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AI & 機械学習

日立「Gemini Enterprise 活用コンテスト」開催レポート ― 112 件の応募から選ばれた、現場を変える 10 の AI エージェント

2026年7月9日
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Google Cloud Japan Team

6 月 17 日(水) 渋谷ストリーム グーグルオフィスにて AI エージェントは、現場のどんな仕事を本当に楽にしてくれるのか。その答えを、日立製作所のみなさん自身が見せてくれる一日がありました。今年 4 月からデジタルシステム&サービスセクターの社員を中心に利用が広がった Gemini Enterprise。その活用アイデアを競う「Gemini Enterprise 活用コンテスト」には、総勢 112 件もの応募が集まりました。選り抜かれた 10 組が登壇した発表会の熱気を、そのままお届けします。

112 件の応募から、現場発の 10 組が登壇

発表会は、日立とグーグル・クラウド・ジャパン両社の挨拶で幕を開けました。AI を業務にどう根付かせるかという強い意志が、冒頭から明確に打ち出されていました。

日立 デジタルシステム&サービス/ AI &ソフトウェアサービスビジネスユニット 事業主管を務める西 孝治 氏は、AI への期待をこう語りました。「AI は非常に活況を呈していますが、一番やりたいのは日立の社内トランスフォーメーションです。みなさんが AI を使いこなして、お客様の前でもマーケットの中でも、 Gemini をこんな風に使っているぞと宣伝してくれる、そんな AI のショーケースになってほしい」。 1 人で考えるには限界がある、隣の人が何をしているかという知見をぜひ共有してほしい、という呼びかけもそえられました。

続いて登壇した Google Cloud 執行役員 自動車・産業営業本部 本部長 の浅井は、会場を見渡してこう切り出します。「壇上から見ると、みなさんの顔が自信に満ちあふれているのがひしひしと伝わってきて、私自身もワクワクしています」。日頃 Google Cloud と一緒にビジネスの変革を進められていることへの感謝を述べました。

現場の「困った」から生まれた 10 のエージェント

10 組の発表はどれも、日々の業務でぶつかる具体的な「困った」を出発点にしていました。発表順にご紹介します。

  1. 失注ポストモーテム AI 「失注リフレクター」: 失注した案件の経緯を SharePoint の社内資料から再構成し、「3 つの分岐点」「顧客の発言と真意」「次回への教訓」を 3 分で構造化レポートにまとめます。レポートは社内のナレッジ DB にためて、営業担当者が商談前に過去の知見として参照できるようにします。原因分析にかかる時間を短縮するとともに、分析の実施率を大幅に高めることで、失注を組織の武器に変える仕組みを提案しました。
  2. Power Automate × Gemini Enterprise による定例会議議事録作成の「完全自動化」 : Microsoft の Power Automate と Gemini Enterprise を組み合わせ、定例会議の議事録づくりを入口から仕上げまで自動でつなぎました。
  3. 業務改善アドバイザー: 複数のエージェントが手分けして、自分の業務をヒアリングし、分析し、ボトルネックを洗い出して改善案まで示します。業務の流れは Mermaid 形式の図にして一目で見渡せるようにしました。業務のヒアリングから分析、改善提案までのプロセスを大幅に短縮できる可能性が示されました。これまで数日かかっていた作業が、約 10 分に縮みます。
  4. 議事録「ワンショット 5 方向展開」マルチエージェント: Gemini Enterprise の Agent Designer で 5 つのサブエージェントを組み、 Teams のトランスクリプトから Markdown レポート、 Word 議事録、 Excel の Q&A 、 Teams 向けの展開メッセージ、 Redmine チケットを一度に生成します。 議事録1 本あたりの二次加工は 90 分から 5 分へ、 94 % 削減。年間およそ 7,000 時間の削減になります。
  5. 開発チーム、転生したら AI だった件: 開発が一段落してメンバーが抜けた後の問い合わせや軽微なバグ修正を引き受ける仕組みです。離任する前に「AI 転生テンプレート」で自分の思考の進め方や口調まで写したサブエージェントを残し、人が減ってもチームが回ります。問い合わせ対応や初期調査は 1 時間〜半日から 5 〜 10 分に短くなり、問い合わせの 8 割以上に対して、AIが妥当な回答案を提示できると見ています。
  6. ExcelScribe 手書き帳票の Excel 自動転記ツール: 端末を持ち込めないデータセンターなどの現場で手書きした帳票を、 Gemini Enterprise が文字認識して元の Excel に書き戻します。アウトプットをより精緻に行うために組み合わせるツールを作成しました。
  7. 画面録画 × Gemini で PC 操作のムダを可視化: PC 上の自分の作業を画面録画して渡すだけで、 Gemini が操作を読み取り、ショートカットや関数で速くできる箇所を具体的に示します。リモートワークで「隣の人の操作を見て盗む」機会が減った今だからこそ効くアイデアで、マウス操作などをおよそ 20 〜 30 % 減らせます。
  8. NotebookLM と Gemini Enterprise を活用したグラフィックレコーディング作成 : 会議資料や記事を NotebookLM で要約し、その結果を Gemini Enterprise に渡して、グラレコの構成案・レイアウト・イラストの案、さらに画像までを生成します。技術のある社員が、構成作りも含めて 2 時間かかっていた作業が、10 分で実施できるケースも見られました。
  9. 提案の質と速度を極める財務分析 with 3 つの AI エージェント: 決算短信サーチ、財務諸表分析、可視化の 3 つのエージェントが連携し、企業名を入れるだけで IR 資料を集め、在庫の回転日数など供給網に効く指標まで自動で計算します。 1 社あたり 3 時間かかっていた情報収集・分析が 45 分に、工数を 75 % 削減しました。
  10. Gemini マルチエージェントによる設計書レビュー支援: チェックリストや日立がこれまで積み上げてきた社内の設計ガイドをレビュー観点として整理し、複数の専門エージェントがシステムの設計書を多角的に確認します。観点不足による見逃しを抑え、レビューがレビュアーの経験に左右されにくくなりました。

