データと価値のギャップを解消するための効果的な戦略
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 3 月 24 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
ビッグデータとクラウドの分野では、これまでに驚異的な量の技術進歩が実現してきました。これは、多くの組織がデータから価値を創出する必要に迫られているからといえます。言うまでもなくデータはイノベーションの原動力ですが、ビジネスニーズの変化がプロセス側の対応能力よりも急速に進んでいるため、データと価値のギャップが拡大しています。幸いなことに、データと価値のギャップを解消するうえで組織が利用できる、実証された戦略があります。McKinsey によると、AI を活用して特に高い利益を上げている優れた組織は、戦略、データ、モデル、ツール、テクノロジー、および人材に関するベストプラクティスに従う傾向が高くなっています。
Google の最新型データ戦略に関する新しいホワイトペーパーでは、あらゆる組織がデータと AI への投資から ROI を最大化できるように、データ エクスペリエンス、データ エコノミー、データ エコシステムを意思決定プロセスの一部として位置付けることを強調しています。


図: データと価値のギャップを解消するための 3 つの主要な検討分野
1 人のユーザーも取り残されないデータ エクスペリエンス
データ エクスペリエンスは、組織のデータと AI を誰にでも利用可能にするだけでなく、組織の人材を最大限に活用するうえでも重要です。たとえば、ある大手ソーシャル ネットワーキング サービスでは、データ アナリストやプロダクト マネージャーなど、技術にそれほど詳しくない新たなタイプのユーザー全員が、BigQuery や Looker などの Google Cloud ツールを使ってデータから分析情報を取得できるようにしています。ユーザーは、必要なデータにセルフサービスでアクセスできるので、ビジネス全体のアジリティが向上します。
IDC によると、2026 年までに世界で 1 秒あたり 7 PB のデータが生成されるようになります。また、毎年生成されるデータのうちオリジナル データはわずか 10% で、残り 90% は複製されたものです。その理由は、新しい機能に合わせて組織の文化が変化していないからです。このため、組織が期待する結果や成果が妨げられています。ユーザーは、各自の成熟度レベルに応じた有用なデータ エクスペリエンスを利用できていません。
こうした課題の解決を支援するため、最新型データ戦略に関するホワイトペーパーでは、パーソナライズされたセルフサービス データ エクスペリエンスの構築に役立ついくつかの導入可能な方法を紹介しています。こうすることで、誰もがデータに基づく意思決定をする機会を得られます。
データの価値をフルに活用するためのデータ エコノミー
データ プラットフォームは進化しましたが、データドリブンな組織、データへのアクセス性の向上、データの有効活用を実現するための組織モデルは進化していません。多くの組織では、また働き方に関する取り組みでは、データと価値のギャップを解消することを目指して、この迅速な変化について行こうと努めています。DevOps の考え方をデータに適用すると、このギャップの解消に役立ちます。オーナーシップと SLA が明確に定義されたプロダクトとしてデータを管理することで、組織はデータからさらに価値を引き出すことができます。


Delivery Hero のデータ利用者たちは、データがどこにあるか、どんな方法でアクセスするか、そして利用と共有に関するポリシーや品質は何かを理解するためにかなりの時間を費やしていました。その原因は、各チームが専用のデータサイロを形成する分断化された環境にありました。Delivery Hero は、データ プロダクト思考を用いて Google Cloud で新しいデータ プラットフォームを開発し、利用可能なすべてのデータとその意味、品質、ソースを文書化したグローバル カタログを確立しました。各チームは容易かつ迅速に他のチームのデータセットを検出して利用し、これらのデータセットを基礎として構築することができます。その結果、以前はデータアクセスに 48 時間かかっていたのが、いつでもライブデータにアクセスできるようになりました。これにより、運転手の経路管理やロジスティクスの注文予測から、ウェブサイトでのおすすめ機能やパーソナライズの強化に至るまで、ビジネス全体に成長と価値を提供するモデルをチームが開発できるようになりました。
イノベーションを促進するデータ エコシステム
データと価値のギャップを解消すると、組織の競争力に大きく影響する可能性があります。IDC によると、2025 年までに、新しいエンタープライズ アプリケーション リリースの少なくとも 90% に AI 機能が埋め込まれる見込みです。技術的な観点から言うと、データ プラットフォームはすでにこうした要望に応えるものになっています。適切なデータ エコシステムを選定することで、分析チームのスケーラビリティ、ユーザビリティ、分析情報取得までの時間を改善できます。
最新型のデータ エコシステムは、有効性と効率性の向上を図る組織にとって重要です。BigQuery は Google Cloud の分析レイクハウスの中心であり、BigQuery に関連するさまざまなツールの優れたエコシステムが存在します。このようなオープンでインテリジェントな統合型プラットフォームを導入することで、チームは一から再開発したり、基盤となるインフラストラクチャのデータ パイプラインを調整したりすることに時間をかける必要がなくなります。
たとえば Mercado Libre は、輸送ネットワークを準リアルタイムでデータ モニタリング / 分析できる新しいソリューションを構築し、データ アナリストたちが貴重な分析情報を作成、埋め込み、提供できるようにしました。このソリューションにより、複数のツールを維持する必要がなくなり、よりスケーラブルなアーキテクチャができました。
適切な戦略によってデータを競争力に変える
データはデジタル トランスフォーメーションの要であり、次のような極めて戦略的なビジネス成果を加速化できる素晴らしい機会を組織にもたらします。
顧客の好みを理解してパーソナライズされたエクスペリエンスを提供し、収益を拡大する。
データから導出された分析情報に従業員が容易にアクセスできるようにし、データに基づく意思決定を促進することで、従業員の生産性を向上させる。
最初に、組織は堅牢なデータ戦略を取る必要があります。こうすることで、組織はデータから価値を引き出して競争力へと変えることができます。つまり、データドリブンな企業はより迅速にイノベーションを実現します。第 1 に、データドリブンな企業はその規模や複雑さに関係なく運用効率を継続的に最適化できるので、費用を継続的に低く抑えられます。第 2 に、データドリブンな企業は市場の状況の変化により迅速に対応できます。
データを使用して新たな価値を引き出す 4 つの方法を以下に示します。
アプリケーション: 製品開発が加速化され、製品化までの時間が短縮される。
分析: 組織と業務の効率、アジリティ、革新的なプログラムを実施するペースが向上する。
可視化: 適切な直感的ツールを使って高度な分析と AI を実行できるようにすることで、生産性が向上する。
- 予測: データと AI により、差別化されたソリューションの作成が促進される。


