コンテンツに移動
AI & 機械学習

Alphaevolve で分子発見を 4 倍に高速化した Schrödinger の事例

2026年7月6日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/schrodinger-alphaevolve-molecular-discover.max-2500x2500.png
Kartik Sanu

Program Manager, Google

Anant Nawalgaria

Group AI Product Manager & Engineer, Google

Try Gemini Enterprise Business Edition today

The front door to AI in the workplace

Try now

※この投稿は米国時間 2026 年 7 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

計算化学の研究者は、従来より、分子間相互作用をシミュレートする際に、精度を犠牲にする高速な古典的力場を使用するか、大規模なジョブでは実行速度が遅すぎる高精度の量子力学的手法に頼るかという、悩ましいトレードオフに直面してきました。

ML 力場(MLFF)は、高忠実度の量子データでニューラル ネットワークをトレーニングすることで、そのギャップを埋めます。しかし、現代の創薬や材料設計では、膨大な化学ライブラリを処理するために、さらに高速な処理速度が求められています。このようなパフォーマンスの制約を克服するために、Schrödinger は Google Cloud と提携して AlphaEvolve をデプロイしました。これは Google DeepMind が開発した進化型 AI コーディング エージェントで、アルゴリズムのボトルネックを克服する最も効率的なコードパスを見つけるために、アルゴリズムを繰り返し生成して改良します。

AlphaEvolve とのコラボレーション

30 年以上にわたり科学ソフトウェアの開発をリードしてきた Schrödinger は、MLFF トレーニング パイプライン内でパフォーマンスを制限する重要なアルゴリズムとして、近傍リスト計算法とエバルト総和法の 2 つを特定しました。これらのアルゴリズムは、原子の近傍からのデータを集計して長距離ポテンシャルを計算しますが、どちらもトレーニングと推論の速度において制限要因となっていました。

Schrödinger の技術面での最大の目標は、エネルギーと力の計算のための AI モデルのトレーニングを高速化することでした。具体的には、分子力学で使用される、重要ではあるものの計算負荷の高い機能であるエバルト総和法をターゲットとしました。Schrödinger の PyTorch コードにおいて、エバルト総和法が主なパフォーマンス上の制約となっていました。ベクトル化されたアルゴリズムは確立されておらず、通常は単純な for ループに頼っていたため、大規模なシミュレーションでは処理が遅くなっていました。

AlphaEvolve をモデルに組み込むことで、システムは並列バッチ行列乗算を使用して、エバルト総和法のバッチ実装を生成できるようになりました。これにより、PyTorch コードが進化し、既存のカスタム カーネルを上回るパフォーマンスを実現できました。

評価指標

Schrödinger は、厳格な多層的評価フレームワークを使用して、進化したコードがパフォーマンスと科学的正確性の両方を備えていることを確認しました。

  • 逆時間(主要指標): 計算時間をベースライン スコア 7.9 から短縮して、スループットを最大化することが主な目標でした。

  • 機能的正確性: 進化したプログラムはすべて、無秩序水モデルなどの複雑なシステムに対する回帰テストを含む、完全なテストスイートに合格する必要がありました。

  • 成功率: 機能的に正確で、ベースラインよりも高速なプログラムの割合で測定しました。

「AlphaEvolve を使用することで、これまでよりも迅速かつ効率的に、より広範な化学空間を探索できるようになりました。MLFF 推論の高速化は、創薬、触媒設計、材料開発における研究開発サイクルを短縮し、企業が分子候補のスクリーニングを数か月ではなく数日で完了できるようにすることで、ビジネスに現実的な効果をもたらします。」- Schrödinger、ML テクニカルリード、Gabriel Marques 氏

結果: 4 倍の高速化とボトルネックの解消

AlphaEvolve を適用することで、Schrödinger はエバルト総和法のコード内の単純な for ループを並列バッチ行列乗算に置き換えました。この最適化により、プログラムの成功率は 1% 未満(5,000 件の評価のうち 40 件)から 60% 以上に向上し、パフォーマンス指標はベースラインの 7.9 から 30 近くまで改善されました。

これらの基本的なアルゴリズムを最適化することで、MLFF のトレーニングと推論の両方で 4 倍の高速化が実現しました。この高速化により、研究者は分子スクリーニングのタイムラインを短縮できます。これは、いくつかの重要な研究分野に直接的なメリットをもたらします。

  • 創薬: 緊急の医療ニーズに対応するため、有望な治療候補を迅速に特定できます。

  • 触媒設計: 産業用途向けに効率的な化学プロセスを開発できます。

  • 材料開発: 電子機器やエネルギー貯蔵向けに、カスタム プロパティを持つ次世代材料を設計できます。

次なる進化

Schrödinger は、この進化的なアプローチをカスタム GPU カーネルに適用し、AI によって生成されたコードが、人間が設計した実装よりも優れているかどうかをテストする予定です。

進化型 AI エージェントが科学的なコードベースを最適化する方法については、AlphaEvolve に関する技術論文の全文をお読みください。また、研究ワークフローの高速化についてご相談されたい場合は、Google Cloud AI チームにお問い合わせください。

- Google、プログラム マネージャー、Kartik Sanu

- Google、グループ AI プロダクト マネージャー兼エンジニア、Anant Nawalgaria

投稿先