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データベース

Spanner のマルチモデル アーキテクチャでエージェントの時代を加速

2026年7月22日
Sailesh Krishnamurthy

VP, Google Databases

Vaibhav Govil

Director of Product Management, Databases

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※この投稿は米国時間 2026 年 6 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

エージェントの時代において、データベースの役割は根本的に変化しました。もはや単なる受け身のデータ保管場所ではありません。生成 AI アプリやモデルを支え、自律型ワークフローを強化する重要なコンテキスト エンジンへと進化しています。これを効果的に行うには、データベースは断片化されたアーキテクチャから脱却し、統合されたマルチモデル基盤を採用し、深い推論を促進して、静的データをアクション システムに変換する必要があります。

Spanner はこの取り組みを主導しており、Google の Agentic Data Cloud の基礎となる柱として、業界の注目を集めています。2025 年度の Gartner® Critical Capabilities for Operational Cloud Database Management Systems  レポートで、Google(Spanner)は 2 年連続で軽量トランザクション ユースケースで第 1 位にランクインしました。これは、最新のマイクロサービスとイベント ドリブン アーキテクチャにとって最も効率的なエンジンであることを証明していると私たちは考えています。

Gartner® Operational Cloud DBMS ユースケース:

  • 軽量トランザクションで第 1 位

  • トランザクションの整合性で 4.9 / 5.0

  • AI / ML および生成 AI で 4.6 / 5.0

この技術的な勢いは、最近 Spanner が名誉ある SIGMOD Systems Awardを受賞したことにも表れており、紛れもない経済的価値にも裏打ちされています。Google Cloud の委託により Forrester Consulting が実施した最近の Total Economic Impact™(TEI)調査では、ある組織(Forrester の調査による複合的な顧客プロファイルに基づく)は Spanner を導入したことで、9 か月という短い投資回収期間で 132% の ROI を実現し、3 年間で 774 万ドルの総利益を達成したことがわかりました。

エージェントの時代を支えるマルチモデルの強み

AI の真の自律性には、深いコンテキストが必要です。AI エージェントが効果的に推論するには、単一のレンズを通してデータを見るわけにはいきません。構造化された履歴(リレーショナル)、セマンティクスな意味(ベクトル)、現実世界のつながり(グラフ)、テキストの詳細(全文検索)を同時に理解する必要があります。

Spanner は、これらのマルチモデルの障壁をネイティブに解消します。Spanner は、別々のエンジンを無理やりつなぎ合わせるのではなく、リレーショナル、ベクトル、グラフ、Key-Value、全文検索のデータを、単一の高性能なデータベース アーキテクチャ内で直接統合します。このアーキテクチャ統合により、AI モデルは状況に関するコンテキスト、意味的なコンテキスト、関係性のコンテキストを即座に同時に活用できるようになります。

Spanner の完全な相互運用性を備えたマルチモデル機能により、組織は妥協することなくインテリジェントなアプリケーションを構築できます。

  • Spanner Graph: ISO 標準の GQL を基盤とする、グラフとリレーショナル データを統合したエクスペリエンスを提供します。データをグラフとしてネイティブにモデル化することも、リレーショナル データの上にオーバーレイとしてモデル化することも可能です。これは、AI エージェントを実世界の事実に基づいてグラウンディングするためのナレッジグラフを構築するうえで非常に重要です。Palo Alto Networks をはじめとする企業は、Spanner Graph を活用して、地球規模での重要なアクセス制御のユースケースを実現しています。これにより、専用のサイロ化されたグラフ データベースを用意することなく、AI インフラストラクチャのセキュリティを確保しています。

  • 統合ベクトル検索: K 最近傍(KNN)検索と近似最近傍(ANN)検索の両方に対応した、完全統合型のセマンティック検索ソリューションを提供します。100 億を超えるベクトルを含むインデックスにも対応でき、高速かつ低レイテンシの検索拡張生成(RAG)を実現します。

  • リレーショナルとKey-Value: Spanner は、リレーショナル スケールアウト データベース(GoogleSQL と PostgreSQL)の先駆けです。また、Cassandra ネイティブ エンドポイントを介して高性能な Key-Value 機能も導入し、Cassandra ワークロードの簡単なリフト&シフトを可能にしました。

