GKE における AI サプライ チェーンの保護: 自動 AI BOM 対応 k8s-aibom のご紹介
Glen Messenger
Group Product Manager
※この投稿は米国時間 2026 年 7 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
セキュリティ チームは、シャドー AI にどのように対応すべきでしょうか?デベロッパーが正式に登録せずにデプロイしたワークロードは、多くの場合、従来のセキュリティ スキャナを回避できます。特権 DaemonSet、カーネルレベルのアクセス、Pod 仕様の手動編集を求めることで、開発を遅らせて安定性を損なうことに組織が消極的であるためです。
この行き詰まりを打開するため、Google はこのたび k8s-aibom をオープンソース化いたしました。この特権なしの軽量 Kubernetes コントローラは、クラスタ API とコンテナ環境を継続的にモニタリングして、実行中の AI ランタイム(vLLM や Triton など)を自動的に検出し、標準的な CycloneDX Machine Learning Bill of Materials(ML-BOM)を生成します。
k8s-aibom は、ワークロードが正式に登録されているかどうかに関係なく、ランタイム実行から直接、監査に適した可視性を自動的に確保し、デベロッパーに統合の負担をかけることなく AI プロジェクトをパイロットから本番環境に安全に移行できるようチームを支援します。
負担のないアーキテクチャ
k8s-aibom は、総合的な可視性に関する CISO の要件と、クラスタの安定性に関する SRE の要件の両方を尊重するようにゼロから設計されています。k8s-aibom-system Namespace に、特権なしの単一の Deployment としてデプロイされます。デベロッパー側の負担はゼロです。サイドカー、eBPF カーネル モジュール、特権 DaemonSet は不要で、既存のデベロッパー Pod 仕様を変更する必要もありません。


k8s-aibom は AI ワークロードを監視し、BOM を生成します。
検出パイプラインは、次の 4 つの明確な段階を経て実行されます。
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クラスタ ワークロードのスクレイピング: コントローラは、クラスタ全体で KServe リソース、Deployment、StatefulSet、DaemonSet、Job を継続的にモニタリングします。
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AI スタックの特定: 高度なパターン マッチングにより、コンテナ イメージ、環境変数、コマンドライン引数を検査して、サービング ランタイム(vLLM、Triton Inference Server、TGI、Ollama)、自律型エージェント フレームワーク(LangChain、AutoGen、CrewAI)、ベクトル データベースと RAG ストア(Milvus、Qdrant、pgvector)、分散トレーニング ジョブと評価ハーネスを検出します。
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標準的なマニフェストの生成: コントローラは、検出されたアーティファクトを正式な OWASP CycloneDX 1.6 Machine Learning Bill of Materials(ML-BOM)ドキュメントにコンパイルします。
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シンクへのエクスポート: コントローラは、生成された ML-BOM をクラスタ内の AIBOM カスタム リソース(CR)のカスタム リソース ステータス(status.bomDocument)に直接アタッチし、Google Cloud Storage バケットや外部 Webhook エンドポイントなどのオプションの外部シンクにルーティングします。
アプリケーション チームが、Pod 仕様の変更、サイドカー コンテナの挿入、継続的インテグレーションと継続的デリバリー(CI / CD)のパイプラインの変更を行う必要はありません。さらに、k8s-aibom は Kubernetes クラスタの状態を純粋な関数入力として扱うため、同一のクラスタ入力からは、バイト単位で同一の ML-BOM ドキュメントが生成されます。この決定論的プロパティを持つ k8s-aibom は、GitOps ワークフローに最適です。これにより、サイト信頼性エンジニア(SRE)は、AI の依存関係がドリフトしたときに正確な差分を実行し、精密な変更検出アラートをトリガーできます。
既存の AIBOM ツールでカバーできない領域
多くの AI BOM ソリューションはビルド時スキャナを備えており、保存されているアーティファクトから BOM を生成します。これらのツールを使用すると、デプロイする予定だったコードを追跡できます。
商用 AI セキュリティ プラットフォームは、クラウドネイティブなポスチャー管理によって可視化できる範囲を拡大しますが、通常はベンダー固有のデータモデルを中心に形成された外部スキャンによってこれを実現します。こうしたツールで、コンプライアンス レビュー担当者、セキュリティ運用(SecOps)チーム、プラットフォーム エンジニアが、現在何が実行されているか、どこに接続しているか、アサーションを検証するにはどうすればよいかを把握できることはほとんどありません。
Google は k8s-aibom を、このギャップを埋めるための専用ツールとして構築しました。k8s-aibom は、アーティファクトのスキャンではなく、ライブ クラスタの観測から BOM を生成し、ベンダー独自の形式ではなく、より広範な OWASP および Open Source Security Foundation(OpenSSF)サプライ チェーン エコシステムと統合する標準準拠の CycloneDX 1.6 ML-BOM を出力します。また、準拠する Kubernetes クラスタで特権なしのコントローラとして実行されるため、既存のビルド時およびポスチャー管理ツールの代わりとなるのではなく、これらを補完するものとなります。
