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Containers & Kubernetes

レポート: GKE Inference Gateway が AI 応答を最大 92% 高速化

2026年6月17日
Bob Tian

Software Engineer

Susan Wu

Outbound Product Manager

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※この投稿は米国時間 2026 年 6 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

生成 AI が試験運用から大規模な本番環境へと移行するにつれ、インフラストラクチャの効率が決定的な差別化要因になります。インフラストラクチャを最大限に活用し、コストのかかるアクセラレータのアイドル時間を最小限に抑える方法の一つが、Google Kubernetes Engine(GKE)Inference Gateway の活用です。GKE Inference Gateway は、リアルタイムのモデルサーバー指標に基づいて、生成 AI ワークロードをインテリジェントにルーティングします。

従来の単純なラウンドロビン方式のロード バランシングでは、アクセラレータでのコストのかかる再計算が頻繁に発生し、ユーザー レイテンシが急増することがあります。これに対し、GKE Gateway のネイティブ拡張機能である GKE Inference Gateway は、接頭辞キャッシュモデル対応ルーティングなどの高度な機能を活用します。すぐに処理できる状態にある適切なアクセラレータにリクエストを確実に送ることで、GKE は大規模言語モデル(LLM)のサービング方法を変革し、優れたハードウェア使用率と極めて高速な応答時間を実現します。

実際、独立したベンチマーク レポートによると、GKE Inference Gateway は、次に優れたマネージド Kubernetes サービスと比べて、スループットが 15.7% 高く、待機時間が 92.8% 短く、トークン間レイテンシが 62.6% 低いという結果を示しています。このパフォーマンスにより、LLM ベースのアプリケーションは、低速で高コストなものから、高速で本番環境対応のものへと変わります。

このパフォーマンスは、GKE Inference Gateway を使用した Snap の経験とも一致しています。

「Snap では、大規模で高性能な推論を実現するため、本番環境の AI インフラストラクチャに llm-d を統合しています。接頭辞キャッシュ対応ルーティングを採用することで、最大 75~80% の接頭辞キャッシュヒット率を達成しました。llm-d がオープンソースであることにより、Envoy ベースのサービス メッシュとシームレスに統合できる点を高く評価しています。」- Snap Inc.、ソフトウェア エンジニアリング担当シニア マネージャー、Vinay Kola 氏

このブログ投稿では、GKE Inference Gateway の接頭辞キャッシュについて、例を交えながら詳しく見ていきます。また、ベンチマーク結果の詳細もご紹介します。それでは詳しく見ていきましょう。

低レイテンシ AI の秘訣: 接頭辞キャッシュ

接頭辞キャッシュは、長く繰り返し使用されるプロンプトの接頭辞に対応する KV キャッシュ(アクティベーション状態)を保存することで、LLM のパフォーマンスを最適化します。連続するユーザー リクエストで、同じシステム指示、コンテキスト、ドキュメントが共有される場合、モデルはそれらのトークンの再処理を完全にスキップできます。GKE Inference Gateway は、受信リクエストの接頭辞を読み取り、そのデータをすでにメモリに保持している特定の Pod と照合します。これにより、GPU や TPU にかかる「思考」のコストを排除し、負荷の高い推論ループをほぼ瞬時の回答へと変えることができます。

ユースケース 1: 検索拡張生成(RAG)を使用したドキュメントとコードベースの Q&A

大規模なエンタープライズ リポジトリをクエリする場合、RAG を使用してドキュメント セット全体を静的接頭辞としてキャッシュに固定することで、レイテンシを追加することなく、LLM の回答を根拠に基づいたものにできます。

GKE Inference Gateway は、ユーザーから質問があるたびに、数千行に及ぶ API リファレンスや社内 Wiki を LLM に再度読み込ませるのではなく、その特定のコンテキストがすでに KV キャッシュに保持されている Pod にクエリをルーティングします。これにより、LLM はユーザーの短い動的な質問のみを計算すればよく、コストの高いドキュメントの再評価を完全に回避できます。

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図 1: ソフトウェアのトラブルシューティング シナリオにおけるプロンプトの内訳。キャッシュに保持される静的接頭辞と、リクエストごとに変化する動的接尾辞を示しています。

