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データベース

エージェント型 AI の時代を支える Spanner のマルチモデルによる強み

2026年4月7日
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Wenzhe Cao

Group Product Manager

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※この投稿は米国時間 2026 年 4 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

エージェント型 AI の時代を迎え、データベースの役割は根本的に変わりつつあります。データベースは、もはや単なる受け身のデータ保管場所ではありません。生成 AI の基盤モデルを支え、先回りしたアクションを促す推論エンジンの土台となる、インテリジェントで能動的なコンテキスト ハブへと進化しています。高度な AI やエージェント型ワークフローを支えるには、データベースは単にデータを保存して検索するだけでは不十分です。複数のデータモデルが共存する環境の中で、推論を支援し、豊かなコンテキストを提供し、静的な情報から先を見越したアクションを導く役割が求められます。

マルチモデル データベースというアプローチでは、分断されたサイロ間でデータを手作業で連携させる代わりに、リレーショナル データ、ベクトルデータ、グラフデータを統合し、豊富で一元化されたナレッジベースを構築できます。これにより AI は、状況に関するコンテキスト、意味的なコンテキスト、関係性のコンテキストを同時に活用できるようになります。Google Cloud の Spanner は、グローバルな整合性、スケーラビリティ、フルマネージドの運用性を備えたデータベースとして、AI 時代を見据えて設計されています。データを統合し、高度なエージェント型 AI を支えるための一貫したアプローチを提供します。

この投稿では、Spanner が組織の AI 活用を本番運用レベルへと引き上げるうえで、どのように役立っているのかを見ていきます。さらに具体的な事例を知りたい方は、関連する記事もあわせてご覧ください。そこでは、不正検出、パーソナライズされたおすすめ表示、ハイブリッド検索、自律型ネットワーク運用という 4 つの主要分野を取り上げています。

相互運用性を備えたマルチモデル データベースの力

現在一般的に行われている分断された複数データベースの運用戦略には、次のような重大な課題があります。

  • データの不整合: 信頼できる単一の情報源が存在しないため、開発者は壊れやすいアプリケーション コードによって無理に整合性を保たなければなりません。その結果、データの重複や陳腐化が生じるだけでなく、ガバナンスやセキュリティ上の深刻な脆弱性につながります。最終的には、アプリケーション全体の信頼性は、最も SLA の低いデータベースに左右されてしまいます。

  • 運用とスキルのサイロ化: 異なるシステムを個別に管理することは、膨大な運用負荷を生むだけでなく、チームを専門スキルごとの縦割り構造に分断します。その結果、「複雑性のコスト」が発生し、コストの増大と開発スピードの低下を直接招きます。

  • 統合インテリジェンスを阻む要因: 本質的なデータサイロに加え、ETL に伴う遅延がアーキテクチャ上の障壁となり、先進的な AI アプリケーションに不可欠な、リアルタイムで文脈を理解するインテリジェンスの実現を妨げます。

こうした課題が重なることで、AI 時代において大きな構造的不利が生じます。

Spanner がもたらす AI 時代の優位性

Google は長年にわたり、最も要求の厳しいクラウド ワークロードにも対応できるよう、Spanner を継続的に進化させてきました。そして生成 AI の登場により、データベースにはこれまでにない新たな課題への対応が求められています。

そうした中、Spanner はその中核基盤を土台に、昨年、相互運用性に優れたマルチモデル機能を導入しました。これにより、リレーショナル、Key-Value、グラフ、ベクトルといった多様なモデルを用いて、単一の高性能なデータベース基盤の中でデータにアクセスし、クエリを実行できるようになりました。各データモデルは、それぞれ独自の強みを備えています。

  • リレーショナル: Spanner は、リレーショナル スケールアウト データベースの先駆けとして、Google SQL と PostgreSQL の両方の言語で ANSI SQL を提供し、世界規模で可用性 99.999% と強整合性を実現しています。

  • Key-Value: Spanner は高性能な Key-Value データベース機能も備えています。Cassandra ネイティブ エンドポイントにより、アプリケーション コードを変更することなく、Cassandra のワークロードを Spanner に容易に移行できます。

  • グラフ: ISO 標準の GQL を基盤としており、データをネイティブなグラフとしてモデル化することも、リレーショナル データの上にシンプルなオーバーレイとして表現することも可能です。

  • ベクトル: KNN と ANN の両方に対応した、完全統合型のセマンティック検索ソリューションを提供します。特に ANN は、Google が持つ最先端の ScaNN 技術を用いて構築されており、100 億を超えるベクトルを含むインデックスにも対応できます。

  • 全文検索: Google が数十年にわたり培ってきた検索技術を基盤に、40 以上の言語に対応した高度な情報検索機能を標準で備えており、構造化データと非構造化データの両方を横断して検索できます。

  • データ ウェアハウスとの統合: トランザクション データと、分析処理から得られるインサイトをシームレスに結び付けることができます。

この統合アーキテクチャにより、複数の専用データベース間で複雑なデータ同期を行う必要がなくなり、環境を大幅に簡素化しながら開発を加速できます。お客様は Spanner の相互運用性に優れたマルチモデル機能を活用することで、異なる種類のデータをシームレスに組み合わせられるようになります。

AI をグローバル規模で成功へと導く企業

MakeMyTrip は、Spanner のマルチモデル機能を活用し、厳しい実運用環境の中で AI を本番導入している数多くの企業の一つです。

インドを拠点とするオンライン旅行会社 MakeMyTrip は、4 つの専用データベースを単一の Spanner インスタンスに統合することに成功しました。これにより、運用の複雑さを大幅に軽減するとともに、AI イノベーションを加速させ、高性能で高品質なアウトプットを実現しています。

MakeMyTrip でテクノロジー開発を統括する Ravindra Tiwary 氏は、Spanner への移行が組織にもたらしたさまざまなメリットについて、次のように述べています。「私たちは MongoDB、Neo4j、Elasticsearch、Qdrant を 1 つの統合システムに集約し、運用の複雑さを 75% 削減しました。この移行によって、複数のデータベースごとの違いに対応する負担や、重複した同期パイプラインを管理する手間が解消されました。

とりわけ大きな変化をもたらしたのは、語彙検索、キーワード検索、埋め込み検索を横断する統合クエリを、単一のプラットフォーム上で実行できるようになったことです。この統合により、統合ビュー機能の開発サイクルは 30% から 50% 加速し、目的地ごとに週 5.5 時間から 9.5 時間の運用工数を削減できました。

さらに、Spanner を信頼できる単一の情報源として活用することで、データドリフトを解消し、事実情報をアトミックに更新できるようになりました。その結果、回答品質スコアは 9% 向上しました。Spanner は今や、当社の『Destination Expert』エコシステム、すなわちパーソナライズされた旅行提案を行う自社開発の生成 AI 搭載旅行プランナー bot と、今後の AI ワークフローを支えるうえで不可欠な、スケーラブルかつ高性能な基盤となっています。」

AI 活用の取り組みで新たな到達点に達したのは、MakeMyTrip だけではありません。Target、Palo Alto Networks、MasOrange といった先進的な企業が Spanner を活用してどのように成果を上げているのかについては、次回の投稿でご紹介します。

Spanner を活用した自社の AI 活用を始めるには、Spanner のページをご覧ください。詳細を確認し、今すぐ取り組みを始めることができます。

- グループ プロダクト マネージャー Wenzhe Cao

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