレポートなどのプロセスに深みと洞察を付加できるようになりました。同時に、当グループはより多くの AI 機能をワークフローに組み込む方法も検討しています。現在は Document AI を試験運用しており、請求書入力を自動化して経理チームの時間を節約することを目指しています。

多くの意味で、私たちの歩みはまだ始まったばかりですが、透明性の高いアプローチにより、戸惑うステークホルダーや慎重さを見せる規制当局の支持を得ることができたため、Google Cloud の活用によりセキュリティとパフォーマンスが大幅に向上したことをすでに実証できています。これを足掛かりにしてさらなるイノベーションに着手することで、効率性と反応時間を改善し、重要なプロダクトとサービスをお客様に提供し続けることができます。信頼性、安定性、コンプライアンス、そしてイノベーション。Google Cloud なら、そのすべてが揃います。

-ドイツ取引所グループ、EVP 部門、コーポレート IT 担当責任者 Lars Bolanca 氏

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