Homesearch、Google Maps Platform で不動産検索をよりシンプルに
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 1 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
編集者注: 英国の不動産物件データ業界をリードするテクノロジー企業、Homesearch の CEO 兼共同創業者である Giles Ellwood 氏からの寄稿記事です。同社は誰もが互いにつながり、多くの情報を得られる、未来志向型の不動産市場の構築に取り組んでいます。
ほとんどの人にとって、住宅の購入は人生最大の買い物です。一方で、考慮すべき条件や用意された選択肢が大量にある住宅購入においては、何をどうしたらよいか迷いが生じることもあるでしょう。Homesearch では、物件を探したり売ったりする際、情報の検索と共有をシンプルにすることで、使い勝手の良いサービスを実現したいと考えています。
当社は 2020 年 9 月に物件検索サービスを一般公開したのですが、ただの不動産広告サイトにはしたくないと考えていました。そこで、シームレスに不動産市場の調査が行える、地図をメインとした使い勝手の良い検索サービスを構築するために Google Maps Platform を使用することにしました。
2,800 万件以上の物件を簡単に検索
Homesearch は当初、不動産関係者向けのプラットフォームを提供する企業として 2017 年に設立されました。私は以前、ライフスタイルや不動産関連雑誌の出版社で、カスタマイズされた大規模な住所データベースを顧客向けに構築する仕事に携わっていました。私が関わっていた不動産関係のお客様は、雑誌への広告の出稿と同じくらい、このデータベースに強い興味を抱いていることにすぐに気付きました。不動産関係者でさえ、欲しいデータを入手できていませんでした。同じ頃、ロンドンに引っ越してきたばかりのオーストラリア人不動産エージェント Sam Hunter と出会いました。新たな職場で働き始めた彼は、調査用に紙のファイルしか用意されておらず、しかも彼の支店では営業担当者しかそれを見られないことにショックを受けていました。物件を検索するための、一元化された包括的な手段がなかったのです。Sam と私はそれぞれの立場から不動産業界における検索の必要性を見出し、このニーズに応えたいと思うようになりました。そこで私たちが共同で設立したのが、不動産関係者向けの調査プラットフォームを構築する Homesearch です。その目的は、英国中の物件に関する情報を関係者に提供し、各エージェントが物件の絞り込みと取り引きを簡単かつスピーディに行え、また興味を示す買い手と真剣に売る気がある売り手をマッチングできるようにすることでした。
最初の 1 年半は英国 2,900 万件の物件に関するデータの収集、検証、整理に費やしました。一般公開されている物件関連データは大量にあるのですが、さまざまな場所に分散されているため、通常は整理するのに非常に手間がかかります。1 万件のリストのなかから条件に合う家を 200 件ピックアップするのはいたって簡単ですが、ある 1 つの物件に関するありとあらゆる情報を網羅するのは非常に困難です。情報が不足していたすべての物件について、当社のデータ サイエンティスト チームは独自のアルゴリズムを使うことで、足りないデータを最大限の精度でモデル化しました。この作業が完了する頃には、データベース内の情報項目が 240 億件にまで膨れ上がっていました。
当社では、不動産業界がこうした情報を簡単に利用できるようにすることを目指していました。一方で、さまざまな表とフィルタをお客様に提供するだけのサービスにはしたくないとも考えていました。そこで、Google Maps Platform を使ってデータを可視化し、すべての物件に関して情報をすぐにわかりやすく表示できるようにしました。つまり、家から学校までの距離や交通機関の情報を、ひと目でわかる形で地図上に表示しました。ユーザーにとって使い勝手の良い操作性を実現するうえで、スムーズなパフォーマンスと直感的かつ使いやすいインターフェースを兼ね備えた Google Maps Platform が重要な役割を果たしました。
2019 年 1 月、不動産関係者向けサービスである Homesearch Pro の無料トライアル版をリリースしました。そして、その日の昼頃までには利用ユーザー数が千人を超えました。自社のサービスへの要望にどう応えるべきかを把握するため、Google Cloud プレミア パートナーの Snowdrop Solutions に協力を依頼することにしました。Snowdrop Solutions のおかげで、スケールに合わせた最適化を行って Google Maps Platform に用意されたツールをフル活用することができました。
1 年に及ぶトライアル期間が成功を収めたことを受け、2020 年はじめから Homesearch Pro を有料化しました。それから間もなく、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大を抑えるべく、英国を含む世界の多くの国がロックダウンに入りました。この影響で不動産業界は一時失速しましたが、今後の自社の計画や、先の見えないこの時期に消費者が不動産市場で成功するために何ができるかを考える良い機会にもなりました。当社のようなプラットフォームは一般の方々も利用を望むものであるという声を、この 1 年で不動産関係者の方々から耳にしました。
20 年以上前から英国のオンライン物件検索はほとんど進化していません。目的のカテゴリを入力してエリアを選択すると、条件に合ったすべての物件が検索エンジンから返されるという、手順があらかじめ決まった柔軟性のないプロセスが採用されているのです。この方法はわかりやすい一方で制限もあり、選択した地域から少ししか離れていない素晴らしい物件を住宅購入希望者が見逃す可能性もあります。
当社では、地図をメインとしたインターフェースで誰でもスムーズに検索できるサービスを構築したいと考えていました。このサービスは Maps JavaScript API とストリートビュー サービスを基盤としているため、ユーザーは地図やストリートビューの画像を使ってエリアを簡単に探索できます。また、地図の操作時にフィルターと検索条件を追加すれば、それに合わせて結果がリアルタイムで更新されます。さらに、Places API と Distance Matrix API を使ってレストランや学校など付近の施設やサービスを地図上に表示することで、検索結果をより充実したものにしています。
必要なすべての情報をお客様が入手でき、問題なく機能する物件検索を構築できたと確信していましたが、使い勝手の良いインターフェースも必要だと感じていました。長年にわたって定着してきた慣習を変えるためには、スムーズかつ便利なエクスペリエンスが不可欠だということに気付きました。Google Maps Platform を選んだのはこの目標を実現するためです。オンラインで使える地図と言えばたいていの人が Google マップを思い浮かべます。Google マップは直感的でほぼすべての人が使ったことがあり、高品質なエクスペリエンスを一貫して提供してくれます。
2020 年 9 月にリリースした Homesearch Public は、最高クラスのユーザー エクスペリエンスを提供する非常に完成度の高いサービスです。Google Maps Platform のおかげで、英国において最も信頼される不動産プラットフォームを提供するというビジョンにまた一歩近づくことができました。
Google Maps Platform の詳細については、ウェブサイトをご覧ください。ウェブサイトでは Google Maps Platform の詳細やニュースレターの購読などをご案内しています。
-Homesearch CEO 兼共同設立者 Giles Ellwood