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Google Maps Platform

L’Oréal Groupe: Google Maps Platform の Environment API で一人ひとりに合ったスキンケアを提案

2025年5月12日
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L’Oréal Groupe and the Google Maps Platform team

※この投稿は米国時間 2025 年 4 月 17 日に、Google Maps Platform blog に投稿されたものの抄訳です。

L’Oréal Groupe にとって、美しさは決して表面的なものではありません。同社は深い科学的専門知識と最先端のテクノロジーを組み合わせて美容の未来を変革しており、歳月を積み重ねながらこれを実現しています。同社の成功の鍵は、いいテクノロジーだからという理由だけではテクノロジーを使用しないことを徹底したことです。同社のイノベーションはすべて、消費者の明確なニーズを満たすとともに、サステナブルな生産、一人ひとりに合った美容、インクルーシブなトリートメントという同社の目標を支えています。たとえば、L’Oréal Professionnel の Water Saver は、特許取得済みの水微細化技術を使用して、サロン内で使用する水の量を最大 60% 節約します。一方、L’Oréal の Lancôme は、Alphabet のヘルステック企業 Verily と提携して、コンピュータ制御を取り入れた世界初のハンドヘルド型メイクアップ アプリケーターを最近開発しました。これにより、腕や手の可動域に制限がある女性でも、口紅を正確に塗ることができるようになります。

こうしたイノベーションの基盤となっているのは、美容科学分野における L’Oréal の広範な研究成果です。L’Oréal が特に強い関心を寄せている分野の一つは、「エクスポソーム」が人々の肌や髪の健康と外観に及ぼす影響です。エクスポソームとは、人々が毎日さらされている大気質、紫外線、天候などの環境因子の組み合わせに付けられた名前です。L’Oréal はこの分野に大きな可能性を見出し、豊富な知識を蓄積してきました。しかし、エクスポソームに関するこの広範な知識を、美容やスキンケア トリートメントのパーソナライズに活用するには、消費者の個々の環境データをより深く理解する必要がありました。

最近まで、環境データのモニタリングを消費者にすすめても、その意欲がある人はほとんどいませんでした。環境曝露を記録するウェアラブル デバイスを使用してもらおうとしましたが、デバイスの購入を希望する顧客は限られていました。アプリで居場所を記録するようにも顧客に依頼したのですが、多くの人はそれを忘れたり、途中でやめてしまったりしました。そのため、L’Oréal は消費者にとって簡単な方法でエクスポソーム データを収集する方法を見つける必要がありました。

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L'Oreal は Environment API を使用して、顧客の正確な位置情報に基づき、顧客の肌や髪が何にさらされたかを厳密に示すエクスポソーム プラットフォームを構築できました。

現在は、Google Maps PlatformEnvironment API により、まさにこれが実現しました。L’Oréal は、これらの API により任意の場所の正確で詳細な環境情報を把握できます。このデータを 1 か所に同期することで、顧客の正確な位置情報に基づき、顧客の肌や髪が何にさらされたかを厳密に示すエクスポソーム プラットフォームを構築できました。

L’Oréal のオーグメンテッド ビューティー部門テクノロジー イノベーション責任者である Fred Orsita 氏は次のように説明しています。「大気質、汚染物質、花粉、天候のすべてが肌に影響を与えます。Environment API によって、こうしたデータをすべて完璧に同期して 1 か所にまとめられるため、お客様に、より効果的な提案や情報提供ができます。そして、これは当社にしかできません。」

Air Quality API でオンライン肌診断を変革

Air Quality API を使用すると、特定の時間における特定の汚染物質の大気中濃度を正確に把握できます。また、特定のエクスポソームのデータを 500 メートルの解像度で特定することもできます。大気質は短い距離でも大きく変化する可能性があるため、これは重要なことです。

この精密なデータにより、L’Oréal のオンライン肌診断サービスが大きく改善されました。以前は、顧客が L’Oréal アプリにアップロードした自撮り写真を使い、アルゴリズムで肌を採点していました。現在は、顧客の写真から得た分析データと、顧客の位置情報から得られる大気質データを統合して、顧客の肌や髪に何が起こっているかを詳しく把握し、適切なトリートメントを顧客一人ひとり合わせて提案できます。L’Oréal には非常に多くの商品があるため、顧客がそれぞれに合ったものを見つけられるようにすることは重要です。顧客に関する情報が多いほど、より的確なおすすめが可能になります。

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美容アドバイザーはエクスポソーム データを使用して、ダメージの修復方法を理解し、特定の肌状態を、顧客に合ったスキンケア法を提案するための分析情報として扱うことができます。

L’Oreal のデジタル サービス担当グローバル責任者である Nathalie Cabut 氏は、次のように述べています。「分析情報が豊富であればあるほど、よりパーソナライズされたトリートメントが可能になります。顧客がいた場所の大気質データを統合することで、肌の分析にとどまらず、環境に関する個々の状況を理解して、真にパーソナライズされた美容ソリューションを提供できます。」

過去のエクスポソーム データで店内体験を向上

L’Oréal は、エクスポソーム データを使用して、顧客の店内体験も変革しています。Air Quality API で最大 30 日間の過去データにアクセスできるため、顧客の肌が過去 1 か月間に何にさらされていたかを明確に把握できます。店舗で顧客がフェイス スキャンをとると、画像の分析結果に、顧客がさらされた環境に関する情報を重ねることができます。

美容アドバイザーにとって、過去のデータを見て、現在の状態を説明できることは非常に有益です。過去 1 か月間に顧客の肌に何が起こったのかを把握することで、ダメージの修復方法を理解し、特定の肌状態に対処し、そのインサイトに基づいて顧客に合ったスキンケア法を提案できます。

美しい未来に向けたイノベーション

Environment API は、L’Oréal の新商品の研究開発にも活用されています。同社は、研究参加者に環境への曝露を記録するよう依頼しやすくなりました。参加者はウェアラブル デバイスを使用する代わりに、居場所を追跡するアプリをダウンロードするだけです。L’Oréal は、各参加者がさらされたすべての環境因子の詳細なビューを Air Quality API から自動的に受け取れます。一定期間中に肌が受けた影響やその理由を正確に把握できることは非常に有益です。L’Oréal は、こうしたインサイトによって、これまで研究したことのない新しい独自のスキンケア シナリオを発見し、それに対応する新しい商品を開発できると期待しています。

L’Oréal は、すべてのチームが Environment API を利用できるようにし、ビジネス全体のイノベーションを推進しています。特定の汚染物質に関するデータを活用し、肌の状態に応じたトリートメントを提案する方法について、皮膚科医と相談しています。また、AI を活用した美容デバイスにエクスポソーム データを統合し、顧客がそれぞれの肌のニーズに応じてカスタマイズされたスキンケア トリートメントを 1 回受けられるようにする方法も検討しています。

「L’Oréal は、消費者の長年のニーズをテクノロジーで解決することに情熱を注いでいます」と Orsita 氏は言います。「Google Maps Platform のおかげで、情報に基づく現実的なインサイトが手に入るようになりました。これにより、これまでずっと望んでいた会話をお客様と交わし、具体的でパーソナライズされた提案をすることが可能になりました。」

L’Oréal は、Google Maps Platform と、Environment API のデータを活用することで、スキンケアに関する深い専門知識を、顧客一人ひとりのニーズに合った提案に変えて、その過程で美容の未来を変革しています。

- L’Oréal Groupe と Google Maps Platform チーム

 

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