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データベース

カスタマー エクスペリエンスを高めるための Macy’s の Google Cloud サービス活用事例

2022年1月21日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 1 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: Macy’s のソフトウェア エンジニアリング部門のディレクター、Mohamed Nazeemudeen 氏から、クラウド データベースの選択に関する Macy’s の戦略や、Macy’s の価格設定サービスでの Cloud Bigtable の活用方法について学びます。YouTube で、Nazeemudeen 氏がこのトピックについて語る Google Cloud Next ‘21 のセッションもご覧いただけます。

私たちは Macy’s で、記憶に残るショッピング体験をお客様に提供するという目的に向け、率先して取り組んでいます。オンプレミスでのオペレーションから Google Cloud で管理するデータベース サービスへの移行は、この取り組みの延長線上にあります。カスタマー サービスのイノベーションに共同で取り組んだことで、業界と会社にとって先行き不透明な時期にデジタル化を促進できました。

Macy's は米国初のオムニチャネル型ファッション小売企業の 1 つで、727 店舗を擁し、43 の州で事業を営んでいます。Google のデータベースを活用することで、これまでにないスケーラビリティ、フレキシビリティ、顧客の拡大が実現し、カスタマー エクスペリエンスの向上を着実に目指すビジョンを得て、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)による苦境から立ち上がりました。Google との連携による適切なデータベース ツールの選択が、e コマース プラットフォームの強化、社内業務の効率化、サービスの要所の向上につながりました。

効率性を高めるための Macy’s の Google Cloud サービス活用事例

共通サービスが、Google Cloud マネージド サービスを利用する戦略の第一歩です。共通サービスの目標は、Macy’s の販売チャネル内部のクライアントすべてに信頼できる単一の情報源を提供することです。業務を一元化することで、会社のさまざまなチャネル(デジタル、店舗、事業、コールセンターなど)で、統一されたカスタマー エクスペリエンスを提供できるようになります。

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Cloud Bigtable と Cloud Spanner で価格設定と在庫管理を支援

共通サービスの SLA は 99.99% の稼働率で、複数リージョンで使用でき、一桁のレイテンシ(95 パーセンタイル)で 1 秒あたり数万以上のクエリに対応します。私たちは、運用上のオーバーヘッドを抑えるため、Google Cloud のマネージド サービスを利用することに決めました。

カタログのデータの保存と在庫管理の支援に Cloud Spanner を使用しています。カタログ サービスには低レイテンシが求められ、多少古くなったデータを許容できる必要があります。そこで、Cloud Spanner で、約 10 秒の正確なステイルネスでステイル読み取りを行い、レイテンシを一桁に抑えています。

また、価格設定システムのバックアップを担うデータベースとして、Google Cloud で Cloud Bigtable を利用しています。この作業はワークロードが非常に高く、レイテンシの影響を受けやすいためです。Bigtable を使用すると、規模やデータの大きさにかかわらず、99 パーセンタイル、10 ミリ秒未満のレイテンシで必要な情報を取得できます。私たちのアクセス パターンでは、指定した部門や地域に加え、アイテムを識別するユニバーサル価格コード(UPC)に基づいて、アイテムのチケット価格を見つける必要があります。Bigtable のシステムは、過去数日と先の数日を含む期間に対応します。

弊社で扱う UPC は膨大な数に上るうえ、日々追加されます。700 を超える店舗があり、アイテム 1 つに複数の価格が存在する可能性もあることから、数十億のデータポイントを作成しています。計算により、ストレージが数十テラバイト必要になることがわかっています。GCP で使用できるストレージは、膨大なストレージのニーズにマッチするうえ、スピード、機能、効率性の向上に役立ちます。

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Bigtable スキーマの設計方法

全体的なレイテンシを低く抑えるため、情報にアクセスする際、1 つの行キーでルックアップを実行したいと考えていました。行キーには、地域と UPC を使用します。キー範囲のスキャンを避けるため、またストレージ要件を考慮して、タイムスタンプ付き価格値に、セル内の protobuf を使用することにしました。パフォーマンスをテストしたところ、この protobuf のシリアル化解除のコストは無視できるほど小さく、Google Cloud によりレイテンシは数ミリ秒単位に納まることがわかりました。

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価格共通サービス向けの Cloud Bigtable スキーマ設計

弊社の価格システムでは、価格の調整を実行する際に、負荷の高いバッチ書き込みも行うため、Cloud Bigtable アプリ プロファイルを使用して、読み取りと書き込みのワークロードを分離しました。アプリ プロファイルが複数クラスタ ルーティングで構成される Cloud Bigtable は、私たちが求める高可用性を備えています。

業務のパフォーマンスを高め、お客様により良い体験を提供する力に、Google Cloud マネージド サービスの効果が直接現れています。Google との連携の成果は、イノベーションやイマジネーションを取り入れるための共同の取り組みを反映しています。Macy’s の顧客の拡大やお客様のショッピング体験の合理化に、楽しく取り組めました。現代の小売業界に、パーソナライズ、アクセシビリティ、快適性の新しい標準を導入できることを嬉しく思います。

詳しくは、Cloud BigtableCloud Spanner の活用事例をご覧ください。


- Macy’s ソフトウェア エンジニアリング部門ディレクター Mohamed Nazeemudeen 氏
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