ユースケース 2: マルチターン チャット

接頭辞キャッシュを使用すると、コンピューティング コストを累積的に増やすことなく、数千もの同時セッションにわたってカスタマー サービスのやり取りを維持できます。これは、固定のシステム ペルソナと中核的なビジネスルールを LLM サーバーに直接キャッシュ保存することで実現できます。

エンタープライズ チャット アーキテクチャでは、基本となるシステム プロンプトと参照テーブルが、数百万件の顧客インタラクション全体で完全に同一のまま維持されます。GKE Inference Gateway は、コンテキスト対応ルーティングを使用してこうしたマルチターンの会話を処理し、繰り返し発生するトークン処理をバイパスします。これにより、トラフィックのピーク時でも chatbot は極めて高い応答性を維持できます。

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図 2: 上述のプロンプトは、銀行の chatbot でのやり取りにおける静的接頭辞と、リクエストごとに変化する動的コンポーネントを示しています。

GKE は他のマネージド Kubernetes ソリューションを上回るパフォーマンスを発揮

こうしたアーキテクチャ上の利点を検証するため、Principled Technologies は先日、GKE Inference Gateway を搭載した GKE と、従来のラウンドロビン方式の HTTP ロード バランシングを使用する標準的なサードパーティのマネージド Kubernetes サービスを比較した、独立したベンチマーク レポートを公開しました。

同一のハードウェア(8 基の NVIDIA A100 40GB GPU)を使用し、Llama 3.1 8B Instruct の共有接頭辞ワークロードでテストした結果、2 つの Kubernetes サービスの間に大きなパフォーマンス差があることが明らかになりました。GKE は単に優位性を示しただけでなく、次の 3 つの重要な指標すべてにおいて推論効率のあり方を大きく変えました

  • スループットの向上: 1 秒あたりに処理されるトークン数が 15.7% 増加し、リクエスト処理能力を高めることができます。また、同じワークロードに必要なハードウェアを削減することも可能です。

  • 最初のトークンまでの時間(TTFT)の大幅な短縮: 待機時間が 92.8% 短縮され、インタラクティブなシナリオで、応答が始まるまでの体感時間を大幅に短縮できます。

  • トークン間レイテンシ(ITL)の低減: 62.6% の低減により、最初のトークン以降のトークン ストリーミングがよりスムーズかつ高速になります。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/1_-_Updated_Doc_chart.max-2200x2200.jpg

図 3: 共有接頭辞のユースケースにおける Llama 3.1-8B Instruct LLM での、GKE Inference Gateway を使用した GKE とサードパーティのマネージド Kubernetes サービスの平均レイテンシ(出力トークンあたりの正規化時間)。どちらのソリューションも同じハードウェアを使用しました。出典: Principled Technologies

 

 

GKE

サードパーティのマネージド Kubernetes サービス

GKE の利点

平均出力トークン スループット

7,169.21 出力トークン/秒

6,042.05 出力トークン/秒

出力トークン スループットが 15.7% 向上

最初のトークンまでの平均時間(TTFT)

188.36 ミリ秒

2624.73 ミリ秒

TTFT が 92.8% 短縮

平均トークン間レイテンシ(ITL)

30.20 ミリ秒

81.03 ミリ秒

ITL が 62.6% 低減

図 4: GKE Inference Gateway を使用した GKE は、標準的な HTTP ロードバランサを使用するサードパーティのマネージド Kubernetes サービスと比較して、優れた AI 推論パフォーマンスを実現しました。

生成 AI 推論ワークロードを加速させる準備はできていますか?

リアルタイムのカスタマー サポート エージェント、動的なコーディング アシスタント、サブ秒単位の不正検出モデルなどの推論ワークロードをデプロイする場合、インフラストラクチャのレイテンシがユーザー エクスペリエンスを左右します。GKE Inference Gateway は、共有プロンプトの接頭辞がアクティブ キャッシュにほぼ 100% ヒットするようにすることで、LLM を低速で高コストな推論エンジンから高速で資本効率に優れた本番環境対応の強力な基盤へと変えます。

GKE Inference Gateway が生成 AI ワークロードにもたらすパフォーマンス上の優位性を確認してみませんか?ベンチマーク レポートの全文はこちらからご覧いただけます。また、詳細については、こちらの解説動画をご覧ください。

Principled Technologies のシニア パフォーマンス アーキテクトである Dan Sullivan 氏に感謝いたします。

- ソフトウェア エンジニア、Bob Tian

- アウトバウンド プロダクト マネージャー、Susan Wu

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