どの発表にも共通していたのは、 AI に丸投げするのではなく、「どこを AI に任せ、どこは人が判断するか」をていねいに切り分けていたことです。発表のあとは毎回 Q&A が活発に飛び交い、自分の業務にどう応用できるかを考える声が会場のあちこちから上がっていました。

受賞した 5 組と、審査員からの言葉

審査員が選んだ 受賞者の 5 組には、それぞれの着眼点に対して温かいコメントが寄せられました。

オーディエンス賞: 画面録画 × Gemini で PC 操作のムダを可視化 。会場の投票で一番多くの支持を集めました。審査員からは「なぜこの人たちは、資料を書かないという選択をしなかったのか。ふつうは AI に資料そのものを作らせたくなるのに、この人たちはあえて、作る作業を速くするほうへ情熱を注いだ。そこがすごい」「現場で起きている泥臭い作業をいかに AI で効率化していくか。これはフィジカル AI の基本で、とても期待できます」と熱のこもった講評がありました。

Google Cloud 賞: 開発チーム、転生したら AI だった件 。 Google Cloud の執行役員 カスタマーエンジニアリング 統括技術本部長 渕野は「アイデアとしてとても面白い」と評価したうえで、応用の広がりに触れました。「コーディングを助けるエージェントは増えていますが、実際のシステム開発はプロジェクトの背景を踏まえて進める必要があります。その文脈までエージェントに引き継げる、という意味で応用が効く発想だと思いました」。

Google Cloud 賞: ExcelScribe 手書き帳票の Excel 自動転記ツール 。賞品を手渡した Google Cloud 浅井は、「他社のツールであっても、ちゃんと書き込めるモジュールを開発してほしい、という熱いプレッシャーを感じました。フィールドの声として、しっかり開発チームに届けます」とコメントしました。

日立賞: 失注ポストモーテム AI 「失注リフレクター」 。日立の内藤氏は、失注分析の難しさに踏み込みました。「受注は意外と再現性が低く、失注は再現性が高いという事実をよく見ていくと、受注確度を上げることに繋がります。そこをきちんと言語化できているのがとても良かった。ぜひお客様の営業活動にも役立てられる形へ、 Gemini と一緒にアイデアを練り上げていってください」。

日立賞: Gemini マルチエージェントによる設計書レビュー支援 。日立のものづくりで培ってきた設計の知見を、そのままレビューの観点としてエージェントに持たせた点が評価されました。

5 組とも、削減できた時間や工数といった数字だけでなく、現場の心理的な負担まで軽くしている点が印象的でした。

これからも、日立の挑戦とともに

閉会のあいさつで、 Google Cloud の渕野はこの日の手応えをこう振り返りました。「今日のプレゼンはどれも Q&A が活発で、発表を見て自分のアイデアはこうできるんじゃないか、と考えている様子が伝わってきました。みなさんを支援している私たち Google のメンバーも、やりがいと達成感を感じる素晴らしい会でした」そして、これからへの期待も。「 1 回目でこのレベルの高さです。 2 回、 3 回と続けていけば、どんどん上がっていくはずです。私たちも引き続き、しっかり支援させていただきます」。

また、審査員を務めた日立 デジタルシステム&サービス/経営戦略統括本部 統括本部長 内藤氏からは、30年のキャリアを振り返りつつ、日立の未来への明るい展望が語られました。

「私自身、社内で Gemini Enterprise を毎日5回以上は必ず使う愛用者ですが、今日の皆さんのアイデアを聞いて『こういう使い方もあったのか!』と非常に理解が深まりました。今すぐにでもやってみたいアイデアがたくさんあり、とても楽しいひとときでした」と感謝を述べました。

また、コンテストを通じて見えた社内の変化についても、次のように熱く語りました。 「この活動は、自分たちの業務を良くしていく『カスタマーゼロ』につながることはもちろんですが、何より発表者の皆さんが本当に楽しそうでした。これまで30年間会社にいますが、横の人がこんなに楽しそうに仕事をしている姿は見たことがありません。今日そういう一面が見えて、日立の未来は明るいんじゃないかと勝手に思ったりしています」

挨拶の最後には、「日立の取り組みと、Google さんの発展を心から祈念して、ぜひ皆さんと一緒にやってみたいと思います!」と会場に呼びかけました。 内藤氏の「すごいぞ!」という掛け声に、会場全体が「Gemini!」と大きな声で応え、イベントは最高潮の盛り上がりのなか締めくくられました。

開会で西さんが語った「日立を AI のショーケースに」という思いは、この日の 10 組の発表で、もう確かな形になり始めていました。現場の「困った」から生まれたアイデアが、 112 件という数になって集まり、その一つひとつが誰かの仕事を軽くしていく。 Google Cloud はこれからも、日立のみなさまのこうした挑戦に、 Gemini Enterprise とともに伴走していきます。

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