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Google Cloud での SAP

Carrefour Belgium: Google Cloud 上の SAP でシームレスなデジタル エクスペリエンスを推進

2022年1月18日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 1 月 11 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Stijn Stabel 氏が Carrefour Belgium の CTO に着任した当時、問題は山積みだったといいます。「データセンターは老朽化していて、屋根は雨漏りがしていた」と彼は振り返ります。世界第 8 位の規模を誇る小売業者にふさわしいとは言い難いものでした。

Carrefour はヨーロッパ、アジア、中東で広く知られており、30 か国を超える国々で 12,000 店舗を超えるハイパーマーケット、食料雑貨店、コンビニエンス ストアを運営しています。Carrefour Belgium は 1 万人を超える従業員を擁し、700 の店舗と e コマース事業の運営を行っています。しかし Stabel 氏には大きな目標がありました。「私たちが目指すのは、デジタル小売企業になることです。デジタル トランスフォーメーションに遅れて追随する立場から、一刻も早く先駆者になりたいと思っています。これは CTO として極めてやりがいのある挑戦的な仕事です」と Stabel 氏は語ります。

あれから 3 年、Carrefour Belgium は順調にその目標を達成しつつあります。財務、人事などの SAP アプリケーション スタックは、ほとんどすべて Google Cloud に移行済みです。「私たちはわき目も振らず全力で取り組んできました。極めて難しい挑戦ではありますが、私がこれまでに見てきた中でも最高レベルの刺激的な変革です」と Stabel 氏は語ります。

Carrefour Belgium が直面していた課題は、データセンターの老朽化にとどまりませんでした。Carrefour Belgium が競争力を維持するためにはデータを活用した高度な分析が欠かせないと Stabel 氏は考えていましたが、システムが 2 つのプライベート クラウドに分割されていたため、それを効率的に行う方法がありませんでした。Stabel 氏は言います。「世界は空前の速さで変化しています。問題は、それについて行くことができるか、それとも振り落とされるかです。前進を止めることは、会社の発展に見切りをつけることと本質的に同じです。そうなれば、いずれどこかのタイミングで会社の存続自体をあきらめることになります。」

Stabel 氏は、オンラインと実店舗の両方でシームレスなカスタマー エクスペリエンスの実現を目指す場合は特に当てはまる、と言います。「店舗ではすべてがデジタルになるでしょう。紙の値札は値段が変わるたびにつけ直さなければなりません。そんな不便にこの先いつまで我慢しなければならないのでしょうか?環境にも大きな負荷となります。そんなことがいつまで許されるのでしょうか?サステナビリティは、今後ますます重要になっていきます。」

Carrefour Belgium の CIO、Olivier Luxon 氏も意見を同じくしており、会社のあらゆる活動におけるカスタマー エクスペリエンスの重要性と、地球規模で起こったこのパンデミックによる消費者のニーズの急速な変化を強調します。「新型コロナウイルス感染症の流行から見えてきたのは、お客様がより多くのデジタル・サービスを求めているということです。その傾向は以前からありましたが、COVID-19 の流行によって劇的に加速しました。」

Google Cloud への SAP 移行という決断

さまざまな可能性を調査した結果、次に示す 4 つの理由から Carrefour Belgium はクラウドに関して「Google ファースト」の方針を採ることに決めました。

  1. パートナーシップ:「Google はこちらを囲い込もうとするのではなく、こちらのニーズに耳を傾けて尊重してくれます。」(Stabel 氏)

  2. テクノロジー: Google が提供する、分析を始めとするさまざまなツール、特に BigQuery が、SAP システムのクラウド・プロバイダを選ぶ決め手になりました。「分析用のクラウドホスト以外の場所に SAP 環境を移行するのでは意味がありません」と Stabel 氏。同社では今後、あらゆる SAP データを BigQuery で分析できるようにする予定であるとのことです。「当社のデータチームは BigQuery を使った基盤を構築しているところです。これが完成すれば、品ぞろえの計画やプロモーションのような複数のユースケースを取り扱うことができるようになります。目標は、真の意味でデータドリブンな企業になることです。」(Stabel 氏)

  3. セキュリティ: Carrefour Belgium は Google Cloud のゼロトラスト セキュリティ ソリューション、BeyondCorp を導入しています。ネットワーク境界で行っていたアクセス制御をユーザー単位で行うことで、従来のように VPN を介さなくても実質的にどこからでも安全に作業できるようになります。「Carrefour Belgium は Carrefour 社内の組織として初めてこのプラットフォームに移行します。このような先駆者になることにワクワクしています。」(Stabel 氏)

  4. 価値:「私の直属の上司は CFO ですから、パートナーシップとテクノロジーだけではビジネスケースとして認められません。明らかなビジネス上の価値を示す必要があります。Google Cloud が提供してくれるのはまさにそれでした。」(Stabel 氏)

Carrefour Belgium の移行方針は、従来の SAP ERP Central Component(ECC)環境に対してリフト&シフトを行ってから S/4HANA を Google Cloud に新規に実装するというもので、このプロセスはすでに進行中です。現在までに HR モジュールが S/4HANA にアップグレードされており、小売運用モジュールがこれに続く予定です。

より高度なパフォーマンス、より上質なエクスペリエンス、より優れたインサイト

まだ始まったばかりではあるものの、Google Cloud への移行は、すでに管理部門業務のパフォーマンス向上に効果を発揮しており、Luxon 氏によれば、これにより時間と労力が節減され、接客の品質向上につながっているとのことです。Luxon 氏は、SAP を Google Cloud で動かすことはカスタマー エクスペリエンスに直接的な影響を及ぼしていると感じています。特に大きいのは、データ分析によって顧客のニーズを的確に把握し、効果的に対応できるようになっていることです。Luxon 氏は言います。「Carrefour に限らず、データは世界中のあらゆる企業にとってますます重要なものになるでしょう。その影響範囲はパーソナライズされたカスタマー エクスペリエンス、プロモーション、業務効率、財務に及びます。適切なデータ アーキテクチャを開発段階から構築しない限り、数年後には企業として効率的に活動することがほとんど不可能な状態になるでしょう。」

最終的に目指すのは、接客の向上に必要なツールを Carrefour Belgium に提供することです。「SAP は、サプライ チェーン、財務、HR、小売業務などの各部門を管理するツールと処理体系を提供することで業務を支援します」と Luxon 氏。「しかし、従業員、店舗、顧客への対応を向上させるために必要な可用性、拡張性、そしてセキュリティがありませんでした。Google Cloud に移行することでそれを獲得できました」。また、2007 年以来カーボン ニュートラルを継続している Google Cloud は、2030 年までには事業全体をカーボンフリーにすることを宣言しています。そのため、単に事業の運営を Google Cloud に移行してクラウドでモダナイズするだけで、Carrefour はサステナビリティに関する取り組みも前進させることができます。

Stabel 氏は言います。「Google は骨の髄までデジタルな企業です。そして Carrefour は生粋の小売企業であり、小売業のすべてを知っています。ですから両社のパートナーシップはまさに Win-Win な関係だと言えるでしょう。これからも Google Cloud から学び続け、Carrefour Belgium の発展やユーザーとお客様へのサービス向上に役立つどのようなソリューションが他にあるかを見つけていきたいと思っています。」

Carrefour Belgium の導入事例と、SAP 環境を Google Cloud に移行して組織のデジタル トランスフォーメーションを加速する方法の詳細をご覧ください。


- Google Cloud SAP 担当マネージング ディレクター Snehanshu Shah
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