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ネットワーキング

ハイブリッドおよびマルチクラウド環境向けの Cloud Load Balancing を理解する

2023年1月12日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 12 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

現代の企業アプリケーションは、分散型環境全体で組み立てられることが少なくありません。その際に関わってくるのが、マルチクラウド、マルチ SaaS、オンプレミス環境にわたるサービスの統合です。こうしたアプローチには、企業がアプリケーションのサポートに最適なサービスを選択できるという利点があるものの、異種混合環境間でサービスを提供するという複雑さが増します。この問題を解決するために、Cloud Load Balancing は次のようなオープン クラウド戦略に対応しています。

  • オープン ソースとオープン標準を活用して、異種混合環境全体でユニバーサル トラフィック管理ポリシーをサポートする

  • グローバル フロントエンドを実現して、各種アプリケーションで共通のポリシーとセキュリティ態勢を活用できるようにする

  • ユーザーに可能な限り最高のパフォーマンスと信頼性をもたらすツールを提供する

オープンソースとオープン標準によるユニバーサル トラフィック管理

Kubernetes は環境全体のコンテナ管理に適したソリューションです。トラフィック管理ポリシーも環境全体でサポートするべきだと Google では考えています。Cloud Load Balancing は、高度に分散化された異種混合環境全体で同種のトラフィック ポリシーを作成します。そのために、フルマネージド ソリューションで標準ベースのトラフィック管理をサポートしたり、フルマネージドの Cloud ロードバランサと同じトラフィック管理を使用して、オープンソースの Envoy プロキシ サイドカーをオンプレミスまたはマルチクラウド環境で使用できるようにしたりします。

企業がサービスのモダナイゼーションを開始し、モノリシック アプリケーションをリファクタリングすると、大規模な分散システム全体で一貫したトラフィック管理を提供できるソリューションが必要になります。ところが組織は、こういったサービスのデプロイや管理に必要なインフラストラクチャとネットワークではなく、新しいアプリケーションのイノベーションや構築に時間とリソースを投資しようと考えます。Envoy は、アプリケーションと並行して実行されるオープンソースの高性能プロキシであり、次のようなプラットフォームに依存しない共通のネットワーク機能を提供します。

マルチクラウドやプライベート クラウドにわたるハイブリッド ロード バランシング

Google は長年にわたり、173 以上のエッジ POP ロケーションにロードバランサをデプロイし、Google インフラストラクチャで顧客アプリケーションを大規模に配信してきました。そして現在、Google Cloud はハイブリッド ロード バランシングを導入し、Google のネットワークを超え、ロード バランシング機能をオンプレミスのプライベート クラウドやマルチクラウド ソリューションにまで拡張しました。これにより、お客様はアプリケーションをクラウドに繰り返し移行したり、異種混合環境で実行されているサービスから組み立てられたハイブリッド アプリケーションを構築したりできます。

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HTTP3 / QUIC による最新のアプリケーション配信に対応

Cloud Load Balancing は、完全な分散型ロード バランシング ソリューションです。このソリューションはユーザーのトラフィック(gRPC、TCP / SSL、UDP、および QUIC を使用した HTTP(S)、HTTPS/2、HTTPS/3)を複数のバックエンドにバランスさせ、輻輳の回避、レイテンシの低減、セキュリティの向上、費用の削減を実現します。Google サービスと同じフロントエンド インフラストラクチャ上に構築されており、安定した高いパフォーマンスと低いレイテンシで数百万の秒間クエリ数をサポートします。

大量のトラフィックを処理するために、Google は Maglev を構築しました。Maglev は初となるスケールアウトされたソフトウェア定義のロード バランシングで、2008 年からグローバルなトラフィックを処理してきました。また、Google サービスのグローバルな急成長をサポートし、Google Cloud Platform のお客様にネットワーク ロード バランシング機能も提供しています。増え続けるトラフィックに対応するために、Maglev は Linux カーネル オフロードによるパケット処理のパフォーマンスに合わせて特別に最適化されています。さらに、Maglev にはコンシステント ハッシュ法と接続トラッキング機能が搭載されており、接続指向プロトコルで発生した予期せぬエラーや障害の悪影響を最小限に抑えます。

こうしたグローバル スケールをサポートするもう一つの重要な要素は、Cloud ロードバランサが QUICRFC 9000)の上に構築されていることです。QUIC はオリジナルの Google QUIC(gQUIC)から開発されたプロトコルです。HTTP/3 は、外部 HTTP(S) ロードバランサ、Cloud CDN、エンド クライアントの間でサポートされます。有効にすると、お客様は通常、パフォーマンスとスループットが大幅に向上します。

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Google Cloud は、Cloud ロードバランサですでに HTTP3 をサポートしています。アプリケーションで HTTP/3 を使用するには、ワンクリックで Google Cloud コンソールまたは gCloud SDK を介して外部 HTTPS ロードバランサで HTTP/3 を有効にします

サービスのレイテンシが重視される場合、QUIC なら接続確立のハンドシェイクが少なくて済むため、サービスが高速化されます。ウェブ クライアントが TCP と TLS を使用する場合、サーバーとの間でラウンド トリップを 2~3 回行って安全な接続を確立してから、ブラウザがリクエストを送信しなくてはなりません。QUIC を使用する場合、クライアントが以前に特定のサーバーに接続したことがあれば、ラウンド トリップなしでデータの送信を開始できるため、ウェブページの読み込みが速くなります。

QUIC には従来の TCP に比べて次のような利点があります。

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まとめ

2008 年以降、Google はソフトウェア定義ネットワーキングのイノベーターとして、大規模に実行されるアプリケーションをサポートしてきました。Google Cloud ロードバランサは、次世代のウェブ転送プロトコルである HTTP3 と QUIC をサポートしており、お客様のトラフィックのレイテンシが大幅に改善します。また、Google ロードバランサには Envoy プロキシも基盤技術として組み込まれており、オープンソースの Envoy エコシステムと互換性のある高度なトラフィック管理をお客様に提供します。これにより、ユーザーは Google のフルマネージド Cloud ロードバランサとオープンソースの Envoy プロキシを組み合わせて、マルチクラウド分散環境全体で一貫したトラフィック管理機能を有効にすることもできます。さらに、ハイブリッド ロード バランシングにより、お客様は世界中の 173 以上の POP ロケーションを活用して、Google Cloud、オンプレミス、その他のクラウド プロバイダの間で生じるトラフィックをシームレスに管理できます。

Google Cloud ロードバランサには、上記の機能がネイティブに組み込まれています。これらを組み合わせて使用すると、現在多くの企業にデプロイされている異種混合環境で世界規模のアプリケーションをシームレスに実行できます。


- グループ プロダクト マネージャー Shaowen Ma
- グループ プロダクト マネージャー Adam Michelson
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