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データ分析

Tink をデプロイして、オンプレミスまたはクラウドで BigQuery 暗号化を適用する方法

2023年1月24日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 1 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

オンプレミスのデータ ウェアハウスから、BigQuery などのクラウド ファーストのシステムに移行する組織にとって、データ セキュリティは重要な課題です。BigQuery は、ストレージ レベルの暗号化(Google 管理または顧客管理の鍵を使用可能)と列レベルの暗号化に対応しています。具体的には、BigQuery の SQL AEAD 関数を使うことで、暗号化をきめ細かく適用し、顧客の機密データ(公的な身分証明書やクレジット カード番号など)を保護するとともに、セキュリティ要件を満たすことができます。

BigQuery はクラウド環境で列レベルの暗号化に対応していますが、多くの組織はハイブリッド クラウド環境を採用しています。データが別のロケーションに移動するたびに復号化、再暗号化しなければならないような事態を避けるため、Google Cloud では一貫した暗号化メカニズムを提供し、相互運用性を確保しています。そのため、確定的に暗号化されたデータ(参照整合性が維持される)をオンプレミスのテーブルに直接結合し、匿名性を保ちながら分析を行うことが可能です。

オンプレミスで BigQuery 互換の暗号化を適用するには、Google が開発したオープンソースの暗号ライブラリ Tink を使用します。BigQuery の SQL AEAD 関数の実装には、Tink が使用されています。この Tink ライブラリを直接呼び出すことで、クラウドで BigQuery SQL を使って復号化できるような方法でオンプレミスのデータを暗号化したり、BigQuery で列レベルで暗号化したデータを BigQuery の外で復号化したりできます。

Tink と BigQuery の使用を希望するお客様のために、便利な Python のユーティリティやサンプルを GitHub リポジトリの BigQuery Tink Toolkit にまとめました。ここではまず、Tink を直接使って、BigQuery と同じ鍵セットでオンプレミスのデータを暗号化または復号化する手順を紹介します。次に、BigQuery Tink Toolkit によってどのように Tink の処理を効率化できるのかを見ていきます。

最初に Tink 鍵セットを取得する必要があります。ここでは、KMS でラップされた鍵セットが使用されているものとします。これらの鍵セットを BigQuery に保存して、BigQuery SQL で使用できるようにする必要があります。必要な場合は、この鍵セットをオンプレミスのセカンダリ ストアに複製することもできます。

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ここまでで、暗号化された鍵セットを取得しました。次にラップを解除して、使用可能な状態の Tink 鍵セットを取り出します。Cloud KMS にオンプレミスからアクセスできない場合は、ラップを解除した鍵セットをオンプレミスの安全なキーストアに保存しておく必要があります。

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これで、鍵セットを使って Tink プリミティブを生成する準備が整いました。このプリミティブを使うことで、関連付けられた鍵セットでデータを暗号化または復号化することができます。なお、鍵セットが確定的または非確定的であるかによって、使用するプリミティブは異なります。

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暗号を取得したら、データの暗号化、復号化を必要に応じて行います。

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この手順を簡略化するため、以下の 4 つの処理を行う CipherManager クラスを提供しています。

  1. BigQuery テーブルから必要な鍵セットを取得する

  2. 取得した鍵セットのラップを解除する

  3. 各列の Tink 暗号を作成する

  4. 暗号化および復号化の呼び出し用の一貫性のあるインターフェースを提供する

CipherManager を使って特定のテーブルの列を暗号化または復号化する Spark ジョブのサンプルも用意しました。これらを参考にして、Tink をご活用いただければ幸いです。


- データ分析担当戦略的クラウド エンジニア Daryus Medora
- データ分析担当戦略的クラウド エンジニア Oscar Pulido

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