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AI & 機械学習

Roostify、Lending DocAI を使用して住宅ローン処理を簡素化

2021年6月9日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 5 月 26 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

住宅ローン審査の過程では、何十万人もの借り手からの膨大な量の書類を毎日処理する必要があります。現在、住宅ローンの書類処理は、時代遅れのデジタルモデルや手作業への依存度が高いため、処理時間がかかり、オリジネーション コストが高くなっています。毎日、数百万件分の書類を処理する業務を効率性と正確性を高めながらスケールすることは容易なことではありません。住宅ローンを申し込む際、利用者はデジタルでも対面式と同等の体験を期待しています。Roostify はこのような住宅ローン審査のプロセスを、貸付機関にとっても借り手側にとってもシンプルなものにします。

無駄な時間を省く: AI の活用によりドキュメント処理の課題を克服

Roostify は、住宅ローンや住宅金融機関向けのエンタープライズ クラウド アプリケーションを提供しています。同社の顧客がより優れたパーソナライズされた融資体験を提供できるようにするためには、社内のドキュメント解析機能を自動化し、スケールする必要がありました。

Roostify は、ドキュメント インテリジェンス サービスの重要なコンポーネントとして、Google Cloud の機械学習プラットフォームである Lending DocAI を活用し、多言語にわたる確定申告書や銀行の明細書など、住宅ローンの申請プロセスに必要な書類の処理を自動化しています。このパートナーシップにより、大規模なデータ キャプチャが可能になりました。Roostify の顧客はアップロードされたファイルからドキュメント タイプを自動的に識別し、所得、納税状況、氏名、ID 番号などの関連するエンティティを抽出して、煩雑な融資プロセスにおいてさらに効率的に処理を進めることができます。

こうした Roostify のソリューションは、Google Cloud の Lending DocAI を活用したものです。Lending DocAI は、先日発表されたドキュメント処理の統合コンソールである Document AI Platform 上に構築されています。追加のデータ マッピングやトレーニングの必要なしに、プラットフォーム上ですべての特殊なパーサー(住宅ローン融資書類や納税申告書のパーサーなど)を簡単に作成、カスタマイズすることができます。Google Cloud の専用パーサーはすべて、業界トップクラスの精度を達成するよう調整されており、顧客やパートナーが機械学習を使ってドキュメントから確実に分析情報を引き出せるようサポートします。ソリューションの詳細については、一般提供開始時のブログおよび概要説明の動画をご覧ください。

Roostify のプラットフォームに Lending DocAI のインテリジェントなドキュメント処理機能を統合することは、顧客にとって大いなるイノベーションを意味し、ローン処理の高速化、書類のミスの低減、オリジネーション コストの削減といった目に見える効果をもたらします。Google Lending DAI では、グローバルな顧客把握(KYC)ドキュメントや給与レポートなど、より多くの文書や多言語に対応するための追加サポートを近日中に予定しています。

AI ソリューションの完全統合

Roostify のプラットフォームチームと協力していく中で、Lending DocAI(LDAI)、機密データ再編集時のデータ損失防止(DLP)、データ ウェアハウジングと分析のための BigQuery、API ステータス向け Firestore など、さまざまな GCP プロダクトを統合することで、ドキュメント処理の課題を解決することができました。安全、安心を確保するために、すべてのデータは保管時と送信時にエンドツーエンドで暗号化されています。LDAI は、処理する際にトレーニング データを必要としません。簡単にプラグ アンド プレイできる API です。

Roostify 環境における LDAI の高度なデプロイ アーキテクチャを一足早くご紹介します。

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データ処理の手順は次のとおりです。

  1. クライアントからドキュメント処理のリクエストを受け取ります。

  2. API 関数が前処理サービスへリクエストを指示します。非同期リクエストでは、処理 ID が生成され、呼び出し元に返されます。

  3. 前処理サービスは、さらなる処理(ロング / ショート PDF 変換)のためにリクエストを送信し、他のマイクロサービスを呼び出して、レスポンスを受信します。受信したレスポンスにエラーがあった場合は、レスポンス処理サービスに送られます。

