コンテンツに移動
DevOps & SRE

DevOps の成功の原動力となる文化

2023年1月23日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/2022_devops_report.max-2500x2500.jpg
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 1 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

DevOps を定義する方法は人の数だけありますが、最も基本的なレベルでは、ほとんどの人が、ソフトウェアを迅速、確実、かつ安全に提供するためのツール、手法、人々の協力方法に関するものであると DevOps を捉えています。人々がどのように協力するかは、組織の文化に大きく関係しています。

DORA チームが過去 8 年間にわたって実施した調査では、文化が組織の成功と従業員の心身の健康の基礎となることが一貫して示されています。このデータでは、パフォーマンス目標と収益性目標を達成している高パフォーマンスの組織には創造的な文化がある傾向が強いことが示されており、2022 年の State of DevOps Report の調査結果においても、この主張は引き続き裏付けられています。

今年は、文化が DevOps に与える影響に関連する 3 つの主な領域を調査しました。

  1. COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック開始以降に生じた勤務形態の変化が、組織のパフォーマンスに影響を与えているかどうか

  2. チーム内で離職の頻度が高くなると組織のパフォーマンスに影響があるかどうか

  3. 従業員の燃え尽き症候群の影響

勤務形態の変化

柔軟な勤務形態は、今や多くの組織で標準的なものになっています。多くの業界において、従業員は、出社、ハイブリッド、完全なリモートワークの中から独自のニーズに最も適した勤務形態を選択できます。私たちの調査は、こうした変化が良いものであることを示しています。具体的には、柔軟に勤務形態を選べる組織の方が、勤務形態がより厳格な組織に比べて、パフォーマンスが高くなることがわかっています。これは良い知らせです。この調査結果は、従業員中心であることが、組織に具体的かつ直接的な利益をもたらし得ることを示しています。

従業員の離職

絶えずチームからメンバーが離脱すると、新しいメンバーがチームに慣れるには時間が必要なため、生産性と勤労意欲に影響が出る場合があります。そして、チームにとどまる人は、業務量とチームの人間関係の変化に適応することが求められる場合もあります。調査では、安定したチーム、すなわちメンバー構成が過去 12 か月間ほとんど変わらなかったチームの方が高パフォーマンス組織に属している傾向が強いことが判明しました。また、メンバーが安定したチームの方が、メンバー変更の多いチームより質の高いドキュメントを作成していると報告する傾向が強いことがわかりました。絶えず変化せざるを得ないチームは、質の高いドキュメントを作成できるようなやり方を継続することがより困難であるとも考えられます。

従業員の燃え尽き症候群

最後に、仕事に関して気が進まない、興味がわかない、馬鹿らしいと感じる状態、すなわち燃え尽き症候群について再び焦点を当てました。燃え尽き症候群を経験すると、仕事に対する満足度が低下し、離職につながることもあります。また、うつ病や不安神経症、心臓病、希死念慮のリスク増加など、心理的、身体的な健康状態が悪化するリスクが高まることは言うまでもありません1。今年の調査結果から、厳格な勤務形態は、従業員の燃え尽き症候群の発生可能性を 30% 増加させることがわかっています。

これらの結果を総合すると、組織レベルとチームレベルの両方で、従業員にとって健全でインクルーシブな文化を作ることが重要であることが見えてきます。

私たちは、文化の重要性を引き続き強調する一方で、組織の文化を変えること、または改善することが容易ではないことを認識しています。組織がまず従業員の経験を理解してから、DevOps 変革の取り組みの一環として、文化に関連する問題への対処にリソースを投入するよう努めることをおすすめします。

文化が組織のパフォーマンスに与える影響の詳細については、2022 年の State of DevOps Report をご覧ください。また、DORA DevOps の手法の導入事例をお持ちの方は、2023 年 1 月 31 日までに2022 年の DevOps Awards にお申し込みのうえ、ご自身の変革の過程についてシェアしてください。


Maslach C, Leiter MP. Understanding the burnout experience: recent research and its implications for psychiatry(英語). World Psychiatry. 2016 Jun;15(2):103-11. doi: 10.1002/wps.20311. PMID: 27265691; PMCID: PMC4911781.

- ユーザー エクスペリエンス リサーチャー Daniella Villalba
投稿先