バグの発見と修正を支援するオープンソースの AI ハーネス、Mantis のスタートガイド

Nick Galloway
Staff Security Engineer, Google
Yulong Zhang
Senior Staff Security Engineer, Google
※この投稿は米国時間 2026 年 9 月 3 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
AI モデルは、人間の手をほとんど、あるいはまったく介さずに脆弱性を発見して悪用する能力を持っていることが判明しています。防御側が AI を活用して優位性を確保できるよう、Google はソフトウェアの脆弱性の発見、トリアージ、再現、パッチ適用を自動化する Mantis ハーネスを構築しました。
誰でも利用可能なオープンソース フレームワークである Mantis は、マシンスピードでの脆弱性の発見と修正を実現するための Google の社内アプローチの一環として誕生しました。Mantis により、より効果的でスケーラブルかつコンテキストを考慮したリポジトリ分析が可能になります。
AI コードスキャンは精度が低く、ハルシネーションを起こすことが多いため、真陽性率は 7% を下回ります。Mantis は、批評エージェントやレビュー エージェントなどの業界標準のエージェント手法とサンドボックス環境での脆弱性の再現を組み合わせてグラウンディングを行うことで、実効性を持たせた設計になっています。
6 月に公開した記事で詳しく解説したとおり、Mantis はリポジトリの履歴を調べて過去のセキュリティに関する修正から学習し、アーキテクチャと脅威モデルのドキュメントが提供されていない場合でも、それらのドキュメントを自動的に作成します。
階層型のセキュリティ サマリー ツリーを構築し、個々のファイルをディレクトリ レベルとルートレベルのサマリーに集約します。この手法により、大規模なリポジトリ全体で重要な構造コンテキストを維持しながら、トークンのオーバーヘッドを 85% 以上削減することに成功しました。
Google が数十年の期間をかけて幅広いコードベースにわたって蓄積してきたサイバーセキュリティの専門知識の結晶である Mantis は、GitHub で入手可能です。Mantis の使用を開始する方法は次のとおりです。
-
まず、次のコマンドを使用して Mantis リポジトリのクローンをローカルに作成します。
-
次に、任意のコーディング エージェントを開き、「
path/to/mantisにある Mantis フレームワークを使用して、path/to/your/codeにあるコードをレビューしたいのですが、やり方を教えてください」というプロンプトを入力します。
Google 社内では、このプロンプトを使用して、多くのコード リポジトリで実際の脆弱性を発見しています。GitHub の Mantis リポジトリには、サンドボックス化のサンプル オプションが含まれています。自社のワークフローに合わせて独自のサンドボックスを実装することもできます。
Mantis は、脆弱性の検出、真陽性のフィルタリング、パッチ適用を簡単に開始できるようにすることを目的としています。AI が検出した脆弱性を把握したら、新しい mantis-advise スキルを使用して、蓄積された知識を活用し、コーディング エージェントに最初から安全なコードを記述させることができます。
AI を活用した脆弱性検出を最大限に活用して開発手法をモダナイズするにあたって、以下に示す 2 つの重要事項の実行を推奨します。
-
ツールに適切なコンテキストを提供する。Mantis はコミット履歴とコードを自動的に分析してドキュメントを独自に作成することができますが、人間によってキュレートされた知識を得ることで、結果の品質が大幅に向上することがよくあります。たとえば、プログラムをクラッシュさせるようなバグの修正に時間を取られないようにするには、スキャン パイプラインでそうしたバグを確実に検出できるよう、人間によってキュレートされた知識を提供することが非常に重要になります。
-
脆弱性受け入れ基準を使用してサイバー サンドボックスを構築する。明確な脆弱性再現基準に基づいて脆弱性を再現できる安全なサンドボックス環境を使用すると、知るべきことのみを明らかにし、修正が正しいことを確認することが容易になります。
- Google、スタッフ セキュリティ エンジニア、Nick Galloway
- Google、シニア スタッフ セキュリティ エンジニア、Yulong Zhang

