コンテンツに移動
データ分析

運用から分析へ: Spanner Graph と BigQuery Graph による統合ソリューション

2026年4月24日
Bei Li

Sr. Staff Software Engineer

Candice Chen

Product Manager, BigQuery

Try Gemini Enterprise Business Edition today

The front door to AI in the workplace

Try now

※この投稿は米国時間 2026 年 4 月 15 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

データ内の関係性を理解することは、隠れたインサイトを発見し、インテリジェントなアプリケーションを構築するために不可欠です。しかし、運用(OLTP)と分析(OLAP)のグラフ ワークロードを管理するには通常、切り離されたデータベースに悪戦苦闘し、脆弱なデータ パイプラインを構築し、複雑なインテグレーションを管理することになります。このような断片化により、データサイロが生まれ、運用上のオーバーヘッドが増加し、スケーラビリティが制限されます。

本日は、Spanner Graph と BigQuery Graph を活用した、グラフ データベースと分析の統合ソリューションをご紹介します。このソリューションは、デプロイ方法に関する推奨ブループリントと、代表的なユースケースのスタートガイドの 2 つの部分で構成されています。このブログ記事では、ソリューションの構成要素を確認し、最も一般的なユースケースの概要を説明します。また、実際にソリューションをデプロイしたお客様の声もご紹介します。

運用ワークロード向けの Spanner Graph

Spanner Graph は、グラフ、リレーショナル、検索、生成 AI の各機能を 1 つのデータベースに統合することで、グラフデータ マネジメントを刷新します。これは Spanner の特徴である無制限のスケーラビリティ、高可用性、強整合性を基盤としています。

Spanner Graph により、以下のことが可能になります。

  • テーブルからグラフへの統合マッピング: 既存の Spanner リレーショナル テーブル上に直接グラフを定義し、データを複製することなく、運用データをグラフとして表示およびクエリできます。

  • 相互運用可能なグラフクエリとリレーショナル クエリ: ISO 規格の Graph Query Language(GQL)インターフェースを活用して直感的なパターン マッチングを行い、GQL と SQL を 1 つのクエリに組み合わせてグラフデータと表形式データをまとめて走査できます。

  • 高度な検索と AI のインテグレーション: 組み込みのベクトル検索、全文検索、Vertex AI のインテグレーションを利用して、セマンティックな意味でデータを取得し、データベース内で直接インテリジェント アプリケーションを強化します。

お客様はすでに、Spanner Graph を使用して高スループット、低レイテンシのアプリケーションを強化しており、数百万のエンティティにわたる ID 解決、広大で複雑な環境にわたる依存関係の特定、データリネージ、Customer 360 のユースケース、リアルタイムの不正行為検出の強化などに取り組んでいます。

「Open Intelligence は、クライアント、パートナー、WPP からの数兆ものライブ データポイントをプライバシー最優先で安全に接続する、当社の基盤となるインテリジェンス レイヤです。現在では、WPP のエージェント型マーケティング プラットフォームである WPP Open に統合され、支えています。Google Cloud の Spanner Graph を基盤とする Open Intelligence は、AI を活用したマーケティングにおける大きな進歩であり、BigQuery Graph で分析グラフ ワークロードのユースケースを拡大できることを嬉しく思います。」- WPP、データ&インテリジェンス担当戦略責任者、Rob Marshall 氏

分析ワークロード向けの BigQuery Graph

Spanner Graph はアクティブなオペレーションを処理しますが、真に大規模な分析では、数十億のノードとエッジの関係を探索してパターンを特定し、過去のデータをクエリする必要があります。SQL でデータベースとデータ ウェアハウスにそれぞれ異なるツールが使用されるのと同様に、グラフでもワークロードごとに専用のツールが必要です。そこで、BigQuery Graph を構築しました。

