Compute Engine のアップデート : Skylake の GA リリース、拡張メモリ、VM の柔軟性向上
Google Cloud Japan Team
強力で柔軟性の高いインスタンスを提供する Google Compute Engine が先ごろアップデートされました。Google Cloud は Intel の次世代 Xeon サーバー プロセッサ(コードネーム : Skylake)を提供する最初にして唯一のパブリック クラウドであり、その Skylake VM が今回のアップデートで正式リリース(GA)となりました。また、Compute Engine には次のような拡張が追加されています。
- メモリの制限を取り除くことで、インスタンスあたりの総メモリ容量が増加
- マシン シェイプの選択肢の増加
- ベースライン プロセッサ タイプの選択方法が簡素化
- すべてのリージョンで 64 個の vCPU が利用可能
- すべてのリージョンで Broadwell CPU が利用可能
Skylake の GA リリース
Skylake ベースのインスタンスは最大 64 個の vCPU と 455 GB の RAM を搭載でき、科学的モデリング、ゲノム研究、3D レンダリング、データ分析、工学シミュレーションなどさまざまな数値計算ワークロードをサポートします。今年 2 月に Compute Engine に初めて Skylake を導入して以来、Google Cloud Platform(GCP)のお客様は Skylake VM を数百万時間も実行しており、さまざまなアプリケーションでパフォーマンスの向上を体験してきました。今回の GA リリースにより、Compute Engine のすべての VM タイプ(標準、ハイメモリ、ハイ CPU、カスタム マシンタイプ、プリエンプティブル VM)で Skylake ベースの新しい VM を作れるようになります。
Cloud Console、gcloud コマンドライン ツール、もしくは API を使用すれば、Skylake VM をプロビジョニングできます。Skylake が使えるのは、米国西部、西ヨーロッパ、東アジアにある 3 つの GCP リージョンです。Skylake に対するお客様からの需要は非常に高く、そのパフォーマンスは日々増強されており、近い将来に新たなリージョンとゾーンでのサポートを発表できる予定です。
より多くのお客様に Skylake を体験していただくため、私たちは 60 日のプロモーション期間中、追加料金なしで Skylake VM を提供します。60 日経過後の Skylake VM にはマシン構成に応じて 6~10 % の特別料金がかかりますが、従来の Intel プロセッサと比べて性能が大幅に向上しており、クラウド コンピューティング プラットフォームでトップクラスの価格性能比に揺るぎはありません。
CPU プラットフォーム セレクタ
Google Cloud Platform のリージョンやゾーンには、Sandy Bridge、Ivy Bridge、Haswell、Broadwell、Skylake の各マイクロアーキテクチャによる多様な Intel Xeon プロセッサを搭載したホスト マシンが用意されています。CPU プラットフォームは、クロック スピードやメモリ アクセス時間など基本的なシステム性能のほか、AVX-2 や AVX-512 などのユニークな機能のサポートでも多種多様です。新たに追加された Minimum CPU Platform 機能により、ゾーンの VM に対して特定の CPU プラットフォームを選択すると、指定した CPU ファミリー以上の VM を Compute Engine にスケジューリングできるようになりました。Minimum CPU Platform は、Cloud Console、Google Cloud SDK、もしくは API で設定でき、アプリケーションに最も適した CPU 機能を柔軟に選択できます。
また、Minimum CPU Platform は柔軟性を向上させるだけでなく、すべてのリージョンで Broadwell CPU と 64 個の vCPU を搭載した VM の作成をサポートします。
gcloud コマンドライン ツールの場合は、instances create
サブコマンドと --min-cpu-platform
フラグで Minimum CPU Platform を指定します。
たとえば次のコマンドは、Intel Broadwell(またはそれ以降)の CPU プラットフォームで n1-standard-1 インスタンスを作ります。
どの GCP のゾーンでどの CPU が使えるかは、リージョンとゾーンのページでご確認ください。また、--min-cpu-platform の詳細はこちらのドキュメントをご覧ください。
使いたいところで使える拡張メモリ
Compute Engine のカスタム マシンタイプは、アプリケーションのニーズに合った vCPU とメモリを搭載した仮想マシンを作れるサービスです。今回の拡張メモリにより、vCPU あたりのメモリ比率の制限(従来は 6.5 GB に設定)が取り除かれ、VM インスタンスあたり 455 GB までのメモリを搭載できるようになりました。これは、インメモリ データベース(Memcached や Redis など)、高性能リレーショナル データベース(Microsoft SQL Server など)、NoSQL データベース(MongoDB など)などでは大きな意味があり、柔軟なメモリ構成によって最適な価格性能比を実現できることになります。拡張メモリの料金の詳細は料金案内のページをご覧ください。
拡張メモリ搭載の VM は、Cloud Console、Cloud SDK、または API で作成できます。
たとえば次のコマンドは、vCPU が 2 個でメモリが 15 GB(拡張メモリ 2 GB を含む)のインスタンスを作ります。
拡張メモリの詳細はこちらのドキュメントをご覧ください。
使ってみよう
Minimum CPU Platform セレクタ、455 GB までのメモリ、64 個の vCPU を搭載した仮想マシン、すべてのリージョンでの Broadwell サポート、GA リリースされた Skylake プロセッサのいずれも、すでに実際に利用可能です。GCP を使用したことがない方は、無料トライアルに登録すれば 300 ドル分のクレジットを使ってこれらを試すことができます。下のコメント欄を使用して、Compute Engine の今回のアップデートを活用したすばらしい事例をぜひお知らせください。
* この投稿は米国時間 5 月 31 日、Google Compute Engine の Product Manager である Hanan Youssef、Sami Iqram、Scott Van Woudenberg によって投稿されたもの(投稿はこちら)の抄訳です。
- By Hanan Youssef, Sami Iqram and Scott Van Woudenberg, Product Managers, Google Compute Engine