コンテンツに移動
セキュリティ & アイデンティティ

Cloud CISO の視点: AI 時代に水道事業者を保護するためのヒント

2026年9月8日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/Cloud_CISO_Perspectives_header_4_Blue.max-2500x2500.png
Chris Sistrunk

Practice Leader, OT, Mandiant Consulting

Stephanie Kiel

Head of Cloud Security Policy, Government Affairs and Public Policy, Google Cloud

Get original CISO insights in your inbox

The latest on security from Google Cloud's Office of the CISO, twice a month.

Subscribe

※この投稿は米国時間 2026 年 9 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

2026 年 8 月、2 回目の投稿となる「Cloud CISO の視点」をご覧いただきありがとうございます。今回は、Chris Sistrunk と Stephanie Kiel が、水道事業者が直面している重大な課題と、OT 運用担当者がインフラストラクチャを保護するために実行できる具体的な手順について詳しく説明します。

これまでのすべての「Cloud CISO の視点」と同様、このニュースレターのコンテンツは Google Cloud 公式ブログに投稿されます。現在ウェブサイトでご覧になっていて、メール版の受信をご希望の方は、こちらからご登録いただけます。

AI 時代に水道事業者を保護するためのヒント

Mandiant Consulting、OT 担当プラクティス リーダー Chris Sistrunk 氏、および Google Cloud、政府関連業務および公共政策、クラウド セキュリティ ポリシー責任者、Stephanie Kiel

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/ChrisSistrunk.max-2200x2200.jpg

Google Cloud の脅威インテリジェンス チームは、地政学的紛争の中で、脅威アクターが重要インフラを標的にする際、手口がますます大胆になっていることを確認しています。最近、米国では、インターネットに接続された水道事業のプログラマブル ロジック コントローラを標的とした攻撃が増加しています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/Stephanie_Kiel_crop.max-500x500.jpg

これまで、サイバー インシデントによって業務が中断されることはあまりありませんでした。その理由の一つとして、水道事業者が長年にわたり手動オーバーライド機能を備え、水が消費者に届く前に水質検査を実施してきたことが挙げられます。ポンプや配管の故障は、サイバー脅威とは無関係の理由で日常的に発生します。

しかし、これには緊急の対応と、より強力なセキュリティ対策への取り組みが必要であることは確かです。手動によるオーバーライドは信頼性の高いセーフティ ネットとなりますが、サイバー脅威を防ぐには、基本的なデジタル セキュリティへの取り組みが依然として必要です。特に AI 時代においてはなおさらです。

脅威を把握し、リスクを管理した対応をおすすめします。水道事業者のセキュリティの現状を踏まえると、これらのシステムを安全に保つ独自の運用レジリエンスを考慮して、さらなる対策を真剣に検討する必要があることを示しています。

上下水道事業者が検討すべきアクション

リソースに制約のある公益事業にとって、最も効果的な防御策はサイバーセキュリティの基本に注力することです。これらの基本的な対策を優先することで、システムを大幅に強化し、組織をはるかに攻撃しにくく、復元力の高い標的に変えることができます。これにより、リソースが豊富な脅威アクターでさえ、別の標的を探すようになります。

  • アセットのインベントリを作成し、露出を評価する: 制御システムがインターネットに安全でない状態で露出しているかどうかを特定します。このような状態により、脆弱性が悪用される可能性が高くなります。

  • 基本的なセキュリティ対策: デフォルトの認証情報を安全なパスワードに置き換え、ファイアウォールを含む、公開されているアクセス ポイントを厳格に強化します。

  • バックアップ: 制御システムを含む重要なシステムが、実績のある 3-2-1 バックアップ ルール(データのコピーを 3 つ作成し、2 種類のストレージに保存し、少なくとも 1 つのコピーをオフサイトに保存する)に従って保護されていることを確認します。サイバー攻撃によるダウンタイムを最小限に抑えるために、重要な予備機器を確保します。