BigQuery Graph は、接続されたデータ分析をデータ ウェアハウスに直接取り込みます。既存の BigQuery データをグラフスキーマにマッピングし、SQL または GQL でクエリを実行することで、データを移動することなく、膨大なデータセットに隠された関係を明らかにできます。

主な機能は次のとおりです。

  • テーブルからグラフへの統合マッピング: 既存の BigQuery テーブルをグラフに即座にマッピングし、ETL パイプラインを構築することも、データを一切移動させることもなく、データ ウェアハウスに隠された関係を明らかにします。

  • 相互運用可能なグラフクエリとリレーショナル クエリ: GQL の表現力豊かなパターン マッチングを大規模な過去のデータセットに適用し、SQL と GQL を 1 つのクエリに組み込んで、使い慣れたデータ ウェアハウスと強力なグラフ走査を組み合わせることができます。

  • 高度な検索と AI のインテグレーション: BigQuery AI とのネイティブ インテグレーションを利用して予測分析を行うとともに、組み込みのベクトル検索、全文検索、地理空間機能を使用して、数十億件のレコードにわたって接続された情報を見つけます。

統合ソリューションとしての Spanner Graph と BigQuery Graph

各プラットフォームは単体でも強力ですが、一緒にデプロイすることで真価を発揮します。運用環境と分析環境を接続することで、データサイロを排除し、データベースのパフォーマンスを損なうことなく分析情報を得るまでの時間を短縮できます。

「Spanner Graph を使用することで、Yahoo はグローバル規模で接続された基盤にデータを統合し、エージェント型広告プラットフォーム全体でリアルタイムのインテリジェントな意思決定を可能にしています。これにより、AI 主導のアプローチを強化し、最大規模のデジタル広告エコシステムを推進しています。Spanner Graph と BigQuery Graph を連携させることで、より深い分析と予測機能が可能になり、将来のイノベーションを推進できることを楽しみにしています。」- Yahoo、消費者向け収益化責任者、Gabriel DeWitt 氏

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/1_fDTBM5C.max-2000x2000.png

例として、金融詐欺の検出について考えてみましょう。アプリケーションは Spanner Graph を使用して不審な接続を即座に特定し、決済時にトランザクションをブロックできます。一方、BigQuery Graph はペタバイト規模の過去のトランザクション データを分析して、詐欺行為を引き起こした複雑で長期的な詐欺組織を暴きます。

以下では、これら 2 つのエンジンを統合してエンドツーエンドのグラフ ワークフローを作成する方法について説明します。

1)グラフクエリとスキーマの統合エクスペリエンス

このソリューションの主な利点は、両方のプラットフォームで一貫したスキーマと GQL が共有されることです。共通の言語を使用することで、開発時間を短縮し、コンテキスト切り替えの摩擦を最小限に抑えることができます。

たとえば、特定のアカウントを起点としてつながっている可能性のある詐欺組織をリアルタイムで検出するには、次の Spanner Graph クエリを使用します。

読み込んでいます...

同じ分析を実行して、過去の詐欺組織に関与したすべてのアカウントを特定する場合、BigQuery Graph クエリは、以下のようにほぼ同じです。

読み込んでいます...

2)Data Boost を使用して BigQuery Graph で Spanner データをクエリする

Data Boost を使用すると、トランザクション ワークロードのパフォーマンスに影響を与えることなく、BigQuery から Spanner Graph データを直接クエリできます。これにより、データを移動することなく、Spanner のリアルタイムの運用データと BigQuery の過去の分析データを組み合わせた「仮想グラフ」を構築できます。

たとえば、Spanner Graph のリアルタイムの アカウント ノードとユーザー ノードを、BigQuery の過去のログインエッジと組み合わせて、さまざまなデバイスにわたる不審なログイン パターンを特定できます。

これを行うには、まず CREATE EXTERNAL SCHEMA ステートメントを使用して BigQuery を Spanner に接続します。

読み込んでいます...

次に、Spanner と BigQuery の両方のテーブルを組み込んだ BigQuery Graph を定義します。

読み込んでいます...