データ戦略のメリット
データ戦略は、組織全体にわたって必要な連携を実現するうえで役立ちます。
データ戦略で促進されるアクティビティには、たとえば以下のものがあります。
組織にとって、より迅速に意思決定してビジネス目標と整合し続けるための指針となる原則やプロセス
、戦略のビジョンに合わせて推奨システムとツールを継続的な見直しながら、画一的なアプローチを回避すること
データの作成から廃棄までのライフサイクル全体で、データを安全に管理するための明確かつ一貫したポリシーと手順
該当する法規制を遵守しながら倫理的に、責任を持ってデータが利用されることを保証する
アクセス可能な管理対象データを使ってビジネス価値を引き出すことで、データに基づく意思決定の文化を創り出してそれを有効活用する。
組織全体で責任を持って AI を使用する
最新型データ戦略を策定するためのフレームワーク
組織が最新型データ戦略を策定する際に従う 3 つの柱を以下に示します。
データ エクスペリエンス: すべてのユーザーが関連性のあるデータにアクセスし、データから価値を創出できるようにする、生産的なユーザー エクスペリエンス
組織内の全従業員のデータ リテラシーを高める目的でデータ ユニバーシティを設立する
部門横断型チームによって組織をロール指向からプロダクト指向へと転換する
優先事項に合わせた組織のデータ原則を定義し、意思決定を明確にする
データ エコノミー: データが確実に公開 / 検出され、データを基盤として構築でき、データを信頼できるようにするための原則とプラクティス
開発者エクスペリエンスと分析エクスペリエンスに専門的に取り組むデータ プラットフォーム チームを配置する
外部 / エンタープライズ ソースデータ(顧客、トランザクション、商品データなど)をデータ エコノミーに早期の段階で取り入れるようにする
データに関して相互に依存する複数のチームを見つけ、それらのチームのデータが 1 つのデータ プロダクトとして共有されるように支援する
基本的なデータ ガバナンス プラクティス(スチュワードシップ、検出、品質、信頼性、プライバシー)を実装する
データ エコシステム: あらゆるユーザーとニーズに対応するエンドツーエンド データ機能を備えた、オープンでインテリジェントな統合型プラットフォーム
必要なすべての機能をすぐに利用でき、必要に応じて他のコンポーネントを接続するオープン スタンダードを備えた、データ エコシステムを選ぶこと
組織内のすべてのユーザーがこのエコシステムの機能を使って業務に AI を適用できるように、計画を策定する
データ エコシステムの機能用にサーバーレス ツールを選択することで、運用業務を最小限に維持する
開始するには
組織で最新型データ戦略を設計する前に、次のような重要なポイントを組織で確認する必要があります。
組織内のすべてのユーザーに、データを使った作業に関して有益な経験がありますか?
組織内のさまざまなペルソナがデータを有効活用できるようにするための専用の学習プログラムがありますか?
データ エコノミーの構築を目指して、データ プロダクトに誰もがアクセスできるようにしていますか?
データを扱うすべてのユーザー(アプリの開発者、ビジネス アナリスト、データ サイエンティスト、事業部門のユーザーなど)がサポートされていますか?
データ サイエンス / 機械学習(ML)などの次世代データドリブン ソリューションを大規模に有効化できますか?
戦略的ビジネス目標を迅速に推進するためにデータと AI を有効に活用していますか?
現在のデータ プラットフォームは、最新型ツールを使ったデータ処理を大規模に実現するテクノロジー エコシステムを提供できますか?
管理された方法で、組織内外でデータを共有できますか?
Google の新しいホワイトペーパー「最新型データ戦略を策定するための 3 つの柱」で、どのように始めたらよいか、また皆様のビジネスの最新型データ戦略をどのように定義できるかについてお読みください。
Thomas de Lazzari、Sina Nek Akhtar、David Montag、Andreas Ribbrock、Zara Wells のサポート、作業、議論によって、この課題に取り組むことができたのは光栄であり、特権でした。
- Data Cloud、ポートフォリオ マーケティング責任者 Justyna Bak