  • セグメンテーション: ネットワーク セグメンテーションと多要素認証を使用して、必要に応じてリモート アクセスを厳密に制御します。完全な制御が必要ない場合は、読み取り専用アクセスを使用する必要があります。

  • 緊急時計画: サイバーインシデント計画を、FEMA NIMS や産業用制御システムのインシデント コマンド システムなど、既存の全ハザード インシデント コマンド システムに統合します。これは、物理的な配管の破損、煮沸水警報、自然災害に対してすでに使用しているのと同じ対応構造です。

  • サードパーティとベンダーのアクセスの保護: 多くの水道事業者は、自社の IT や OT を管理せず、サードパーティのシステム インテグレータに依存しているため、システム インテグレータやメンテナンス請負業者が使用するリモート接続を監査する必要があります。サードパーティ ベンダーに厳格なアクセス制御(MFA 標準など)とロギング要件を適用する必要があります。

これらの推奨事項は、米国水道協会、全米地方水道協会、Water-ISAC、環境保護庁、サイバーセキュリティ インフラストラクチャ セキュリティ庁、FBI のガイダンスを反映しています。

IT および OT リーダーへの推奨事項: ガバナンスのギャップを埋める

IT と OT のリーダーは、統一されたガバナンス フレームワークを構築するために連携する必要があります。また、サイバーフィジカル システムのレジリエンスを長期的に高めることに注力すべきです。これは、行政機関、民間組織、個人のすべてが一丸となって取り組む必要があることです。これらのシステムをセキュリティが確保され、適応性が高く、中断から迅速に復元できるものにすることが今後の目標です。

ほとんどの場合、PLC は標準的なソフトウェア開発手法の対象外ですが、組織が使用するソフトウェアに対する堅牢なアプローチは、NIST の Secure Software Development Framework(SSDF)で説明されているように、セキュリティ ポスチャー全体を大幅に強化できます。また、これらはレジリエンスを測定するのに役立つ先行指標の好例でもあります。Google は、先行指標を評価するためのガイドを公開しています。

手動によるオーバーライドは信頼性の高いセーフティ ネットとなりますが、サイバー脅威を防止するには、特に AI 時代においては、基本的なデジタル セキュリティへの取り組みが依然として必要です。

テクノロジーの進化に伴い、セキュリティのモダナイズが不可欠となっています。事後対応型の手動モデルから、人間の専門知識を意思決定の中心に据えた AI 拡張型アプローチへの移行が必要です。このアプローチは、小規模なセキュリティ チームの能力を増強するまたとない機会を提供します。

昨今の脅威に先手を打つには、組織は単純なコンプライアンス チェックリストから脱却し、コンプライアンスを主要な目標ではなく、優れたセキュリティの自然な結果とする、よりアジャイルで脅威を考慮した戦略を採用する必要があります。

Mandiant のオペレーショナル テクノロジー(OT)に関する Theory of 99 は、AI 時代においてさらに重要性を増しています。機会のファネルは大幅に圧縮されていますが、OT に影響を与えるほど深い侵入では、次のようになります。

  • 侵害されたシステムの 99% は、コンピュータ ワークステーションとサーバー

  • マルウェアの 99% は、コンピュータ ワークステーションとサーバーを対象に設計される

  • フォレンジックの 99% は、コンピュータ ワークステーションとサーバーで実施される

  • 検出機会の 99% は、コンピュータ ワークステーションとサーバーに関連するアクティビティ

  • 侵入の滞留時間の 99% は、Purdue レベル 0~1 のデバイスが影響を受ける前に、市販のコンピュータ機器で発生する

その結果、IT ネットワークと OT ネットワークを標的とする脅威アクターが使用する戦術、手法、手順には、多くの場合、大きな重複があります。しかし、Theory of 99 は、AI 時代における防御側の大きな優位性を浮き彫りにしています。高度な AI 機能を使用して中間インフラストラクチャの 99% を保護することで、組織は脅威をプロアクティブに無力化し、物理的な運用プロセスの重要な 1% を確実に保護できます。