最後に、BigQuery Graph でクエリを実行して、Spanner(accounts、users、transfers、owns)と BigQuery(logins、devices)の両方のデータにアクセスし、不審なログイン パターンを特定します。

読み込んでいます...

3)リバース ETL を使用して BigQuery データを Spanner Graph にエクスポートする

分析データを Spanner に戻して低レイテンシのリアルタイム クエリを実行する必要がある場合は、リバース ETL を使用できます。パイプラインを追加する必要はありません。たとえば、BigQuery から Spanner Graph に過去のデバイスデータ(IP アドレス、デバイス ID)をインポートして、リアルタイムの不正行為検出オペレーションを強化できます。

読み込んでいます...

4)グラフデータを可視化する

接続されたデータの可視化は、分析、データ探索、調査の要です。Spanner StudioBigQuery Studio(近日提供開始予定)を使用すると、使い慣れた環境から離れることも、外部ツールを設定することもなく、グラフデータを即座に可視化できます。プログラムによる詳細なデータ探索では、Spanner Graph ノートブックBigQuery ノートブックを利用して、既存のデータ サイエンス ワークフロー内でクエリ結果を直接レンダリングすることもできます。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/original_images/2_q7DNGWF.gif

5)グラフ可視化パートナーとのインテグレーション

Spanner Graph と BigQuery Graph は、主要なグラフ可視化パートナーとも統合されており、包括的な探索ツールスイートを提供しています。

  • Kineviz: GraphXR を介して最先端の可視化と高度な分析を組み合わせます。

  • Graphistry: GPU アクセラレーションを活用したビジュアル グラフ インテリジェンス プラットフォームを使用して、大規模なデータセットから重要な分析情報を抽出します。

  • G.V(): 高パフォーマンスの可視化とノーコードのデータ探索のための、手軽にインストールできるクライアントを提供します。

  • Linkurious: Linkurious Enterprise プラットフォームを介して、大量の接続されたデータ内の脅威を検出して分析します。

グラフに関するあらゆるニーズに対応する統合ソリューション

Spanner Graph と BigQuery Graph を組み合わせることで、さまざまなユースケースにわたる運用ニーズと分析ニーズに対応する統合ソリューションが実現します。

 

分野

Spanner Graph

BigQuery Graph

金融サービス

通常とは異なる、不審なトランザクションを即座にブロックします。

複雑で長期的な詐欺組織を検出します。

小売業、e コマース

パーソナライズされたおすすめの商品情報をその場で提案します。

膨大な購入履歴を分析して需要を予測します。

サイバーセキュリティ

アクティブな脅威を隔離し、攻撃の発生源を即座に追跡します。

過去の脆弱性をモデル化して防御を強化します。

医療

医療現場で臨床判断支援システムを強化します。

公衆衛生の傾向と病気のリスク要因を分析します。

サプライ チェーン

世界中で商品を追跡し、チームに中断の発生を即座に知らせます。

システム上のボトルネックを特定し、今後のルーティングを最適化します。

通信

ネットワークのデジタルツインを作成して、異常の検出と根本原因の分析をリアルタイムで行います。

トラフィック パターンを大規模に分析して、将来のインフラストラクチャ アップグレードを計画します。

Spanner Graph と BigQuery Graph を今すぐ使ってみる

Spanner Graph と BigQuery Graph を組み合わせることで、運用と分析の両方のニーズを満たす統合されたグラフデータ マネジメントを実現できます。

運用ワークロード向けの Spanner Graph のユースケース設定ガイド、分析ニーズ向けの BigQuery Graph の概要 作成ガイドをご覧ください。この組み合わせを最大限に活用する方法をご体験いただくには、統合ソリューション ガイドをご覧になり、Codelab をお試しください。

- スタッフ ソフトウェア エンジニア、Bei Li

- プロダクト マネージャー、Candice Chen

投稿先