  • 全文検索: Google が数十年にわたり培ってきた検索技術を基盤に、Spanner は構造化データと非構造化データの両方を横断して高度な情報検索を提供します。また、類義語の自動マッチとスペル修正を行う enhance_query オプションも備えています。ストリーミング法務インテリジェンス プラットフォームの Inspira は、4.5 TB のデータ パイプラインを、統合された高パフォーマンスの信頼できる唯一の情報源へと簡素化しました。FTS とベクトル検索機能をネイティブにサポートする Spanner を活用することで、RAG ワークフローを使用した LLM ベースの法的分析において高精度のスニペットを実現しました。

  • Spanner カラム型エンジン: この画期的なアーキテクチャにより、ライブ運用データに対する分析クエリが最大 200 倍高速化されます。これにより、OLTP と分析とのギャップが解消され、エージェントは「ETL(抽出、変換、読み込み)の負担」を負わずに、必要なリアルタイムのコンテキストを得ることができます。AI を活用した不正防止プラットフォームの Verisoul は、カラム型エンジンを使用して、高速なトランザクション書き込みに対する豊富な分析を 1 か所で実行し、データのコピーやレプリケーションの遅延を排除して、ほぼ瞬時に回答を得ることができます。

真の相互運用性とは、これらが単なる個別の機能ではなく、緊密に統合されていることを意味します。グラフ データベース、ベクトル データベース、検索エンジンを統合するために複雑なアプリケーション ロジックや脆弱な ETL パイプラインを作成する代わりに、開発者は ACID に準拠した単一の SQL ステートメントで、関係性、セマンティックな意味、キーワードをクエリできます。

以下は、開発者がリレーショナル検索、グラフ走査、全文検索、ベクトル類似性検索を 1 つのまとまりのあるクエリに組み合わせて、インテリジェントな商品レコメンデーション エージェントを強化する方法の一例です。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/image1_XCfyf3z.max-1700x1700.png

Spanner Omni: マルチモデル機能をどこでも利用可能

Agentic Data Cloudの真の統合データ基盤となるには、データベースがインフラストラクチャの境界に制限されてはなりません。そこで、AlloyDB Omni と同様に、ハードウェアの制限なしにマルチモデル機能をあらゆる環境で利用できるようにする Spanner Omni を開発しました。

Spanner Omni は、完全にコンテナ化されたデプロイモデルで Spanner をダウンロードして使用できるバージョンです。専用のハードウェアは一切必要ありません。最大限の柔軟性を念頭に設計されており、すでに所有しているインフラストラクチャを使用して Kubernetes 上でネイティブに実行されます。ワークロードがオンプレミス、エッジ、または AWS や Azure などの他の主要なパブリック クラウドで実行されている場合でも、Spanner Omni を使用すると、自在なコントロールが可能になり、一貫性のあるグローバル分散データ基盤を確保できます。

つまり、組織は Spanner Graph、ベクトル検索、全文検索、カラム型エンジンをどこでも活用でき、クラウドサイロを効果的に解消して、ベンダー ロックインなしでこれらの最先端の機能を利用できるようになります。

業界の基準を確立するコア データベースの機能

2025 年度の Gartner® Critical Capabilities for Cloud Database Management Systems for Operational Use Cases レポートで、Gartner は 2 年連続で Google(Spanner)を軽量トランザクション ユースケースで第 1 位に選出しました。これは、最新のイベント ドリブン マイクロサービスにおける効率性と低レイテンシを証明するものです。

こうした業界からの評価は、単なる市場での存在感を示すだけのものではありません。Spanner を従来のアーキテクチャと一線を画す存在にしている、根源的な技術革新に裏打ちされた結果であると私たちは考えています。ばらばらでサイロ化されたデータベース エンジンをつなぎ合わせて「マルチモデル」と称するプラットフォームや、データベース作成時にユーザーがモダリティを選択する必要があり、モダリティ間の相互運用性がないプラットフォームとは異なり、Spanner の機能は、Google の最先端コンピュータサイエンスを基盤として構築されています。

  • TrueTime と Paxos によるグローバルな整合性: Spanner の分散トランザクションは、GPS と原子時計を利用した、可用性が高くグローバルに同期されたクロック システムである TrueTime に則って管理されます。これにより、ロックフリーの分散読み取りと厳格な外部整合性をグローバルに実現できます。高度に最適化された Paxos コンセンサスと組み合わせることで、Spanner はリージョン全体で障害が発生した場合でも、データ損失ゼロ(目標復旧時点、つまり RPO=0)の同期レプリケーションと迅速な復旧タイムライン(目標復旧時間、つまり RTO=0)を実現します。

