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DevOps & SRE

2021 年の Accelerate State of DevOps Report で、燃え尽き症候群とチームのパフォーマンスについて発表

2021年9月30日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 9 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

過去 7 年間で、32,000 人を超える世界中の専門家が参加している Accelerate State of DevOps Report は、この種の調査としては最大規模かつ最も長期にわたる研究となっています。Accelerate State of DevOps Report は毎年、データドリブンな業界分析情報を提供しています。分析情報では、ソフトウェア デリバリーや運用における組織的なパフォーマンスを促進する機能とプラクティスが検証されています。そしてこの度、Google Cloud の DevOps Research and Assessment(DORA)チームは、2021 年の Accelerate State of DevOps Report を発表いたしました。 

この調査により、ソフトウェア デリバリーと運用で高いパフォーマンスを上げている場合、技術変革における組織的なパフォーマンスが向上することがあらためて実証されました。また今年は、SRE のベスト プラクティス、安全なソフトウェアのサプライ チェーン、質の高いドキュメンテーション、マルチクラウドの影響についても調査を行い、この 1 年がチームの文化と燃え尽き症候群にどのように影響したかを深く理解することとなりました。

今年のレポートから、新たな調査結果の一部を以下に紹介しています。

ソフトウェア デリバリーのパフォーマンス指標

過去の Accelerate State of DevOps Report の主要な調査結果から、4 つの指標(デプロイ頻度、変更のリードタイム、平均復元時間、変更障害率)を今回も使用し、ソフトウェア デリバリーに基づきチームをパフォーマンスに応じて、エリート、高、中、低に分類しました。今年の調査では、エリート パフォーマンスに分類されているチームがソフトウェア デリバリーのペースを加速し続けており、変更のリードタイムを 1 日未満から 1 時間未満に改善していることが判明しました。それだけでなく、エリート パフォーマンスのチームは低パフォーマンスのチームよりもデプロイの頻度が 973 倍高く、デプロイまでのリードタイムが 6,570 倍速く、変更障害率が 3 倍低くなっていることが判明しました。また、障害が発生した場合のインシデントからの回復時間は 6,570 倍と、驚くほど加速されています。低パフォーマンスのチームと比較したこのデータから、エリート パフォーマンスのチームが実際に DevOps によって組織的な成功を収め続けていることは明らかです。

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5 番目の指標: 可用性から信頼性まで

これまで Google は信頼性ではなく可用性を測定してきましたが、可用性は信頼性エンジニアリングに特有の指標であるため、測定の幅を信頼性まで広げました。これにより、可用性、レイテンシ、パフォーマンス、スケーラビリティがより広く示されるようになりました。具体的には、回答者に、信頼性に関する目標を達成または上回る能力を評価するように依頼しました。デリバリーのパフォーマンス レベルの異なる複数のチームで、デリバリーだけでなく運用のパフォーマンスも重視する場合に、より優れた結果を得られることが確認されました。

2021 年の分析情報: 信頼性、COVID、安全なソフトウェアのサプライ チェーンの影響

DevOps の導入がソフトウェア デリバリーのパフォーマンスに与える影響の測定結果以外にも、今年の DORA レポートでは、新しい傾向が多数明らかになりました。以下がその例です。

1)チームの文化が健全である場合、困難な時期に燃え尽き症候群が軽減される

感染拡大のために自宅勤務になった回答者は、職場で引き続き勤務していた回答者(サンプルのごく一部)よりも燃え尽き症候群を経験する確率が高くなっていました。ジェネレーティブな文化のあるインクルーシブなチームは、COVID-19 の感染拡大中に燃え尽き症候群を経験する確率がそうでないチームの半分でした。

