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データ分析

防虫剤ブランドの OFF! と Google Cloud が構築した蚊発生予測の新しいサービス Mosquito Forecast で蚊を撃退

2022年5月18日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 5 月 5 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

蚊は地球上で最も厄介な生きものであるだけでなく、年間 7 億人以上をジカ熱、マラリア、デング熱、黄熱病などの危険な病気に感染させています。予防は最大の防御であり、蚊に刺されるのを未然に防ぐことが重要な第一歩です。

SC Johnson は、害虫駆除製品、日用品、その他の業務用製品を開発、製造する大手企業で、蚊が媒介する伝染病の感染を減らすことに大きく貢献しています。そのため、Google Cloud が同社の代表的な害虫駆除ブランドである OFF!® と協力し、全米でいつ、どこで蚊が発生するかを予測する新しい一般公開モデルを開発できたことを喜ばしく思っています。

地球温暖化と気候変動に伴い、OFF! は、蚊の個体数の変化により、地域レベルで月ごと、年ごとの消費者の行動の変動が見られることに気づきました。このような急激な変化のため、人々がいつ自分の身を守ればよいのか把握することが困難になっています。Google Cloud 上に構築され、本日より利用可能となった OFF!Cast Mosquito Forecast™ は、米国各地における蚊の発生を予測し、害虫である蚊自体と蚊が媒介する病気に感染する危険性から地域社会の人々を守ります。また、近い将来、ブラジルやメキシコなど他の市場にもサービスを展開することを目指しています。

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出典: Sadie J. Ryan, Colin J. Carlson, Erin A. Mordecai, Leah R.Johnson

OFF!Cast Mosquito Forecast™ を使用すると、毎日の最新天気情報のように誰でも簡単に地域における蚊の予測情報を確認できます。Google Cloud の地理空間技術とデータ分析技術を基盤とした OFF!Cast Mosquito Forecast は、蚊の個体数情報を予測して共有する世界初の公開型テクノロジー プラットフォームです。OFF!Cast は、蚊の生態の知識に基づいたデータを利用することで、特定の地域における蚊の行動と個体数を正確に予測します。  

本日より、誰でも簡単にパソコンまたはモバイル デバイスで OFF!Cast を利用し、郵便番号を元に米国本土各地域における 7 日間の蚊の発生予報を入手できるようになりました。登録すると、毎週予報を受け取ることもできます。OFF! は、この予報ツールをできるだけ便利なものにするため、消費者にとって馴染みのある人気の天気予報アプリにちなんでユーザー インターフェースを設計しました。

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SC Johnson の OFF!Cast プラットフォームは、郵便番号を元に米国本土各地域について 7 日間の正確な蚊発生予測を無料で提供します。

OFF!Cast Mosquito Forecast を支える技術

この世界初の予測を作成するために、OFF! は安全かつ本番運用に対応した規模の Google Cloud Platform 環境を立ち上げ、Google Earth Engine を利用しました。これは、衛星画像と地理空間データを強力なコンピューティングと組み合わせて、人々と組織が地球の変化を理解できるようにする、Google のクラウドベース地理空間分析プラットフォームです。

OFF!Cast Mosquito Forecast は、消費者に蚊の活動を正確に伝えるために複数のデータソースを統合して得られる結果です。まず、Google Earth Engine が数十億件の個別気象データポイントを抽出します。次に、SC Johnson Center for Insect Science and Family Health と Climate Engine の専門家が共同開発した科学研究用アルゴリズムが、その気象データを関連する蚊の情報に変換します。最後に、収集した情報を基にモデルを作成し、色分けされた 7 日間の蚊の個体数の予測をまとめ上げます。このモデルは、蚊が卵を産んでから人間を刺せるようになるまでのライフサイクルに適用されます。

SC Johnson Center for Insect Science and Family Health は世界有数の昆虫学研究センターで、昆虫の生態、昆虫が媒介する病気の予防、消費者向けの効果的な製品ソリューションに関する先端科学研究を行っています。OFF! のようなブランドの基盤となっている研究は、マラリアやジカ熱などの病気を根絶するという SC Johnson の使命にキャリアを捧げてきた世界有数の昆虫学者の知識に根差しています。

SC Johnson の昆虫学者である Maude Meier 氏は、「私たちは、蚊との接触を予測し、刺されることを防ぐためのツールを提供することで、消費者の皆様のお役に立っています。昆虫学の分野で働くことはやりがいがあります。科学と Google Earth Engine のようなテクノロジーを組み合わせる新たな機会に出会い、昆虫が媒介する病気の蔓延を防ぐという私たちの使命のために力を発揮できるからです」と述べています。

蚊と戦うための生態系調査

過去 10 年間、学者、科学者、NGO は Google Earth Engine の地球観測データを利用して、気候調査、天然資源保護、炭素排出量削減、その他の持続可能性目標の達成に有意義な成果を上げてきました。Google Earth Engine を活用することで、世界の森林消失をほぼリアルタイムでモニタリングできるようになり、160 か国以上の淡水生態系のマップ作成と保護が進められました。Google Earth Engine は現在、プレビュー版として、Google Cloud との商用利用が可能です。

OFF!Cast Mosquito Forecast の実現にあたって、パートナーである Climate Engine が重要な役割を果たしました。Climate Engine は科学者主導の会社で、Google Cloud や Google のお客様と協力して、Google Cloud Storage や BigQuery などのツールに加え、Google Earth Engine の利用の加速、拡大を図っています。OFF! は、Climate Engine とともに、VectorBase の昆虫データを統合しました。Vector Base は、蚊を採集、計数する組織で、米国国立アレルギー感染症研究所の資金援助を受けています。

OFF!Cast Mosquito Forecast の基盤となっているモデルでは、3 つの情報(蚊のライフサイクルに関する知見、詳細な気候データ、VectorBase により提供される 5,000 か所以上の蚊の個体数)を併用しています。このモデルの正確性は、6 年間にわたり 5,000 か所以上の捕獲地点で収集された 141 種、3,300 万匹以上の蚊の正確な個体数データを用いて検証されました。

昆虫学、特に積算温度(度日)とそれが蚊の個体数に与える影響などについて理解を深め、地域社会が行動を起こせるよう支援することは、公衆衛生の向上にとってきわめて重要なことです。OFF!Cast Mosquito Forecast の詳細についてはこちら、Google Earth Engine on Google Cloud の詳細についてはこちらをご覧ください。


- Google Cloud 日用品担当バイス プレジデント Giusy Buonfantino
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