  4. レスポンスが同期型の場合、前処理サービスはレスポンスを LDAI 起動元サービスに送ります。

    1. レスポンスが非同期型の場合、前処理サービスはレスポンスを Cloud Pub/Sub サービスにフィードします。

  5. Cloud Pub/Sub サービスは、LDAI 起動元サービスにレスポンスをフィードバックします。

  6. LDAI 起動元サービスは、ドキュメント内に複数のページがある場合、分類のためにリクエストを Google LDAI API にルーティングします。

  7. ドキュメントは LDAI のレスポンスに基づいてスプリットされ、一時ストレージとして GCS バケットに保存されます。

  8. LDAI エンティティ インターフェースでシングルページ処理を行い、LDAI 起動元が LDAI の結果を LDAI Response Processing に送ります。

  9. リクエストが同期リクエストの場合、LDAI Response Processor は結果を API 関数に送信し、API 関数が同期呼び出しを完了して rConnect 呼び出し元に応答できるようにします。

    1. 非同期リクエストの場合は、LDAI Response Processor が呼び出し元の Webhook に応答し、トランザクションを完了します。

  10. 最後に、GCP バケットに保存されたデータが削除されます。

LDAI API から送られてくるすべてのレスポンスは、データ損失防止(DLP)API で解析して PII / 機密情報を編集した後、オプションで Response Processor を介して BigQuery にフィードできます。非同期および同期のリクエストの処理中、すべてのトランザクションは Cloud Logging を使用して記録されます。非同期トランザクションでは、Cloud Firestore を使用してプロセス全体で状態を維持します。

Roostify は現在、この技術を使って、Roostify Document Intelligence と Roostify Beyond™ という 2 つの異なるソリューションを提供しています。Roostify Document Intelligence は、住宅金融機関向けのリアルタイムのドキュメント キャプチャ、分類、データ抽出のソリューションです。借り手や融資担当者がアップロードしたドキュメントを取り込み、関連ドキュメントを特定し、必要な情報を抽出、分類します。Roostify Document Intelligence は、デジタル貸付のインフラストラクチャが整っている住宅金融業者であれば、スタンドアロンの API サービスとして利用できます。

Roostify Beyond™ は、AI を搭載した強力なソリューション スイートです。これにより、住宅金融業者は最初から最後までインテリジェントな融資プロセスを提供できます。強力なデータ、洞察に満ちた分析、理解を深める可視化を組み合わせ、融資審査プロセスを効率化します。Roostify Beyond™ は現在、アーリー アドプター プログラムの一環として、Roostify のお客様にのみ提供されています。今年後半には市場に展開される予定です。

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貸し手は、フィールド信頼度を任意に設定できます。抽出されたフィールドが設定されたフィールド信頼度を満たしていない場合、アップロードされたドキュメントの検証を求める警告インジケータが借り手に表示されます。
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Beyond アルゴリズムがドキュメントの信頼性について確信が持てない場合(つまり、管理者が設定した分類結果より信頼性が低い場合)、ユーザーにはタスクの検証を求めるメッセージが表示されます。

このパートナーシップにより、Roostify の顧客は、住宅ローンのプロセスにデータファーストのアプローチを採用することができ、ユーザー エクスペリエンスの向上とローン処理時間の大幅な短縮が実現可能になります。

Google Cloud AI サービス(AIS)によるエンドツーエンドの迅速な導入

Google AIS(Professional Services Organization)は、パートナーである Quantiphi と協力して、Roostify がこのシステムを本番環境に導入するのを支援し、最終的なビジネス価値を生み出すために開発を何倍も加速させました。

Google Cloud と Roostify のパートナーシップは、ビジネスの問題を解決するために AI を活用したソリューションをどのように提供しているかを示す最新の例の一つです。

-Roostify プラットフォーム担当バイス プレジデント Siddharth Bajaj

-Google シニア テクニカル プログラム マネージャー Nitin Aggarwal

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