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GKE アプリのトラブルシューティングに便利な Cloud Logging の 10 個の新機能(パート 2)

2023年9月26日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google Cloud は、開発者の時間の貴重さをよく理解しており、生産性を向上させる方法を常に模索しています。最初の投稿では、重要なログにすばやくアクセスし、問題をより迅速に解決できるようにすることを目的として Cloud Logging に導入された 10 個の新機能のうち最初の 5 つについて説明しました。今回の投稿では残りの 5 つについて説明します。

  1. Cloud コンソールの Google Kubernetes Engine(GKE)のログ表示を改善 - Cloud コンソールの GKE セクションの表示が改善され、ログをフィルタできるようになりました
  2. ログエントリを基軸とした操作 - ログエントリを固定して、関連するログを簡単に見つけられるようになりました
  3. 重大度でフィルタ - 簡単に重大度(エラーまたはそれ以上など)でフィルタして、エラーログを表示できるようになりました
  4. 類似するログエントリの非表示 / 表示 - 類似するログを非表示にして、繰り返しを回避できるようになりました
  5. ヒストグラムでフィルタ - ヒストグラムを使って簡単にログをフィルタできるようになりました
  6. 新しい日付 / 時刻オプション - 日時をすばやく選べるオプションが追加されました
  7. より高速なテキスト検索 - 自動作成されるインデックスを使ってログ内の文字列を検索する新しい関数が組み込まれ、クエリにかかる時間を短縮できるようになりました
  8. ログの結果を検索 / ハイライト表示 - ログの結果内の特定の値を検索できるようになりました
  9. ログのコピー、貼り付けの改善 - コピー、貼り付けのフォーマットが改善されました
  10. 概要チップの表示 / 非表示 + ログ行の折り返し – 概要チップを非表示にして基本的なテキストビューに切り替えられるようになったほか、切り替えによりログ行を折り返せるようになりました

前回のブログ投稿の例の続きとして、アラートまたはダッシュボードで問題が見つかった場合の対処方法について説明します。ここでは、マイクロサービス ベースの e コマース アプリケーションを Google Kubernetes Engine(GKE)にデプロイしているとしましょう。マイクロサービスがそれぞれ生成するログに基づいて、システムの動作を把握できます。アプリケーションで断続的に発生しているエラーについて、トラブルシューティングを行って根本原因を突き止めましょう。

最初のブログ投稿と同じデモ GKE アプリを使用して、サンプル アプリケーションのトラブルシューティング手順の続きを説明しながら、新機能が追加されたことでトラブルシューティングがどのように簡単になったかを示します。

6. 新しい日付 / 時刻オプション

トラブルシューティングでは、多くの場合、特定の日時の動作を把握するために検索の日付 / 時刻を調整する必要があります。日付 / 時刻を早急に選択すると、多くの場合、余分なクリックが発生し、より多くの労力が必要になります。最新のアップデートでは、一般的な日付 / 時刻範囲の選択がさらに簡単になりました。整合性が重要であるため、同じ日付 / 時刻選択ツールが Cloud Monitoring、Metrics Explorer、ログ ダッシュボード、ログ分析で使用されるようになりました。

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日付 / 時刻選択ツールではクイック オプションを選択できるようになり、その範囲は直近の 5 分間から直近の 30 日間までに及びます。さらなる高速化のために、日付 / 時刻選択ツールの上部に相対時間オプションを追加し、相対時間に 1 時間30 分などのショートカットを入力できるようにしました。

この GKE アプリケーションの例では、直近の 5 分間のログを確認し、それを直近の 30 分間まで拡大して、いつエラーが始まったかを判断する必要があるとしましょう。たとえば、直近の 5 分間のログを確認するには、[過去 5 分間] オプションを選択します。直近の 30 分間のログを確認するには、[相対時間] ボックスに 30m と入力します。

7. より高速なテキスト検索

トラブルシューティングは、多くの場合、ユーザーが直面している問題を解決するというプレッシャーの下で行われます。そのため、問題の解決は早いに越したことはありません。このたび、シンプルなテキスト検索ボックスを使用したクエリがさらに高速になったことをお知らせします。