信頼度モデル: 意図と推論の分離
コンプライアンス監査担当者や SecOps エンジニアにとって、未加工のテレメトリーがノイズになることがよくあります。標準的なモニタリング ツールは、コンテナが実行中であることを示しますが、AI モデルがプラットフォーム エンジニアによって明示的に構成されたのか、実行時に自律スクリプトによって動的に抽出されたのかを証明することはできません。k8s-aibom は、その決定論的な信頼度モデルによってこの曖昧さを解消し、検出されたアセットを明確な階層に分類します。
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宣言: ワークロード構成で、顧客またはデベロッパーによって明示的に定義された(例: --model meta-llama/Llama-2-7b など、明示的に渡されたコンテナ引数)。「宣言」の信頼度検出は、人間の明確な意図を表します。
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推論: コンテナ イメージ、環境変数、実行プロファイルの詳細な検査を通じて、コントローラのパターン マッチング エンジンによって自律的に導出された(例: ^vllm/.* コンテナ署名の特定)。
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未解決: アクティブな AI の存在が検出されたが、正確なモデル パラメータ、重み、バージョンを決定論的に確立できないワークロードに適用される。「未解決」の信頼度検出の場合、対象を絞ったセキュリティ レビュー向けにワークロードに即座にフラグが付けられます。
この構造化された分類により、コンプライアンス レビュー担当者は、明示的なエンジニアリングの意図と機械の推論を即座に分離し、監査中に揺るぎない信頼の連鎖を確立できます。
不変性と最小権限: 監査に適したセキュリティ モデルの構築
侵害されたノードや権限が昇格された管理者によってログや指標が変更、削除、改ざんされる可能性があるため、監査担当者は標準的なオブザーバビリティ テレメトリーに対して依然として強い懐疑心を抱いています。k8s-aibom は、厳格な最小権限の分離とデータの不変性をベースにした、監査に適した証拠トレイルを確立します。
このコントローラは、最小限の Identity and Access Management(IAM)Workload Identity にバインドされた専用の Kubernetes サービス アカウントの下で動作します。BOM レコードを外部ストレージ シンクに書き込む権限を持つ唯一の ID として機能し、roles/storage.objectCreator 権限のみを必要とします。
Google Cloud Storage の外部シンクの実装では、最も厳格な監査基準と証拠基準を満たすために、オブジェクト作成時に DoesNotExist 事前条件が適用されます。ML-BOM が Cloud Storage バケットに書き込まれると、オブジェクトは暗号化され、変更できなくなります。
侵害されたクラスタ アクターや不正なワークロードによって、サイレントに上書き、変更、または遡及的に改ざんされることはありません。SecOps チームは、規制当局に提出された過去の監査ログが、クラスタ実行の変更不可能な記録であることを絶対的に保証できます。
ガバナンス体制の整備の促進: グローバルな規制フレームワークへのマッピング
k8s-aibom は、標準化された CycloneDX 1.6 ML-BOM の生成を自動化することで、低レベルの Kubernetes ランタイム状態と高レベルのガバナンス フレームワークのギャップを直接的に埋めます。また、主要な国際基準に不可欠な基礎的実証データを提供することで、停滞していた GKE AI のデプロイの道を切り拓きます。
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EU AI 規則: 組織が第 12 条(継続的なトレーサビリティのための自動ロギングと記録保持)と第 50 条(AI システムの透明性義務)に準拠できるように設計されています。このツールは、サービング ランタイムとエージェント スタックを自動的にカタログ化することで、コンプライアンス監査中に必要となる可能性のある技術的証拠の収集を簡素化します。
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NIST AI リスク管理フレームワーク(AI RMF): ガバナンス、マッピング、測定、管理の各機能を実現する、継続的かつ実証的なアセットの可視性がもたらされ、コンプライアンス ワークフローを、純粋な手動チェックから、より自動化されたアセット インベントリ トラッキングへと移行できます。
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ISO/IEC 42001: AI マネジメント システムのアセットの検出と追跡に関するコンプライアンスの取り組みをサポートし、インベントリの検証における手動のスプレッドシート入力や定期的なスナップショット監査への依存度を低下させます。
ご利用にあたって
k8s-aibom は、CISO、ガバナンス、リスク、コンプライアンスの各チーム、SecOps チーム、プラットフォーム エンジニア、デベロッパーに影響を与えるシャドー AI の多面的な問題の軽減に役立つ数少ない技術ソリューションの一つです。
このコントローラの詳細とカスタム リソース定義について、またオープンソースの k8s-aibom プロジェクトにご協力いただける場合は、k8s-aibom GitHub リポジトリをご覧ください。
- グループ プロダクト マネージャー、Glen Messenger



