強化された BigQuery データ キャンバスでデータから分析情報への変換をスピードアップ
Blessing Bamiduro
Product Manager, BigQuery Data Canvas
Sajal Agarwal
Senior Product Manager, Data & Analytics
※この投稿は米国時間 2025 年 4 月 25 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
現在のデータドリブンな世界では、有意義な分析情報をいかに素早く引き出せるかが極めて重要です。しかし多くの場合、元データを実用的なインテリジェンスに変換するプロセスには困難を伴います。複雑な SQL クエリ、時間のかかる反復分析、そして技術者と非技術者の間にあるギャップが、しばしば進捗を妨げています。BigQuery データ キャンバスは、データ分析を民主化し、誰もが BigQuery データの可能性を最大限に引き出せるように設計されたビジュアル ワークスペースです。今月初めに開催された Google Cloud Next 25 では、Gemini を活用したデータ キャンバスに組み込み型 AI アシスタント チャット機能を導入したことを発表しました。これにより、データの探索から可視化に至るまでのさまざまなワークフロー分析プロセスを単一のプロンプトでまとめて実行できるようになります。
データ キャンバスは単なる機能の追加にとどまらず、データ実務者のデータとの向き合い方そのものに根本的な変革をもたらします。BigQuery と Gemini をビジュアル ワークフローにシームレスに統合することで、元データから効果的な分析情報を引き出すことが可能になります。


データ キャンバス アシスタントの使用例
主要機能を深掘りしてご紹介
データ キャンバス アシスタントでできることを詳しく見ていきましょう。
Gemini があなたの AI データ エージェントを強化
データ探索体験を向上させるため、Google は強力な AI モデルである Gemini をデータ キャンバスに統合しました。これにより、自然言語を使用してクエリの生成と調整を行い、データに関する質問を投げかけ、インテリジェントな提案や分析情報を受け取れるようになります。たとえば、「収益の高い上位 10 社の顧客を表示して」と入力すると、Gemini を活用したデータ キャンバスが対応するクエリを生成し、それに併せてデータセットに関する分析情報を提示します。さらに、Gemini は質問に関連しそうなデータセットを提案し、データ検出も支援してくれます。
Gemini を搭載した AI チャット機能は、データ探索から可視化までのワークフロー分析プロセス全体を、たった 1 つのプロンプトでまとめて実行します。どこから始めていいかわからない場合は、提案されたプロンプトを使用して、データ探索を始めましょう。BigQuery データ キャンバスは、ユーザーが選択したテーブルやよく使用するテーブルに基づき、データに関する自然言語の質問と、それに対応する SQL クエリを Gemini を活用して自動生成します。チャット コンテキストに複数のデータソースを追加することで、Gemini はそれらに基づいて質問に回答できます。また、システム指示を使用してデータに関するドメイン知識を伝えることで、チャットをグラウンディングし、得られる回答の精度を高めることもできます。たとえば、自社の事業年度が 1 月から 12 月ではない場合、システム指示を使用して Gemini にその情報を伝えることができます。さらに、回答の形式や出力方法を指定するために、システム指示を活用することも可能です。たとえば、「調査結果は常にグラフで表示し、ポジティブな結果には緑色、ネガティブな結果には赤色を使う」などと指定できます。
今後は、予測や異常検出などの複雑な問題に対して、Python を使用した高度な分析をチャット上で行えるようにしていく予定です。チャットの設定バーでこの機能をオンに切り替えると、プロンプトの複雑さに応じて、Gemini チャット アシスタントが Python コード インタープリタを使用して質問に回答します。
「データ キャンバスは BigQuery に画期的な変化をもたらしました。データ プロフェッショナルが、Gemini AI を活用した自然言語処理とグラフィカルなワークフローのシームレスな融合により、データの検索、クエリ、変換、可視化をインタラクティブに行えるようになりました。」 - Virgin Media O2、プリンシパル プラットフォーム テクニカル リード Sameer Zubair 氏