2)パフォーマンスの特に高いチームが次々と水準を上げる

調査開始以来初めて、高パフォーマンスのチームとエリート パフォーマンスのチームが回答者の 3 分の 2 を占めました。2019 年のレポートでは、低パフォーマンスのチームと中パフォーマンスのチームが回答者の 56% を占めていました。業界で DevOps 原則の導入が加速し続けているために、チームに有意義なメリットがもたらされていると言って間違いないでしょう。

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3)SRE と DevOps は相補的な理念である

サイト信頼性エンジニアリング(SRE)は、その中核的な原則を拡張して、サービスレベル指標 / サービスレベル目標(SLI / SLO)の指標に関するフレームワークを始めとする、実用的な手法を提供するものです。SRE フレームワークにより、チームの能力を強化して保証したサービスをユーザーに常に提供し続けるための実践方法とツールが定義されます。チームがデリバリーのパフォーマンスと運用のパフォーマンスの両方を重視する場合に、組織的なパフォーマンスが最も高くなることが報告されています。

このことを詳しく調べるために、今年初めて、調査に運用に関する質問が追加されました。今回の調査で得られたデータにより、最新の運用手法の活用に長けたチームは、ソフトウェア デリバリーおよび運用(SDO)のパフォーマンスの向上を報告する可能性が 1.4 倍高く、ビジネス上の成果の向上を報告する可能性も 1.8 倍高いことが示されています。

4)クラウドの導入がパフォーマンスの促進を続ける

ワークロードのクラウドへの移行が進められる中、クラウドの 5 つの機能をすべて活用しているチームでは、SDO のパフォーマンスと組織のパフォーマンスの向上が見られます。マルチクラウドの導入も増加傾向にあり、チームがプロバイダ独自の機能を活用できるようになってきています。実際、ハイブリッドまたはマルチクラウドを使用している回答者は、組織のパフォーマンス目標を上回る可能性が 1.6 倍高くなっていました。

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5)安全なソフトウェア サプライ チェーンは不可欠であると同時に、パフォーマンスも促進する

セキュリティを後から思いつきで付け足すことはもうできません。安全なソフトウェア サプライ チェーンを構築するには、ソフトウェアの開発ライフサイクルのすべての段階を通して、セキュリティを統合する必要があります。信頼性の目標以上のパフォーマンスを達成したエリートチームでは、セキュリティ プラクティスをシフトレフトする、つまりソフトウェアの開発ライフサイクルのより早い段階でセキュリティを実装し、信頼性のあるソフトウェアを迅速かつ安全に提供する可能性が 2 倍高くなっていました。

6)優れたドキュメンテーションは、DevOps を効果的に機能させるための基礎となる

今回初めて、チーム内のドキュメンテーションの品質と、それが他の機能やプラクティスに及ぼす影響を測定しました。ドキュメンテーションは、DevOps 機能実装の成功の基礎となることがわかりました。質の高いドキュメンテーションを行うチームは、セキュリティのベスト プラクティスを実践する確率がそうでないチームより 3.8 倍高くなっており、クラウドを最大限に活用する確率も 2.5 倍高くなっていました。

DevOps Awards のご紹介

これまで Google は、DevOps に関するベスト プラクティスの一部を皆様に共有してまいりました。皆様の組織における変革で DevOps がどのように活用されているかも、ぜひお聞かせください。今年が最初となる DevOps Awards では、デプロイ頻度の向上、セキュリティのシフトレフトの成功、変更障害率の改善といった成果をあげた Google Cloud のお客様を表彰いたします。DevOps が皆様のチーム、顧客、組織に与えたプラスの影響についてお教えください。今すぐ、こちらでご入力のうえ、ご提出ください。

2021 年の調査にご協力いただいた皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。この Accelerate State of DevOps Report が、さまざまな規模、業界、地域の組織で DevOps 機能の向上に役立つことを願っております。また、皆様のご意見やご感想をお待ちしております。このレポートと GoogleCloud での DevOps の導入についての詳細は、次のリソースをご確認ください。

-          DORA リサーチ担当リーダー、Dustin Smith

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