新しいトークンベースの SEARCH 関数は、新しい自動トークン インデックスを使用することで、クエリの結果を返すスピードを高めています。SEARCH 関数は、テキストをトークンに分割し、インデックス内のそれらの文字列トークンを検索することで機能します。そして最も良い点は、それが自動であるということです。検索ボックスに入力するだけで、ログ エクスプローラによって自動的に SEARCH 関数が追加されます。クエリではインデックスが使用されるため、クエリの実行が高速化されます。インデックスの作成に追加費用はかからず、セットアップも必要ありません。すべて自動的に行われます。

この例では、テキスト検索を使用して、前日のログ全体から特定のリクエスト ID をすばやく見つけることができています。SEARCH 関数がクエリに自動的に追加されており、インデックスを使用して文字列が一致するトークンをログ内で検索し、結果をすぐに返しています。

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8. ログの結果を検索 / ハイライト表示

クエリの結果をすばやく見つけるというテーマの続きになりますが、クエリ結果バーの新しい結果の検索オプションは、別のクエリを実行せずにクエリ結果内の特定の値を検索できる方法を提供するもので、ログ内の値を簡単に見つけることができます。

この例では、結果内の特定のセッションのログを確認することを想定しており、結果の検索を使用して 6587a919-d195-40da-8a7f-6928f8b8e3a7 セッションを検索することで、ログ内の対応する値を簡単に見つけることができています。これは、非常に行数が多いログから値を見つける場合に特に便利です。

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9. ログのコピー、貼り付けの改善

トラブルシューティングはチームスポーツであることが多いため、情報の共有が重要になります。今回のアップデートにより、ログを選択してコピー / 貼り付けをしてもフォーマットが維持されるようになったため、ログ情報の共有が容易になりました。ログ エクスプローラで情報を共有するには、リンクの共有クエリの共有ログのダウンロードログエントリへのリンクの共有などさまざまな方法がありますが、多くの場合、情報を迅速に共有するには単純なコピー / 貼り付けが最も簡単な方法です。

この例では、特定のセッション ID の特定のログを見つけた後、その情報をチームメイトと共有し、ログエントリのタイミング / 順序を示したいと考えているとします。ログ エクスプローラのクエリ結果から単純に選択 / コピーするだけで、概要行と一致するフォーマットでログが保存されるため、チームメイトは必要なタイミングとログ情報を確認できます。

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貼り付けたときのログは、次のフォーマットで表示されます。

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10. 概要チップの表示 / 非表示 + ログ行の折り返し

最新のリリースでは、概要フィールドと行の折り返しのオン / オフを切り替えられるトグルを使用することで、クエリ結果の表示方法をカスタマイズできるようになりました。

このトラブルシューティングの例では、概要行を非表示にしてログ行を折り返すことで、よりテキストの多いビューを表示しています。

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  • 概要フィールドをオンに切り替える – デフォルトの概要フィールドが表示されます。カスタムの概要フィールドも表示されます。
  • 概要フィールドをオフに切り替える – デフォルトの概要フィールドは非表示になり、ログのリストは基本的なテキストビューになります。オフに切り替えた場合もカスタムの概要フィールドは表示されます。
  • 行の折り返しをオフに切り替える – ログエントリがそれぞれ切り捨てられます。表示されるのは 1 行だけです。
  • 行の折り返しをオンに切り替える – ログエントリがそれぞれ折り返されるため、ログエントリの概要が切り捨てられることなくすべて表示されます。

トラブルシューティングには非常に多くの方法が用意されており、トラブルシューティング プロセスのどの段階でどの情報を参照するかに応じた独自の設定が設けられています。これで、テキストビューを表示するか、概要チップで機能強化されたビューを表示するか、あるいはログ行を画面上で折り返すかを判断できるようになりました。あとは皆様次第です。

次のステップ

ここで紹介した Cloud Logging の新機能は、重要なログをすばやく見つけるために役立ちます。しかし、それだけではありません。次回の投稿では、Error Reporting に加えられたその他の新しい改善点と、それが GKE ユーザーにどのように役立つかについてご紹介いたします。それまでの間、ログ エクスプローラをまだ使ったことがない場合は、ぜひお試しください

ー プロダクト マネージャー Charles Baer

ー Google Cloud プロダクト マネージャー Eyamba Ita

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