視覚的なクエリの構築: 複数のパスを 1 か所で探索
データ分析を行う際に、それぞれ独自のコンテナに格納されている複数のテーブルに分散するデータのフィルタ、結合、集計、可視化を 1 つのページで実行できる統合ハブがあると想像してみてください。データ キャンバスは、線形のパスに沿って進むのではなく、DAG(有向非巡回グラフ)アプローチを使用します。これにより、任意の時点で分岐して別の観点からデータを分析したり、前のステップに戻ったり、複数の結果を同時に比較したりできます。データの追加は簡単です。必要なテーブルを検索してキャンバスに追加するだけです。自然言語を使用してデータに関する質問をすると、データ キャンバスが自動的に基となる SQL を生成します。生成された SQL はいつでも確認したり調整したりできます。このノードベースの方法は、経験豊富な SQL プロフェッショナルと新人アナリストの両方にとって分析の障壁を下げ、複雑なクエリ構文に苦労することなく分析結果に従って分析を進めることを可能にします。
インタラクティブな可視化機能: リアルタイムでの分析情報の発見
データ キャンバスには、チャート、グラフ、テーブルなど、さまざまなインタラクティブな可視化機能が用意されています。可視化の方法をカスタマイズしたり、データをインタラクティブに探索したり、傾向や異常を特定したりすることが簡単に行えます。さまざまな地域での売り上げの分布を表示したい場合は、「地域」と「売り上げ」のフィールドをキャンバスに追加すると、データ キャンバスがチャートを自動的に生成します。データに最適な図表やグラフを選択するか、独自の可視化の方法を選択するだけで、データを生き生きと表現できます。可視化されたデータは PNG 形式でエクスポートできるほか、Looker Studio にインポートしてさらに操作したり、共有したりすることもできます。
実業務でのデータ キャンバスの活用
BigQuery データ キャンバスで新しい AI アシスタント機能を活用する方法は無限にあります。クリエイティブなアイデアを生み出す際の参考として、業界に特化した活用例をいくつかご紹介します。
通信サポートと診断: サービス復元の迅速化
お客様の問題をトラブルシューティングする通信事業者のサポートチームを想像してみてください。1 時間ごとに BigQuery に取り込まれるサポート チケットをデータ キャンバスでクエリして、問題の報告者(顧客の電話番号)、発生場所(郵便番号)、対象(影響を受けたサービス)、発生時刻(タイムスタンプ)、関連する施設(最も近い基地局)を抽出できます。これらのデータポイントはそれぞれ独自のノードで処理され、すべて単一のキャンバス内で操作できるため、複数のクエリタブを切り替えて分析を実行する必要はありません。この視覚的なワークフローにより、局所的な障害を特定し、技術者を適切な基地局に派遣し、サービス中断をこれまで以上に迅速に解決できるようになります。
e コマースの分析: 売り上げと顧客エンゲージメントの向上
マーケティング チームが顧客の購入データを分析してキャンペーンを最適化している様子を想像してみてください。データ キャンバスを使用すると、顧客と商品のテーブルを視覚的に結合し、購入履歴でフィルタし、さまざまなユーザー属性にわたる販売傾向を可視化できます。売れ筋商品、価値の高いユーザー セグメント、マーケティング キャンペーンの効果をすばやく特定し、データに基づく意思決定を行うことができます。
サプライ チェーンの最適化: 物流の合理化
物流マネージャーは、データ キャンバスを使用して在庫レベルを追跡し、配送ルートを分析し、潜在的なボトルネックを特定できます。このサプライ チェーン データを可視化することで、配送スケジュールの最適化、費用の削減、効率性の向上を実現できます。また、インタラクティブなダッシュボードを作成して、重要業績評価指標をモニタリングし、リアルタイムで調整することもできます。
可視化と AI 活用が実現するデータ探索の未来
BigQuery データ キャンバスは、誰もがデータにアクセスして活用できる社会の実現に向けて、大きな進歩をもたらしました。視覚的なワークフロー、BigQuery の機能、Gemini のインテリジェンスを組み合わせることで、データの可能性を最大限に引き出すことができます。今すぐ利用を開始して、データ探索の未来を体験しましょう。
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-BigQuery データ キャンバス担当プロダクト マネージャー Blessing Bamiduro
-データ分析担当シニア プロダクト マネージャー Sajal Agarwal