サイバー防御のための AI

以前にもお伝えしたように、AI 機能はネットワーク セキュリティのバランスを防御側に有利にシフトする機会を提供します。悪意のある行為者が攻撃ライフサイクル全体で AI 機能を活用するケースが増えているため、防御側の優位性はさらに重要になっています。

現在の脅威環境では、防御を自動化することで、人間のセキュリティ チームの能力を強化し、意思決定と生産性を向上させ、重大な脆弱性が悪用される前に対処できます。重要インフラ プロバイダは、慎重な計画を立てることで、物理的な資産を保護しながら、より復元力のある、脅威を考慮した防御を構築できます。

防御における AI のメリットを効果的に実現するには、AI ツールを構造化された意図的な方法でシステムに統合する必要があります。事業者は、AI が物理プロセスにもたらす特有の脆弱性を理解し、セキュリティの自動化の恩恵を受けられる特定のビジネス ユースケースを評価し、継続的なテストとモニタリングのための明確なフレームワークを確立することが重要です。Google のアプローチの一環として、セキュア AI フレームワークを開発しました。これは、分野を問わず、AI 機能のセキュアなインテグレーションとデプロイを実現するのに役立ちます。

最も重要なのは、人間による監視を中核に据えることです。つまり、AI は意思決定をサポートするものであり、安全対策をインシデント対応計画に直接組み込む必要があります。

水の安全の今後

悪意のあるサイバー脅威から水道システムを保護することは、単なる技術的な課題ではなく、公共の安全を守るための基本的な責務です。清潔で信頼できる水へのアクセスは不可欠なサービスであるため、連邦政府、州政府、地方自治体は、サイバー脅威に直面してもこの重要な公共インフラストラクチャの継続性を確保するために、政策議論から断固とした行動へとますます移行していくことが予想されます。

たとえば、国家サイバー長官室はテキサス州と提携して、水道インフラ プロバイダをサイバー攻撃から保護するための試験運用プログラムを立ち上げたばかりです。また、米国上院議員は、最近の出来事に対応して新しい法案をすでに提出しています。

Google は、お客様がクラウドおよびハイブリッド クラウドの OT 環境を保護できるよう支援することに尽力しています。重要インフラストラクチャの保護に関する Google のガイダンスについて詳しくは、CISO インサイト ハブをご覧ください。

その他の最新情報

セキュリティ チームからこれまでに届いた今月のアップデート、プロダクト、サービス、リソースに関する最新情報は以下のとおりです。

  • 高度なセキュリティ ガバナンスで自律型エージェントを強化: AI エージェントが有用性と安全性を確保するには、アクセス権とガードレールが必要です。Google 最新の AI インフラストラクチャの現状レポートによると、テクノロジー リーダーの 79% が、セキュリティ、ガバナンス、運用のいずれかを推論のスケーリングにおける最大の課題として挙げています。詳細はこちら。
  • 2026 年のクラウドリスクの状況: ほとんどのセキュリティ検出結果は、実際の攻撃者の機会ではない: Wiz Research のテレメトリーにより、重大度の高い検出結果の大部分に侵害への経路がない理由が明らかになりました。詳細はこちら。
  • Google Cloud Fault Injection Testing のプレビュー版をリリース: データベースに障害が発生し、ネットワーク パスが不安定になった場合でも、ミッション クリティカルなクラウド サービスをオンラインに維持する必要があります。Fault Injection Testing(FIT)は、障害テストを自動化し、障害発生時に予測可能な動作を保証するのに役立ちます。詳細はこちら。
  • Wiz が AI を活用したデータ検出を構築した方法: バケット スキャナをコンテキスト エンジンに変えたマルチエージェント パイプラインとフィードバック ループの内部。詳細はこちら。
  • Wiz による FinOps の民主化: Wiz Cloud Cost が費用配分を自動化し、デベロッパー主導の費用最適化を促進して、費用をビジネス価値に結び付ける方法。詳細はこちら。
  • Google Workspace Studio の多層防御でエージェントのリスクを防御: Studio には、脅威アクターによるリスクを軽減する多層防御と、組織がエージェントを安全に導入できるようにする堅牢なオブザーバビリティ ツールが組み込まれています。安全性を重視して設計された Google のアーキテクチャを基盤とする Studio は、ネイティブな脅威防御とエコシステムの詳細な可視化を組み合わせて、マルチステップのエージェント型ワークフローを保護します。詳細はこちら。