  • 統合されたカラム型エンジン: ETL の負担をなくし、OLTP と OLAP のギャップを埋めるために、画期的なカラム型エンジンを Spanner の分散ストレージ レイヤ(Colossus)に直接統合しました。これにより、開発者はトランザクションのパフォーマンスに影響を与えることなく、ライブ運用データに対して複雑な分析クエリを最大 200 倍高速に直接実行できます。また、ストレージとコンピューティングが完全に分離されているため、ユーザーはデータベース ストレージに直接アクセスするサーバーレス テクノロジーである Spanner DataBoost を使用して、運用ワークロードに影響を与えることなく大規模な分析クエリを実行できます。

  • ScaNN を活用したベクトル検索: Google のネイティブ ベクトル検索は、後付けの機能ではありません。このサービスは、Google 検索や YouTube と同じ最先端のインデックス アルゴリズムである Scalable Nearest Neighbors(ScaNN)を基盤としています。これにより、Spanner はリレーショナル データやグラフデータと並行して、100 億を超えるベクトル インデックスに対してミリ秒以下の速度で類似検索をネイティブに実行できます。

  • 動的リシャーディング: Spanner のアーキテクチャでは、サイズと負荷に基づいてデータが自動的にリシャーディングされます。この透過的なロード バランシングにより、従来の NoSQL システムや分散 SQL システムで問題となっていた「ホットスポット化」が解消されます。

業界の評価では、個別のデータベース エンジンを切り離して捉える断片的な視点で市場を測定することが少なくありません。しかし Google は、真のイノベーションを実現するには、このレベルの深いアーキテクチャ統合を可能にするエンジニアリングが必要であると考えています。エージェントの時代には、ネイティブに統合された基盤以外のものは単なるボトルネックです。

エージェントの時代の統一ビジョン

Google は、データの未来は、統合され、オープンであり、そして AI と切り離せないものになると考えています。Spanner の勢いは、隔離されたデータベースの寄せ集めから、単一のインテリジェントな Context Hub へと急速に移行している市場を反映しています。

この未来に正面から向き合うため、Google は一つの統合データベースで可能なことを絶え間なく拡大し続けています。これには、リアルタイム分析用の統合カラム型エンジン、Google の世界クラスの ScaNN テクノロジーを搭載したネイティブ ベクトル検索、モデル推論をデータに直接適用する組み込みの AI 関数などの画期的なイノベーションが含まれます。さらに、深い予測推論のためにグラフ ニューラル ネットワーク(GNN)と統合された Spanner Graph と、この統合アーキテクチャをハイブリッド環境とマルチクラウド環境に拡張する Spanner Omni を統合することで、Google は次の時代を見据えたプラットフォームを提供しています。

重要なのは、Spanner は単独で存在するのではなく、Google のより広範な Agentic Data Cloud の基礎となる柱であることです。Spanner は、企業全体の分析のための BigQuery や高度なモデル オーケストレーションのための Gemini Enterprise Agent Platform を含むデータクラウド全体でシームレスなゼロ ETL 統合を実現し、運用データと企業インテリジェンスの間の障壁を解消します。

エージェントの時代では、AI モデルは単なる隔離されたデータポイント以上のもの、すなわち、まとまりのあるエコシステムを必要とします。Spanner からのリアルタイムの運用コンテキストと、BigQuery からのペタバイト規模の過去の分析情報をネイティブに統合することで、エージェントが自律的に行動し、深く推論し、前例のないビジネス価値を創出できるようにします。

Spanner は、データの保存場所に関係なく、リアルタイムで信頼できる多面的なデータビューを提供することで、組織が次世代の変革的なインテリジェント アプリケーションを構築できるようにします。

Google は、今後の展開に非常に期待しており、真のマルチモデル データベースが実現しうる可能性のフロンティアを、これからも切り拓き続けてまいります。

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Gartner、「Critical Capabilities for Cloud Database Management Systems for Operational Use Cases」(作成者: Ramke Ramakrishnan、Masud Miraz、Xingyu Gu、Henry Cook、Aaron Rosenbaum、2025 年 11 月 19 日)

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- データベース、エンジニアリング担当バイス プレジデント、Sailesh Krishnamurthy

- データベース担当プロダクト管理ディレクター、Vaibhav Govil

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