コンテンツに移動
セキュリティ & アイデンティティ

Cloud KMS における耐量子鍵インポートの発表

2026年9月9日
Alessio Buraggina

Senior Software Engineer, Cloud KMS

Erlander Lo

Senior Product Manager, Google Cloud

Gemini を今すぐお試しください

職場での AI 活用、その入り口に

今すぐ試す

※この投稿は米国時間 2026 年 8 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

企業の間でマルチクラウド アーキテクチャの採用が広がるなか、Bring Your Own Key(BYOK)は、データ主権の維持と重要なクラウド ワークロードの保護において不可欠な柱となっています。同時に、量子コンピューティングは急速に進歩しており、セキュリティ チームは、ネットワーク間で暗号鍵を安全に転送する方法を再評価する必要があります。

Cloud Key Management Service(Cloud KMS)における耐量子デジタル署名と耐量子鍵カプセル化メカニズム(KEM)の発表に続き、このたび、ソフトウェア ベースの暗号鍵を対象とした Cloud KMS における耐量子鍵インポートのプレビュー版をリリースしました。

ポスト量子暗号(PQC)移行タイムラインの次のフェーズの第一歩となる、更新された耐量子 BYOK 機能は、暗号解読が可能な量子コンピュータ(CRQC)が登場する前に、機密性の高い鍵を保護するのに役立ちます。

転送中の鍵の保護を強化するために耐量子鍵インポートを導入する際は、一般提供が開始された Cloud KMS PQC insights を活用して、ポスト量子に向けた全体的なセキュリティ ポスチャーをモニタリングすることも可能です。この概要を示すビジュアルでは、使用されているアルゴリズムの分類に基づいて非対称鍵が可視化されます。これにより、将来のモダナイゼーションに向けた計画立案や、長期的なレジリエンスの向上に役立てることができます。

脅威:「今すぐ保存、後で解読」攻撃

従来の鍵インポート方法では、転送中の鍵をラップするために、従来の非対称暗号化標準が使用されます。これらのアルゴリズムは現在の脅威に対しては有効ですが、攻撃者が傍受して保存した鍵を復号できる実用的な量子コンピュータが登場すると、根本的に安全ではなくなります。

耐量子鍵インポートは、鍵を耐量子エンベロープで最初からラップすることで、「今すぐ保存、後で解読」(SNDL)攻撃を軽減するのに役立ちます。

鍵を保護する耐量子エンベロープの構築

Cloud KMS で利用可能になったポスト量子転送メカニズムは、ハイブリッド公開鍵暗号化(HPKE)を使用します。Google の新しいインポート方法では、機密性の高いソフトウェア鍵マテリアルを耐量子転送エンベロープでラップします。このプロセスは既存の Cloud KMS API ワークフローに統合されるため、導入の手間を最小限に抑えることができます。

  • ジョブの開始: クライアントは、Cloud KMS API を通じて新しいインポート ジョブを作成し、ポスト量子 HPKE インポート メソッドをリクエストします。

  • 鍵の生成: Cloud KMS サーバーは、ポスト量子 KEM 秘密鍵を生成し、対応する公開鍵をクライアントに公開します。

  • クライアントサイドのラッピング: サポートされている暗号ライブラリ(Tink や OpenSSL など)を使用して、クライアントは HPKE Seal() オペレーションを実行します。これにより、共有シークレットを確立するために公開鍵がカプセル化され、HKDF-SHA256 を使用してエフェメラル AES 鍵が導出され、ターゲット鍵マテリアルが暗号化されます。

  • 送信: クライアントは、カプセル化された暗号テキストと暗号化された鍵マテリアルを直接連結して Cloud KMS エンドポイントに送信します。このエンドポイントには、すでに耐量子な転送中データ保護機能が組み込まれています。

  • ラップ解除: Cloud KMS サーバーは、ラッピング鍵の秘密部分を使用して HPKE Open() オペレーションを実行し、Cloud KMS 境界内で鍵マテリアルを安全に復号して保護します。

KEM レイヤでは、X-Wing、ML-KEM-768、ML-KEM-1024 のいずれかを選択できます。鍵導出レイヤは HKDF-SHA-256 を利用し、最終的な対称ラッパーは、標準の 12 バイトのノンスを備えた AES-256-GCM を採用しています。

インポート ジョブの設定、外部暗号ライブラリを使用したローカル鍵マテリアルの準備、耐量子ソリューションの管理の詳細については、Cloud KMS の耐量子鍵インポートに関するドキュメントをご覧ください。

Google Cloud の PQC への取り組みにおける重要なマイルストーン

ポスト量子暗号へのグローバルな移行は、マイルストーンを 1 つずつ達成していくマラソンのようなものです。今すぐ最初の耐量子鍵インポート ジョブを作成して、アプリケーションの耐量子化のプロセスを開始できます。

皆様からのフィードバックをお待ちしております。また、貴組織のポスト量子戦略を Google がどのようにサポートできるかについて、ぜひお問い合わせください。

- Cloud KMS、シニア ソフトウェア エンジニア、Alessio Buraggina

- Google Cloud、シニア プロダクト マネージャー、Erlander Lo

投稿先