今月公開されたその他のセキュリティ関連の記事については、Google Cloud 公式ブログをご覧ください。

脅威インテリジェンスに関するニュース

  • ロシアが関心を寄せる個人を標的とした複数のクラスタ: Google Threat Intelligence Group(GTIG)は、正規の認証フローを悪用して、ヨーロッパと米国全域の学術機関、航空宇宙、政府機関、シンクタンクで働く個人を標的とする、ロシアのサイバー エスピオナージ脅威クラスタと疑われる 3 つのクラスタを追跡しています。詳細はこちら。
  • AI インフラストラクチャへの 90 日間にわたる攻撃: Wiz のハニーポットが、RCE、ブラインド プロンプト インジェクション、メモリ認証情報の窃取を通じて LiteLLM、MCP サーバー、AI フレームワークを標的とするアクティブなキャンペーンを明らかにしました。詳細はこちら。
  • バージョン管理 DFIR: GitHub、GitLab、Bitbucket、Azure DevOps のクイック リファレンス: 主要なバージョン管理サービスにおけるログの可視性、インシデントへの備え、脅威ハンティングに関する実務者向けガイド。詳細はこちら。
  • arrayref に対する Rust サプライ チェーン攻撃: 北朝鮮によるキャンペーンと大幅に重複: arrayref Rust クレート(およびその他)の悪意のあるバージョンが、コンパイル時にバックドアを実行しました。このキャンペーンのインフラストラクチャは、Mastra や axios など、最近の北朝鮮のサプライ チェーン攻撃と重複しています。詳細はこちら。

注目の Google Cloud ポッドキャスト(英語)

  • Cloud Security Podcast: AI、エージェント、Rust、タブを使用したブラウザのパッチ適用: Chrome Security の Jasika Bawa と Doug Turner が、Google Chrome が AI エージェントを使用して、これまでにない規模でセキュリティの脆弱性を自律的に特定してパッチを適用し、ブラウザの更新頻度を大幅に向上させている方法について説明します。ポッドキャストを聴く。
  • Cloud Security Podcast: Wiz の AI 脆弱性調査プロジェクト Atlas のすべて: Wiz の脆弱性調査責任者である Near Orfeld 氏が、クラウド インフラストラクチャにおける深刻なゼロデイ脆弱性を発見するために、チームがマルチエージェント AI システムをどのように活用しているかを詳しく解説します。ポッドキャストを聴く。
  • Cloud Security Podcast: 脆弱性のクラスを大規模に根絶する Google の手法: AI がコードを記述し、人によるレビューが追いつかない状況下でも、安全性を維持できる Google 規模のエンタープライズ基盤を構築するにはどうすればよいでしょうか。Google のプリンシパル セキュリティ エンジニアである Christoph Kern が、AI 時代における「安全性を重視した設計」の真の意味を探ります。ポッドキャストを聴く。

月 2 回発行される「Cloud CISO の視点」をメールで受信するには、ニュースレター(英語版)にご登録ください。次回も Google Cloud からセキュリティ関連の最新情報をお届けします。

- Mandiant Consulting、OT 担当プラクティス リーダー Chris Sistrunk 氏

- Google Cloud、クラウド セキュリティ ポリシー、政府関連業務および公共政策責任者、Stephanie Kiel

投稿先